銘柄同士の関連性

金(ゴールド)の特徴

金(ゴールド)が取引される理由は?
金は美しい光沢と色、そして加工のしやすさから、歴史的に世界中で高い価値を認められてきました。そして今日、金は投資家にとっても重視され、マーケットの中でもある種特別の位置にあるといえるでしょう。金は原則的に、あらゆる他の資産から独立してそれ自体で価値を有しており、特に世界の基準通貨として認められている米ドルの価値を保障しています。このため、マーケットが不確実性リスクにより混乱する時にも、安定して価値を保ち続ける傾向があり、最も安全な資産、つまり投資資金の退避先として認められています(もちろん、他金融資産との相対的な取引では相手銘柄の動きによって金を含む取引ペアの変動は大きくなることもあります)。
金の銘柄はXAUと表され、主にドル建てのXAU/USDとして取引されます。また金価格はマーケットの刺激要因に対して他の銘柄とは異なる動きを示すため、インフレーションに対するヘッジや、投資における対象やリスクの分散化といった理由で金が取引されます。

金価格との関連性があるものは?
①金利
金価格の決定要因として最も信頼性が高いものの一つとして、長きにわたり金利が挙げられています。
金利が低い場合、キャッシュや債券への投資に対するリターンは低いかマイナスの可能性さえあり、投資家は保有資産の価値を保つために他の投資方法を探すことになります。
一方、金利が高い場合は、キャッシュや債券でもより高いリターンが見込めることになります。金は、工業的な用途はかなり限定的なため、経済状況が上向いてきた場合も需要増大からの価格上昇が大きくなる可能性は比較的低いといえます。つまりこの場合、金に資金を寝かせておく魅力は減少します。
金価格と関連性の高い金利としてよく参照されるのが米国債、特にTIPS(Treasury Inflation Protected Securities、米国物価連動国債)です。TIPSは利率は発行時のもので固定ですが、消費者物価指数の動きに応じて元本が変わるため、インフレ率が上がると受け取りの利息額が上がり、逆にデフレ基調になると利息額は減ります。この利回りの動きを見ることで、金価格の傾向を知ることができるといえるでしょう。

②米ドル
さて、金取引における最も大きな議論の的となっているのが、金と米ドルとの相関関係です。金は一義的にはドルで価格が決定されており、このため金と米ドルは、互いに対して逆の値動きをする逆相関関係にある、という一般的な説は論理的であるように思えます。
ただ残念ながら、このような極端に単純化された見方が常にあてはまるほど、マーケットは単純ではありません。一つの例としては、経済・財政的に緊張が高まってくると、不確実性をどう読むかでマーケットの方向感が分かれ、結果としてドルも金も上昇することがあります(もちろん逆に両方とも下落することもあります)。
ドルとの逆相関に加えて、「有事の金」という格言のように、リスクが増大した際に安全資産である金に資金が流入し(金価格の上昇)、リスクが下がった際には他の商品での運用のために資金が金から流出する(金価格の下落)という観点で見ることも重要といえるでしょう。
●リスクオフ(リスクが高めの資産から資金を撤退させる)→ 金価格上昇
●リスクオン(リスクが高めの資産での積極的な投資に資金を向かわせる)→ 金価格下落

金取引の戦略
他の金融商品と同じく、絶対的に効果的な金の取引手法というものは残念ながら存在しません。しかし、多くの投資家が、他の金融商品で使用していたテクニカル取引戦略が金にも応用できることを見出しています。これは、金価格の推移が比較的緩やかであり、テクニカル分析を応用できるだけの信頼性のあるトレンドを形成していることによるものといえるでしょう。

①短期的取引戦略
比較的短期での取引で金価格のトレンドから利益を狙う場合、まずセオリーとして挙げられるのが移動平均線のクロスオーバーです。つまり、長期の移動平均線を短期の移動平均線が下から上に突き抜けたらゴールデンクロスで買いのサイン、そして長期の移動平均線を短期の移動平均線が上から下に突き抜けたらデッドクロスで売りのサインです。
様々な戦略がありますが、例えば1時間足チャート上での期間10と期間60の移動平均線表示というセットは比較的短期トレーダーに使われているようです。もちろん将来のパフォーマンスを保証するものではなく、また実際のマーケットの分析は様々なパラメータの調整などで慎重に行う必要があります。
下図のチャートは、このセットで金価格の推移を見た一例です。

金価格 1時間足チャート

まず(1)において、短期の10時間移動平均線が長期の60時間移動平均線を下に抜けてデッドクロスが発生し、下落トレンドを示唆しているため、ここで売りポジションを建てています。この後、(2)のポイントまで数日間、移動平均線のクロスが発生せず、$1,300弱まで下落トレンドを追う展開になっています。
(2)では、短期移動平均線の急上昇によりゴールデンクロスが発生します。売りポジションは下落トレンドにより利益を確定させて決済、そしてトレンドの転換を見て逆に新規の買いポジションを建てています。少々もみ合った後、価格は急上昇して$1,300台を回復します。その後(3)のポイントで長期移動平均線が追いつき、デッドクロスが発生したところで買いポジションが決済されています。
さて、どのような取引戦略でもそうですが、この戦略もやはり必ず勝ち続けるわけではなく、負けるトレードも出てきます。このケースの場合は、(4)のポイント付近で再度急上昇したため、(3)で建てたポジションが損失を出して決済されています。なおここでは、上抜けのクロスが(4)で発生した時点のマーケットプライス、$1,330付近で取引が行われています。

②長期的取引戦略
長期投資のスタンスでは、よりファンダメンタル面での要因、たとえば上述の金利などに注目し、金価格の推移を予測する傾向があるといえるでしょう。下図のチャートは金価格とTIPSの利回り(米国における実質の金利をよく反映したもの)を示したものです。逆相関がはっきりと表れていますが、特に2009年の前半にTIPSの実質利回りが1%を切って下落した時から、金価格の上昇が加速しているようです。なお、更に長期的な視点でこの相関性を見ていくと、1990年代は金価格が低迷しており、同時期の実質利回りが1%のしきい値よりも高くなっていたことがわかります。

金価格とTIPS実質利回りの比較(2008年以降)

過去のデータから、長期投資では一つの目安として、TIPSの実質利回りが1%を切るところで金価格の上昇を、また2%を上回るところで逆に金価格の下落を狙う観点もあります。
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