トレーディング戦略

NFP (米国非農業部門雇用者数)

NFP(Non-Farm Payroll、米国非農業部門雇用者数)は、いわゆる米国の「雇用統計」を代表する、極めて重要な経済指標です。

この数値は米国において農業関係以外で新たに雇用された月間の就業者数を表しており、他に失業率、平均時給、労働力参加率などと合わせて通常翌月第一金曜日に発表されます。これら雇用統計指標はどれも重要ですが、NFPは特にマーケットの動きに大きな影響を与え、毎月発表される経済指標発表の中でも最も注目されるもののひとつです。

経済指標には多くの種類がありますが、注目度やマーケットへのインパクトも千差万別で、マーケットがヒステリックともいえる反応を起こすものもあれば、投資家のレーダーに探知されないほど影響が軽微なものもあります。その中にあって、NFPは間違いなく前者であり、全世界からこの米国発の指標が注目され、毎月様々なメディアで、数値の見通しや様々な金融商品への影響などの予想が多数の有識者や投資家によって論じられます。

この大きなマーケットの反応は、「デュアル・マンデート」、つまり米国FOMC(連邦公開市場委員会)に対し法的に定められている2つの使命である「最大限の雇用」「物価の安定」が前提になっていると考えることもできます。「最大限の雇用」という目的に照らし、FRB(連邦準備制度理事会)はNFPのデータによって、政策金利という、経済において極めて大きなインパクトを持つ要素の決定を左右されることになるからです。一般的には、もし雇用情勢が強い成長を見せていれば、FRBはインフレーションを見据えたコントロールの観点から政策金利を引き上げ、また逆に雇用が弱ければ政策金利の引き下げを含めた緩和策を視野に入れるでしょう。ただしこれはNFPの数値単体というよりは、前提となっている経済状況や予測値と実際の公表値との比較などで総合的に判断されるものではあります。

コンセンサス
コンセンサスとは、プロのアナリストたちの予想の中央値から導かれ、広く共有される予測値で、マーケットの反応を読む上で重要です。マーケットは、経済指標の種類、そして実際の公表値とのずれの大きさと方向によって異なる反応を見せます。
NFPの場合は特に重要指標のため、このコンセンサスと公表値との比較はマーケットの動きに多大な影響を及ぼします。場合にもよりますが、たとえばコンセンサスが200,000だとして、実際の公表値が205,000だっとすると、事前に予測されていた数値とそれほど乖離していないため、マーケットが極端な反応を見せる可能性は低いといえるでしょう。一方、もし予測と大きく異なる数値が公表された場合は、その分大きくマーケットが動く可能性があります。



NFPをもとに取引する2つの方法
【発表前】
数値が発表される前に取引を行う場合、マーケットがどのように反応するかを事前に予測することになります。これは「演繹法」による予測、つまり様々な要素の情報から多数の前提を揃え、着実に組み立てていく予測の力が試されることになります。
予測に「絶対」はないため、リスク管理が絶対不可欠です。事前のコンセンサスと乖離した数値が発表された場合、マーケットにおいてギャップ(窓)を伴う価格急変の可能性がありますが、その際にリスク管理の見積もりを元に発注していた逆指値注文を飛び越え、大きく乖離した価格で約定する危険性もあります。どんな金融商品を取引するにせよ、できるだけ大きい値幅での動き、その動きも広い範囲での振幅まで考慮し、資金や注文、そして手仕舞い戦略などに余裕を持たせておくことが重要です。
なお、世界各国の中央銀行では、通常インフレ率は年率2~3%の成長を目標範囲としていることが多く、また実際に目標数値について言及されていることを考慮しながら、NFPなどの経済指標で金融政策がどう動くかを読むとよいでしょう。

【発表後】
発表後の取引は比較的慎重なアプローチといえるでしょう。ただ安全というわけではなく、相応のリスクがあります。NFP発表直後の反射的なマーケットの動きは最終的な結論というわけではありません。NFP発表後にある方向に急激に動いた後、数分または数時間で大きく戻すケースは過去の例からも十分に論じられています。


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