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FOMCまとめ: 「緩和的」からの脱却

今回のFOMCでは、かねて広く予想されたとおり0.25%の利上げが発表されました。これはすでに以前より材料としては織り込み済みでしたが、より興味深かったのは、金融政策と経済情勢予想についてのコメントだったといえるでしょう。

金融政策への言及においてはたった一つの変更が加わったのみですが、この意味は大きいものがありました。これまで長きにわたり使用してきた「緩和的」という表現が削除されたのです。この変更は遅かれ早かれ必要だった(そもそも、すでに量的緩和はストップして縮小が開始され、政策金利もここ数年ですでに8回も上げられています)とはいえ、FRB政策当局者が現在の金利と経済の実態のバランスが「中立的」なレベルに近づいていると判断しつつあるということが読み取れます。もちろん、インフレ傾向がFRBの目標に届いておらず、失業率が長期予測よりも下回っており、また様々な財政刺激策が経済全体に波及していることから、いかに「中立的」との表現であっても、それ以上のタカ派的な利上げが来年またそれ以降にも実施される可能性は大いにあります。このため、今回の変更が、現在の利上げサイクルが近いうちに終わるということを意味するものではないでしょう。

FRBは、構成メンバーそれぞれの主要経済指標の予測についても発表していますが、政策金利は2019年また2020年に至る長期的な視点で引き締め傾向にあり、金利の予測中央値は2018年2.375%、2019年3.125%、2020年3.375%と変わっていません。更に長期の目標の中央値は3.000%に少し上がっています。また、FRBはGDP成長予測を2018年3.1%、2019年2.5%と上方修正し、2019年のコアPCEインフレ予測も若干修正して2.0%にしました。

これらを総合すると、FRBの見解では米国経済は期待通りの成長を続けており、今後も5回の利上げ(本年は12月にもう1回、2019年に3回、2020年に1回)を予定通り行うとの見通しのようです。フェデラルファンド先物のトレーダーにも幾分心強い材料となっているようで、12月の利上げのプライスは80%から86%に上がっています。

パウエル議長はこの決定についての記者会見で、発表内容と経済予測における全体として楽観的なトーンを強調しました。また注目すべき点として、今回の「緩和的」との表現の削除につき、金融政策の変更を示唆するものではなく、単に経済情勢が事前の計画と期待に沿って推移しているというに過ぎないと表明しています。

マーケットの反応
FRBの発表内容に対し、当初マーケットは不規則な反応を見せ、ドルは主要他通貨に対し40 Pipsほど下げましたが、その後また値を戻しています。これと連動するかのように、株式や債券は「ハト派的利上げ」が好感されたのか当初上昇しましたが、その後結局調整が入り大まかには元のレベルに戻ったようです。米国の主要指数はおよそ0.2%の値上がり、ベンチマークとなる米10年国債は3.06%となっています。