【前日の為替概況】ドル円、3 日ぶり小反落 入札好調で米長期金利が低下

8 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3 営業日ぶりに小反落。終値は110.25 円と前営業日NY 終 値(110.28 円)と比べて3 銭程度のドル安水準だった。欧米株価の下落を背景に、対欧州・オセアニア 通貨中心にドル買いが進むと、円に対してもドル買いが先行。23 時30 分過ぎに一時110.39 円付近まで 値を上げた。ただ、アジア時間に付けた日通し高値110.45 円を上抜けることは出来なかった。この日実 施された米10 年債入札が「好調だった」と伝わると、米長期金利が低下幅を拡大。ドル円にも売りが出 て、一時110.17 円付近まで下押しした。もっとも、日本時間夕刻に付けた日通し安値110.14 円や一目均 衡表雲の上限110.11 円が目先サポートとして意識されると下げ渋った。

なお、米連邦準備理事会(FRB)が公表した米地区連銀経済報告(ベージュブック)では「新型コロナ ウイルス感染再拡大で景気回復に影響が出るとの懸念が増大する中、米経済活動は緩やかなペースにやや 減速した」との認識が示されたが、相場の反応は限られた。

ユーロドルは3 日続落。終値は1.1816 ドルと前営業日NY 終値(1.1840 ドル)と比べて0.0024 ドル程 度のユーロ安水準だった。欧米株の下落を背景にリスク・オフのドル買いが優勢となり、23 時30 分過ぎ に一時1.1802 ドルと日通し安値を更新した。市場では「明日の欧州中央銀行(ECB)定例理事会を前に、 ポジション調整目的の売りが出た」との声も聞かれた。

ただ、節目の1.1800 ドルがサポートとして意識されると買い戻しが優勢に。米長期金利の低下に伴う ユーロ買い・ドル売りも入り、1.1830 ドル付近まで下げ幅を縮めた。

ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁はこの日、「経済が予想通りに改善すれば、年内にテーパリング を開始するが適切だろう」「テーパリングに関するいかなる決定も、利上げのタイミングを示すものでな ない」と述べたが、目立った反応は見られなかった。

ユーロ円は3 日ぶりに反落したものの、NY 市場に限れば狭いレンジでのもみ合いだった。終値は130.27 円と前営業日NY 終値(130.58 円)と比べて31 銭程度のユーロ安水準。ドル円とユーロドルの値動きの 影響を同時に受けたため、相場は方向感が出なかった。NY 時間の安値は130.23 円、高値は130.42 円で 値幅は19 銭程度だった。

南アフリカランドは堅調だった。対ドルでは一時14.1629 ランド、対円では7.78 円まで値を上げた。 クガニャゴ南アフリカ準備銀行(SARB)総裁が「インフレ目標レンジを現行の3-6%ではなく、3-4% 程度かつプラスマイナス1%の誤差を認めることが有益」と発言したことなどが材料視された。

【本日の東京為替見通し】ドル円はもみ合いか、今晩の欧米時間はイベント・講演多数ぐ

本日のドル円はもみ合いとなるか。昨日は1 日高値を小幅に上回るものの、110 円半ばから後半にかけ て観測されている売りオーダー手前で反転し、前日の朝とほぼ同水準に戻している。新たなドル買い要因 となる理由が東京時間に流れることがない限り、上値をあえてトライしていくことは難しいだろう。一方 で、昨日発表された7 月のJOLT 求人件数は前月に続き過去最高を更新するなど、米国での人材不足が指 摘されている。先週末発表された米雇用統計の悲観的な捉え方を打ち消している市場参加者も出ているこ とで、ドルを積極的に売り進める地合いでもない。

ただし、米国の政治状況がリスク要因であることには目を向けておきたい。昨日、イエレン米財務長官 は「債務上限の回避措置は10 月中に尽きる公算が大きい」と発言した。米国議会予算局(CBO)も7 月か ら債務不履行(デフォルト)リスクについて、議会に対応を促していたが、財務長官も同様な動きをみせ ている。米議会での3.5 兆ドルの景気刺激策の審議を含め、米国の政治状況が今後金融市場に影響を与え る可能性は高く、要注意となりそうだ。

なお、本日の東京時間での経済指標では8 月の中国消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)が 注目される。最近は中国の経済指標での為替市場の動きは限られているが、結果次第で原油先物価格など が動き、それに連れて資源国通貨が反応することありそうだ。

東京時間は上述の中国の経済指標以外は大きなイベントは少ないが、本日夜には欧州中央銀行(ECB) 定例理事会、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、エバンス米シカゴ連銀総裁、ボウマンFRB 理事、ウ ィリアムズ米NY 連銀総裁の講演などが予定されていることで、市場が大きく動くリスクがありそう。な お、ECB は資産購入の減額が協議される可能性もあり、要警戒となりそうだ。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◇ 8 月マネーストックM2(予想:前年比4.6%)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)

<海外>
○10:30 ◎ 8 月中国消費者物価指数(CPI、予想:前年比1.0%)
○10:30 ◎ 8 月中国生産者物価指数(PPI、予想:前年比9.0%)
○15:00 ◇ 7 月独貿易収支(予想:146 億ユーロの黒字)
○15:00 ◇ 7 月独経常収支(予想:180 億ユーロの黒字)
○18:00 ◎ 4-6 月期南アフリカ経常収支(予想:3051 億ランドの黒字)
○20:00 ◎ 8 月メキシコCPI(予想:前月比0.20%)
○20:45 ☆ 欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:0.00%に据え置き)
○21:00 ◎ 8 月ブラジルIBGE 消費者物価指数(IPCA、予想:前月比0.71%)
○21:30 ☆ ラガルドECB 総裁、定例記者会見
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:33.5 万件/274.4 万人)
○24:00 ◇ EIA 週間在庫統計
○10 日00:05 ◎ デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○10 日00:05 ◎ エバンス米シカゴ連銀総裁、あいさつ
○10 日01:00 ◎ マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁、会見
○10 日02:00 ◎ ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○10 日02:00 ◎ 米財務省、30 年債入札
○10 日03:00 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、あいさつ

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

8 日13:41 中国軍
「米軍艦がミスチーフ礁付近の海域に侵入した」

8 日13:59 エルドアン・トルコ大統領
「カブールの国際空港を巡る問題で明るい進展はない」

8 日22:37 イエレン米財務長官
「債務上限の回避措置は10 月中に尽きる公算大きい」

8 日23:00 カナダ銀行(BOC、カナダ中央銀行)声明
「毎週の国債の純買い入れ目標を20 億加ドルで維持」
「世界経済回復は、米国の力強い成長に牽引され第2 四半期まで続き、第3 四半期に向け堅調な勢い見せた」
「ただ、サプライチェーンの混乱により一部セクターで活 動が抑制」
「多くの地域で新型コロナウイルスが拡大しているため、 世界的な回復の強さにリスクが生じた」
「理事会は回復には引き続き大規模金融政策が必要で あると判断」
「2%インフレ目標の持続的達成のため政策金利を下限 で維持」
「現時点予測で政策金利維持は2022 年後半まで継続」
「量的緩和プログラムは引き続きこのコミットメントを強 化し、イールドカーブ全体で低金利を維持」
「債券購入ペースについての決定は回復の強さと理事 会の継続的な評価によって導かれる」
「今後も回復を支え、インフレ目標を達成するために、適 切な金融政策刺激策を提供」
「GDP 第2 四半期に約1%縮小、7 月予測より弱かった」
「労働市場の不均一性は減少したものの、かなりの緩み が残っている」
「新型コロナ第4 波と継続的な供給のボトルネックが回 復を圧迫する可能性があるものの、2021 年下半期には 経済が強化されると予想」
「インフレ押し上げ要因は一時的なものであると予想」
「ただ、持続性と規模は不確実で、綿密に監視する」
「賃金上昇は緩やかであり、中期的なインフレ期待は依 然として抑制されている」

9 日00:25 ラムスデン・イングランド銀行(英中銀、BOE) 副総裁
「目標を上回る現在のインフレは一時的である可能性」
「私はデフレシナリオよりもインフレシナリオを優先」

9 日00:31 ベイリー英中銀(BOE)総裁
「経済回復は短期的に横ばい」
「インフレが持続する可能性は低い」
「商品価格が上昇し続ける可能性は低い」
「サプライチェーンのボトルネックは解決すると予想」
「市場曲線はある程度の利上げを示唆」
「最低限の条件は満たしたと考えるが、利上げを実施す るには十分ではない」

9 日00:36 テンレイロ英金融政策委員会(MPC)委員
「今後のインフレ率の上昇は一時的なものであるとする 8 月MPC 見通しに同意」
「マイナス金利が緩和手段として利用できるため、QE 縮 小を早期に開始することも可能」
「テーパリングが予測可能な形で実施されるならば、市 場への影響は小さいだろう」

9 日01:36 ブロードベント英中銀(BOE)副総裁
「利上げの最低条件は満たされたと思うが、中期的な視 点を重視する必要がある」

9 日02:30 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
「経済が予想通り改善すれば、年内のテーパリングが適 切となる可能性」
「資産買い入れ終了後も金融政策スタンスは回復支援」
「労働市場のさらなる改善を確認したい」
「来年はインフレ率が2%に戻ると予想」
「成長ペースは前半に比べてやや鈍化している」
「最大の雇用に戻るにはまだ長い道のり」
「現在、資産価格は非常に高い」

9 日03:08 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
「米経済活動はやや緩やかなペースにシフトした」
「経済活動の減速は、主にほとんどの地区での外食、旅 行、観光の後退が要因」
「一部の地区では、自動車以外の小売売上高の伸びが やや鈍化した」
「いくつかの地区では賃金上昇が指摘された」

9 日04:44 ホワイトハウス
「我々の期待と希望は、議会が期限前に債務上限につ いて決定すること」

※時間は日本時間

〔日足一目均衡表分析〕

fx morning 09092021 chart 1

<ドル円=雲の上限を支えとしたじり高の流れ続くか>
小陰線引け。一時110.45 円と、1 日高値110.42 円わずか ながら上回り8 月13 日以来の水準をつけている。
一目均衡表・雲を上回る水準で直近高値を抜けたにもかか わらず上昇が加速しなかった点は気になるが、雲の上限 110.11 円は維持した。本日110.19 円へじわりと切り上がる 雲の上限を支えに、じり高の流れが続くか。

レジスタンス1 110.80(8/11 高値)
前日終値 110.25
サポート1 109.90(90 日移動平均線)
サポート2 109.41(8/24 安値)
fx morning 09092021 chart 2

<ユーロドル=下押しても基準線などが下落幅拡大を抑制>
下影陰線引け。1 日以来、1 週間ぶりの1.18 ドル割れに迫 る場面があった。目先のサポートと目された一目均衡表・転 換線1.1822 ドル付近まで戻したが、回復しきれていない。 本日1.1846 ドルへ切り上がった同線へ追随できるか見定め る局面となる。それができなくとも、1.1780 ドル台で推移す る一目・基準線や21 日移動平均線が下落幅の拡大を抑制す るとみる。

レジスタンス1 1.1909(9/3 高値)
前日終値 1.1816
サポート1 1.1787(日足一目均衡表・基準線)
fx morning 09092021 chart 3

<ポンド円=転換線を支えとしたさらなる戻り想定>
下影小陰線引け。2 日以来の水準151.47 円まで下押したが、 151.38 円に位置していた一目均衡表・転換線が支えになるよ うな格好となり、一目・雲の下限151.79 円を回復した。底 堅さを示す下ひげが長めの足型を形成している。本日151.63 円へ切り上がる転換線を支えにさらに戻す展開を想定する が、割り込むようであれば、一目・基準線151.25 円が目先 的に下支えになるかもしれない。ただ、同線は次週半ばには 低下し始める公算。サポートとしての継続性を確信しきれず、 8 月31 日安値など151 円付近まで下値余地を見ておくべきか。

レジスタンス1 152.30(9/3 高値)
前日終値 151.84
サポート1 151.07(8/31 安値)
fx morning 09092021 chart 4

<NZ ドル円=転換線がじり安の流れ下支えしそう>
極小陰線引け。3 日の78.65 円を目先の高値にじり安とな っている。一目均衡表・雲の上限77.73 円が、下押しの落ち 着きどころになるかもしれない。来週早々に低下へ転じる同 線が、しっかりしたサポートにならないことも考えられるが、 その場合でもやや下の現在77.68 円で上昇傾向の一目・転換 線は支えになるとみていいだろう。

レジスタンス1 78.65(9/3 高値)
前日終値 78.28
サポート1 77.68(日足一目均衡表・転換線)
fx morning 09092021 chart 5

情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社

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