【前日の為替概況】ドル円、続落 入札が堅調となり米長期金利が1.28%台まで低下

9 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続落。終値は109.72 円と前営業日NY 終値(110.25 円)と 比べて53 銭程度のドル安水準だった。米長期金利の低下などをながめ円買い・ドル売りが先行。この日 実施された米30 年債入札が「堅調」だったことを受けて、米長期金利の指標である米10 年債利回りが 1.28%台まで低下幅を拡大すると、全般ドル売りが活発化した。2 時過ぎに一時109.62 円と日通し安値 を更新した。一目均衡表の雲(上限:110.19 円、下限:109.92 円)を下抜けたことでテクニカル的な売 りも出やすかった。ただ、8 月米雇用統計が発表された3 日の安値109.59 円が目先サポートとして働く と下げ渋った。米長期金利が低下幅を縮めたことも相場を下支えした。

なお、米労働省が発表した前週分の米新規失業保険申請件数は31.0 万件と予想の33.5 万件より強い内 容となり、昨年の新型コロナウイルス感染拡大以降の最少を更新。米雇用情勢の改善が示されたものの、 為替相場への影響は限定的だった。

ユーロドルは4 営業日ぶりに小反発。終値は1.1825 ドルと前営業日NY 終値(1.1816 ドル)と比べて 0.0009 ドル程度のユーロ高水準だった。欧州中央銀行(ECB)がこの日の理事会で政策金利を市場予想通 り0.00%に据え置き、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の買い入れ規模縮小を発表すると全般 ユーロ買いが先行。21 時過ぎに一時1.1841 ドルと日通し高値を付けた。

ただ、ラガルドECB 総裁が理事会後の会見で「PEPP 購入ペース減速はテーパリングではなく、微調整」 「ECB は次の動きについて議論していない」との考えを示すと、一転ユーロ売りが優勢に。23 時30 分過 ぎに一時1.1805 ドルと日通し安値を更新した。

もっとも、前日の安値1.1802 ドルが目先サポートとして意識されると買い戻しが優勢に。米長期金利 の低下に伴うドル売りも出て、1.1840 ドル付近まで値を戻している。

ユーロ円は続落。終値は129.74 円と前営業日NY 終値(130.27 円)と比べて53 銭程度のユーロ安水準。 ECB 理事会後に一時130.15 円付近まで強含む場面もあったが、ラガルドECB 総裁が今回の決定について 「テーパリングではない」と強調すると一転下落した。23 時30 分過ぎに一時129.67 円と日通し安値を 更新した。市場では「ECB は慎重姿勢を維持した」と受け止められた。

米ドルカナダドルは軟調だった。原油先物価格の下落を受けて産油国通貨とされるカナダドルには売り が強まる場面もあったが、マックレム・カナダ銀行(BOC)総裁が「量的緩和(QE)による景気刺激策を 継続する必要がない時期に近づいている」との考えを示すとカナダドルを買う動きが広がった。2 時過ぎ に一時1.2623 カナダドルまで値を下げた。

【本日の東京為替見通し】香港株の動向が市場の焦点に、明日からFRB はブラックアウト期間

本日の東京時間のドル円は、昨日同様に香港株を見た動きとなるか。昨日の株価の下げは、中国当局の ゲーム企業やプラットフォーム企業に対して、未成年者のゲーム利用制限の厳格な運用を求めたことを受 け、テンセント株が8%超下落するなど香港・ハンセン指数の大幅続落がきっかけとなった。為替市場の 反応は、はじめは些細なものだったが、次第に豪州株式市場が反応し、豪ドルが対ドルと対円ともに弱含 み、ドル円単体にも影響を及ぼした。本日は昨日の下げ幅が大きかったことで反発をするのか、もしくは 続落するのかを見定めることが重要になる。

明日から21-22 日の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けてブラックアウト期間に入ることで、本日の メスター米クリーブランド連銀総裁の講演以後は米連邦準備理事会(FRB)高官の発言が控えられる。今 年はクリーブランド連銀総裁には投票権がないことや、今週に入ってからのFRB 高官の発言での市場の反 応が非常に限られていることで、本日も発言で市場は動意づかないか。また、今週に入りJOLT 求人件数 や前週分の米新規失業保険申請件数など雇用指標が好結果だったのにもかかわらず、米債券・為替両市場 とも反応が鈍かったことで、本日はNY 時間も大きな動きを期待するのは難しい。

米国の政治状況では3.5 兆ドルの景気刺激策について、民主党は9 月15 日までに法案の準備を整えた いとしている。問題は現時点で反対を表明している、ウェストバージニア州選手のマンチン上院議員の行 方で、米国では連日マンチン議員の動向が注目の的になっている。現時点での為替市場への影響は限定的 だが、今後の米議会の動向が市場へ与える影響もあることで注目したい。

ドル円以外では上述したように、アジア時間では豪ドルの動きが市場を先導しそうだ。対ドルや対円だ けでなく、対NZ ドルでも8 月末にオプションのバリアを突き抜けて急落した水準が近づいていることで、 豪ドル/NZ ドルの動きも要注目となる。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
特になし

<海外>
○15:00 ◎ 8 月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比横ばい/前年比3.9%)
○15:00 ☆ 7 月英国内総生産(GDP、予想:前月比0.6%)
○15:00 ◎ 7 月英鉱工業生産指数(予想:前月比0.4%/前年比3.0%)
○15:00 ◎ 7 月英製造業生産高(予想:前月比0.1%)
○15:00 ◇ 7 月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:110.00 億ポンドの赤字/16.00 億ポンドの赤字)
○15:00 ◎ 8 月ノルウェーCPI(予想:前月比▲0.3%/前年比3.1%)
○15:45 ◇ 7 月仏鉱工業生産指数(予想:前月比0.4%)
○16:00 ◇ 7 月トルコ失業率
○17:00 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○18:30 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、記者会見
○19:10 ◎ エルダーソンECB 専務理事、講演
○19:30 ◎ ロシア中銀、政策金利発表(予想:7.00%に引き上げ)
○20:00 ◇ 7 月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比0.3%)
○21:00 ◎ 7 月インド鉱工業生産(予想:前年同月比10.7%)
○21:00 ◎ 7 月ブラジル小売売上高指数(予想:前年同月比3.5%)
○21:30 ☆ 8 月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化10.00 万人/失業率7.3%)
○21:30 ◇ 4-6 月期カナダ設備稼働率(予想:81.2%)
○21:30 ◎ 8 月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.6%/前年比8.2%)
◎ 食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.5%/前年比6.6%)
○22:00 ◎ メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○23:00 ◇ 7 月米卸売売上高(予想:前月比1.0%)
○23:00 ◇ 7 月米卸売在庫(予想:前月比0.6%)
○11 日01:00 ☆ 4-6 月期ロシア国内総生産(GDP)改定値(予想:前年比10.3%)
○ユーロ圏財務相会合(非公式)

13 日
<国内>
○08:50 ◇ 7-9 月期法人企業景気予測調査
○08:50 ◇ 8 月企業物価指数

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

9 日07:20 カプラン米ダラス連銀総裁
「9 月のテーパリング(資産購入の段階的縮小)発表、10 月開始をデータは示している」
「成長が今後数年間で2%のトレンドに減速しても驚か ない」

9 日19:05 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「年内にテーパリングが開始される可能性は残されてい る」

9 日20:49 欧州中央銀行(ECB)声明
「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)のペースをや や減速」
「インフレ率は一時的に目標をやや上回る可能性があ る」
「PEPP は少なくとも2022 年3 月末まで継続」
「PEPP の購入債券は少なくとも2023 年末まで再投資」

9 日21:36 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「経済は年末にはコロナ危機前の水準を回復するだろ う」
「景気回復の改善はますます進んでいる」
「インフレ見通しはやや上向きに修正された」
「労働市場は急速に改善している」
「2021 年GDP 見通しは5.0%(前回は4.6%)」
「2022 年GDP 見通しは4.6%(前回は4.7%)」
「2023 年GDP 見通しは2.1%(前回は2.1%)」
「2021 年インフレ見通しは2.2%(前回は1.9%)」
「2022 年インフレ見通しは1.7%(前回は1.5%)」
「2023 年インフレ見通しは1.5%(前回は1.4%)」
「欧州中央銀行(ECB)は、テーパリングではなく、微調 整を行う」

10 日00:33 ディアスデレオン・メキシコ中銀総裁
「ビットコインは決済手段というよりもボラティリティの高 い投資のようなもの」

10 日00:42 ECB 筋
「政策担当者は、PEPP の月ベース購入目標額を600 億 ユーロから700 億ユーロの間で柔軟に対応することで合 意」

10 日01:24 マックレム・カナダ銀行(BOC)総裁
「量的緩和による景気刺激策を継続する必要がない時 期に近づいている」
「テーパリングの時期は経済情勢次第」
「少なくとも利上げまでは、QE(量的緩和)で得た資金を 再投資していく」

10 日02:33 ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事
「予想通りのデータが得られれば、今年中にテーパリン グを開始することが適切」
「物価安定に関し、大きな進歩を遂げた」
「雇用の実質的進展という目標に非常に近づいている」
※時間は日本時間

〔日足一目均衡表分析〕

fx morning 10092021 chart 1

<ドル円=雲を再び下抜け>
陰線引け。一目均衡表・雲の上限110.19 円をサポートに できず、先週末3 日以来の安値109.62 円まで下落した。
ここからは雲が抵抗となり、さえない流れが続くか。雲の 中で低下中の21 日移動平均線や、109.96 円に位置する一目・ 基準線も重しとなるだろう。

レジスタンス2 110.45(9/8 高値)
レジスタンス1 110.19(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 109.72
サポート1 109.11(8/16 安値)
fx morning 10092021 chart 2

<ユーロドル=雲こなしても転換線がやがて重しに>
小陽線引け。1.1830 ドル台の一目均衡表・雲の下限を割り 込み、戻しきれずNY 引け時点で下回ったまま。相場が横ば いを維持できれば、ここから低下が続く雲の下限を上回るこ とはできる。しかし、現状からすれば、雲の中で上昇中の一 目・転換線が来週1.1856 ドルまで上昇したところで頭打ち となる公算。同線が抵抗となり、上値を重くすることが考え られる。

レジスタンス1 1.1860(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 1.1825
サポート1 1.1783(8/30 安値)
fx morning 10092021 chart 3

<ユーロ円=反発しても雲の下限前後が重そう>
陰線引け。1 日以来の129 円台へ下落してNY の取引を終え た。129 円台は、現相場水準のやや下に上昇中の21・200 日 移動平均線や、一目均衡表・基準線といった複数のテクニカ ル指標が控えている。これらの指標付近で下落の流れが停滞 し、昨日までの下落に対する自律反発のような戻りが入るこ とは想定できる。しかし、低下傾向の一目・雲の下限130.13 円や同水準付近で低下中の5 日線が上昇幅の拡大を妨げそう だ。

レジスタンス1 130.14(5 日移動平均線)
前日終値 129.74
サポート1 129.35(日足一目均衡表・基準線)
fx morning 10092021 chart 4

<豪ドル円=転換線に追随して戻しても、やがて頭打ちか>
陰線引け。一目均衡表・転換線のサポートを割り込んでNY を引けている。本日81.05 円と上昇へ転じた転換線へ追随す るように戻す展開も想定できる。しかし同線が一目・雲の中 へ入る見込みの来週14 日には、雲が抵抗となって追随しき れなくなるか。一目・基準線79.96 円方向を意識した流れへ 転じるリスクがある。

レジスタンス1 81.43(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 80.86
サポート1 80.49(ピボット・サポート2)
fx morning 10092021 chart 5

情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社

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