FX Morning 05/20/2021
FOREX.com 2021/05/20 08:00 JST
【前日の為替概況】ドル円108.57 円から109.30 円台へ、FOMC 議事要旨でテーパリング示唆
19 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は5 営業日ぶりに反発。終値は109.22 円と前営業日NY 終 値(108.90 円)と比べて32 銭程度のドル高水準。20 時30 分前に109.34 円と日通し高値を付けた後、ダ ウ平均が一時580 ドル超下落し、日経平均先物が大証終値比370 円安の2 万7600 円まで下げると、リス ク・オフの円買いが優勢となり108.57 円と日通し安値を付けた。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要 旨(4 月27 日-28 日分)で「一部の参加者は経済の急速な進展が継続すれば、今後ある時点の会合でテ ーパリング(量的緩和の縮小)を巡る討議を開始することが適切になるとの考えを示した」と伝わると、 米長期金利の上昇とともにドル買い戻しが活発化して109.30 円付近まで持ち直した。
ユーロドルは5 日ぶりに反落。終値は1.2175 ドルと前営業日NY 終値(1.2222 ドル)と比べて0.0047 ドル程度のユーロ安水準。米10 年債利回りが低下に転じた場面ではユーロ買い・ドル売りが入り1.2239 ドル付近まで上げた後、FOMC 議事要旨でテーパリングの議論開始が示唆されると全般ドル買いが優勢と なり、一時1.2160 ドルと日通し安値を付けた。
ユーロ円は反落。終値は132.98 円と前営業日NY 終値(133.10 円)と比べて12 銭程度のユーロ安水準。 米国株相場の下落を受けて、投資家がリスク回避姿勢を強めると円買い・ユーロ売りが先行し、132.64 円と日通し安値を付けた後、ドル円の上昇につれた買いが入り、133.16 円付近まで下げ渋っている。
代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインは30016 ドル前後まで下落し、下げ幅は前日比で 30%を超えたものの、売り一巡後は急速に買い戻しが進み4 万ドル台を回復した。ビットコイン円も一時 351 万円前後まで売り込まれたものの、そのあとは442 万円付近まで急速に持ち直した。
電気自動車テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が12 日に「ビットコイン決済停止」を発 表して以降、投資家心理は悪化。中国人民銀行によると、中国銀行業協会などは19 日までに金融機関に 対してビットコインなど仮想通貨の関連業務を禁じる通知を出したと伝わった。
【本日の東京為替見通し】ドル円、NY 株安と米金利高で動きづらい展開か
本日の東京外国為替市場のドル円は、ニューヨーク株式市場の下落を受けたリスク回避の円買いと、米 10 年債利回りの1.67%台までの上昇を受けたドル買いで動きづらい展開が予想される。
8 時50 分に発表される4 月貿易統計(通関ベース)の予想は、季節調整前が1400 億円の黒字、季節調 整済が704 億円の黒字となっている。2021 年1-3 月期の対米貿易黒字は1 兆3368 億円となっており、昨 年同時期の1 兆4364 億円から減少しており、バイデン米政権はトランプ前政権のように、日米貿易不均 衡の是正を打ち出していないことから、注目度合いは低下している。
10 時30 分に発表される4 月豪雇用統計の予想は失業率が5.6%、新規雇用者数が+1.50 万人となって おり、3 月の+7.07 万人からの悪化が見込まれている。豪政府が3 月末まで行っていた雇用維持対策の給 与補助制度(ジョブキーパー制度)廃止の影響に要注目となるが、ポジティブサプライズならば、7 月の 豪準備銀行(RBA)理事会での債券買い入れの延長の可能性が低下することになり豪ドル買い材料となる。
昨日発表された1-3 月期豪賃金指数は前年比+1.5%だったものの、RBA がインフレ目標達成に必要な賃 金指数3-4%を下回っていたことで、RBA のフォワードガイダンスである「利上げの条件は2024 年まで満 たされない見込み」が豪ドルの上値を抑える状況が続いている。
4月27-28 日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、「幾人かの参加者は経済が委員会の目標 に向けて急速な進展を続ければ、今後の会合のいずれかに資産購入ペースの調整に関する計画を協議し始 めるのが適切になるかもしれないと提案した」と記され、早期テーパリング(資産購入の段階的縮小)へ の警戒感が高まっている。
2013 年5 月22 日の議会証言で、バーナンキ第14 代FRB 議長は「今後、幾度かの会合を経て、債券の 購入ペースを徐々に減速することで量的緩和を縮小する可能性がある」と述べ、テーパリング(資産購入 の段階的縮小)を示唆したが、2013 年3 月のFOMC 声明がテーパリングの可能性を警告していたことで、 要警戒なのかもしれない。
ドル円のオーダー状況は、上値には、109.40 円から110.00 円かけて断続的にドル売りオーダー、110.00 円には本日のNY カットオプションが控えている。下値には、108.40-50 円に断続的にドル買いオーダー が控えている。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◎ 3 月機械受注(予想:船舶・電力除く民需前月比6.4%/前年比▲2.6%)
○08:50 ◎ 4 月貿易統計(通関ベース、予想:季節調整前1400 億円の黒字、季節調整済704 億円の黒字)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
<海外>
○10:30 ◎ 4 月豪雇用統計(予想:失業率5.6%/新規雇用者数1.50 万人)
○15:00 ◇ 4 月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比0.8%)
○17:00 ◇ 3 月ユーロ圏経常収支(季節調整済/季節調整前)
○18:00 ◇ 3 月ユーロ圏建設支出
○18:00 ◎ レーンECB 専務理事兼主任エコノミスト、講演
○18:05 ◎ カンリフ英中銀(BOE)副総裁、講演
○20:50 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、ホルツマン・オーストリア中銀総裁、ゲオルギエバ国際
通貨基金(IMF)専務理事、講演
○21:30 ◎ 5 月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:43.0)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:45.0 万件/364.0 万人)
○23:00 ◎ 4 月米景気先行指標総合指数(予想:前月比1.4%)
○未定 ☆ 南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表(予想:3.50%で据え置き)
○23:30 ◎ カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○23:45 ◎ ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○24:00 ◎ マックレム・カナダ銀行(BOC)総裁、あいさつ
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
19 日09:19 エング・カナダ国際貿易相
「USTR 代表に、針葉樹材の合意がカナダと米国にとっ
て最善の利益であることを繰り返し述べた」
19 日12:36 黒田日銀総裁
「日銀が物価目標の実現目指して緩和を行っている方
針は明確」
「緩和の効果だけでなく副作用にも配慮し丁寧に政策運
営」
「持続性と機動性を増した現行政策の枠組みで強力な
緩和を続ける」
19 日21:02 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「4-6 月期にはプラス成長となる見込み」
「景気が回復すれば金利も上昇するだろう」
「正当化できない金利の上昇があった場合は行動を起
こす」
19 日23:15 ブラード米セントルイス連銀総裁
「2022 年もインフレ率は2%を超えると予想」
「FRB は必要に応じて政策計画を変更する」
「見通しを変更する前に、より多くのインフレデータを確
認したい。データは非常にノイズが多い」
20 日00:53 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「資産価格について懸念することに多大な時間を費やし
ていない」
「市場は経済的楽観論を反映」
「暗号通貨は体系的な意味を持たない」
20 日03:05 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
「顕著な進展にはしばらく時間がかかる可能性が高い」
「経済は目標から依然として程遠い」
「一部参加者は今後の会合でテーパリング協議開始と
予想」
「インフレは一過性の上昇のあと和らぐ見通し」
「見通しへのリスクは過去数カ月ほど高くはない」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=基準線を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。一目・転換線は基準線を上回り、遅行スパンは
実線を上回り、一目・雲の中で引けているものの、買いシグ
ナルが優勢な展開となっている。4 手連続陰線で下落後、孕
み線で反発して、転換線を上回って引けたことから続伸の可
能性が示唆されている。
本日は、基準線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線
を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 | 109.67(日足一目均衡表・雲の上限) |
前日終値 | 109.22 |
サポート1 | 108.64(日足一目均衡表・基準線) |
サポート2 | 107.69(日足一目均衡表・雲の下限) |

<ユーロドル=基準線を支持に押し目買いスタンス>
陰線引け。一目・転換線は基準線を上回り、遅行スパンは
実線を上回り、一目・雲の上で引けていることから、三役好
転の強い買いシグナルが点灯している。4 手連続陽線で上昇
した後、孕み線で反落したものの、転換線を上回って引けて
いることから反発の可能性が示唆されている。
本日は、基準線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線
を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 | 1.2245(5/19 高値) |
前日終値 | 1.2175 |
サポート1 | 1.2094(日足一目均衡表・基準線) |

<ユーロ円=転換線を支持に押し目買いスタンス>
陰線引け。一目・転換線は基準線を上回り、遅行スパンは
実線を上回り、一目・雲の上で引けていることから、三役好
転の強い買いシグナルが点灯している。3 手連続陽線で上昇
した後、孕み線で反落したものの転換線を上回って引けてい
ることから反発の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線
を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 | 133.44(5/19 高値) |
前日終値 | 132.98 |
サポート1 | 132.57(日足一目均衡表・転換線) |

<豪ドル円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。一目・転換線は基準線を上回り、遅行スパンは
実線を上回り、一目・雲の上で引けていることから、三役好
転の強い買いシグナルが点灯している。18 日の寄引同事線の
後、陰線で下落して転換線を下回って引けていることで続落
の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を
上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 | 84.92(日足一目均衡表・転換線) |
前日終値 | 84.39 |
サポート1 | 83.81(日足一目均衡表・雲の上限) |

情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社