ドル円、反発 株安背景のリスク・オフのドル買いと米長期金利上昇が支援に

【前日の為替概況】ドル円、反発 株安背景のリスク・オフのドル買いと米長期金利上昇が支援に

30日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。終値は130.39円と前営業日NY終値(129.88円)と比べて51銭程度のドル高水準だった。アジア市場では129.21円まで売り込まれる場面もあったが、海外市場に入るとじりじりと下値を切り上げた。米長期金利の上昇に伴う円売り・ドル買いが出たほか、米国株相場の下落を背景にリスク・オフのドル買いが入った。アジア時間の高値130.29円を上抜けると一時130.57円まで上値を伸ばした。

ウォールストリート・ジャーナル紙のFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス記者が29日、「米連邦準備理事会(FRB)当局者は労働市場が非常に逼迫しているため、ディスインフレが短命に終わるのではないかと不安を表明している」「賃金上昇や低い失業率がインフレを再び助長させるのかどうかを議論している」と報じ、ややタカ派的な見方を示したことも引き続きドル買いを促した。

ユーロドルは3日続落。終値は1.0851ドルと前営業日NY終値(1.0868ドル)と比べて0.0017ドル程度のユーロ安水準だった。欧州市場ではスペインの1月消費者物価指数(CPI)速報値が予想を大幅に上回ったことで、欧州中央銀行(ECB)が大幅な利上げを継続するとの観測が高まり一時1.0914ドルと日通し高値を付けた。

ただ、26日に付けた約9カ月ぶりの高値1.0929ドルがレジスタンスとして意識されると徐々に弱含む展開に。NY市場に入ると、米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが出たほか、米国株安を背景にリスク・オフのドル買いが入った。市場では「月末が近づく中、ロンドン16時(日本時間1時)のフィキシングに絡んだユーロ売りのフローが観測された」との声が聞かれた。430分前には一時1.0839ドルと日通し安値を更新した。

なお、主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時102.31まで上昇した。

ユーロ円は反発。終値は141.52円と前営業日NY終値(141.15円)と比べて37銭程度のユーロ高水準。24時前に一時141.98円と日通し高値を付けたものの、買い一巡後は伸び悩んだ。ユーロドルの下落や米国株安が相場の重しとなった。

 

【本日の東京為替見通し】明日のFOMC控え神経質な動きに、豪・中の経済指標にも注目

本日の東京時間のドル円は、月末に絡んだ実需フローや米金融政策への思惑で引き続き神経質な動きになりそうだ。昨日は、米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて欧米市場では米金利が上昇し、連れてドル円は底堅い動きとなった。

米金利については、スペインのインフレ率が予想以上に上昇していたことで欧州金利が上昇し、それに追随した面もあったようだ。また、米WSJ紙のFEDウォッチャーとして知られるティミラオス記者によるタカ派的な見方の記事やツイートも、年央以降に米利下げを期待する市場筋をけん制した形となった。欧州金利、FEDウォッチャーの記事に関する反応は既に終わっているとすれば、結局はFOMC待ちということになり、強い方向感は出づらいかもしれない。

本日は本邦12月完全失業率、12月商業販売統計速報ほか複数の経済指標が発表される。ここ最近は日本のインフレ指標には市場が反応するようになっているが、本日の指標での反応は限られそうだ。なお、昨日の東京仲値(955分頃)では、かなり売り買いが交錯していた。本日も本邦実需のフローがでやすいといわれる仲値や11時頃、また14時前後の動きには気を付けておきたい。

また、豪州からは12月小売売上高が発表予定。米株が弱かったことからアジア株も軟調推移が予想され、リスクに敏感な豪ドルも上値の重さが意識されると思われる。そういったなか、もし小売売上高が下振れるようであれば、豪ドルが下げ幅を広げる場面があるかもしれない。

そのほか、中国の1月製造業購買担当者景気指数(PMI)も発表が予定されている。コロナ感染の急拡大が一旦落ち着き、消費の回復が見られるなか、同指数は4カ月ぶりに景気判断の分岐点となる50を上回ることが期待されている。もっとも海外市場で香港・中国株先物指数は軟調に推移しており、PMIが想定したほど回復してないようであれば、リスクセンチメントの悪化につながってしまうかもしれない。

なお、NY市場では反応は鈍かったが「イスラエルの無人機がイランの武器施設を攻撃した」との報道が流れるなど、中東情勢の動きにも目を配りたい。

 

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

08:3012月完全失業率(予想:2.5%)

08:3012月有効求人倍率(予想:1.36倍)

08:5012月鉱工業生産速報(予想:前月比▲1.2%/前年比▲3.6%)

08:5012月商業販売統計速報(小売業販売額、予想:前年比3.0%)

14:0012月新設住宅着工戸数(予想:前年比0.5%)

14:001月消費動向調査(消費者態度指数 一般世帯、予想:30.5

19:00 ◇ 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)

 

<海外>

09:3012月豪小売売上高(予想:前月比▲0.3%)

10:301月中国製造業購買担当者景気指数(PMI、予想:49.8

15:3012月仏消費支出(予想:前月比0.2%)

15:301012月期仏国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比横ばい)

16:0012月独輸入物価指数(予想:前月比▲2.6%/前年比12.0%)

16:0012月独小売売上高(予想:前月比0.2%/前年比▲1.8%)

16:0012月トルコ貿易収支(予想:104.0億ドルの赤字)

16:3012月スイス小売売上高

16:4512月仏卸売物価指数(PPI

16:451月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.5%/前年比6.1%)

17:551月独雇用統計(予想:失業率5.5%/失業者数変化0.50万人)

18:3012月英消費者信用残高(予想:10億ポンド)

18:3012月英マネーサプライM4

19:001012月期ユーロ圏GDP速報値(予想:前期比▲0.1%/前年比1.8%)

21:0012月南アフリカ貿易収支(予想:55億ランドの黒字)

21:001012月期メキシコGDP速報値(予想:前期比0.3%/前年比3.4%)

22:3011月カナダGDP(予想:前月比0.1%/前年比2.7%)

22:301012月期米雇用コスト指数(予想:前期比1.1%)

23:0011月米住宅価格指数(予想:前月比▲0.5%)

23:0011月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比6.8%)

23:451月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:45.1

24:001月米消費者信頼感指数(予想:109.0

○米連邦公開市場委員会(FOMC1日目

 

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

 

【前日までの要人発言】

30日11:01 中国の衛生当局

「春節休暇中に新型コロナの顕著な感染拡大見られず」

「新型コロナの現在の感染の波は終わりに近づいている」

 

30日11:58 黒田日銀総裁

「時間かかっているが、金融緩和を続けることで賃金上昇伴う物価目標達成は可能」

「物価目標達成には賃金・物価ともに上昇する好循環が必要」

「経済をしっかり支え、賃金を上げやすい環境整える必要がある」

「YCC運用見直し、金融政策正常化の観点ではない」

「YCC運用見直し、金融緩和の持続性を高めるため」

※時間は日本時間

 

〔日足一目均衡表分析〕

ドル円=転換線付近で底堅く、基準線を試す展開予想

下影陽線引け。129.58円に位置していた一目均衡表・転換線を挟んで上下した。

本日129.44円へ低下した転換線の動きを先取りするような下押しが129.21円まで先行。しかし、26日安値129.03円を前に下げ渋って反発した。高値も130.57円と26日高値130.62円手前までで同日レンジ内の動きにとどまったが底堅い動き。転換線は本日の水準でいったん底打ちする見込みで、同線の推移に沿うような流れで一目・基準線131.00円を試す展開を予想する。

レジスタンス2      131.58(1/18高値

レジスタンス1      131.00(日足一目均衡表・基準線

前日終値                        130.39

サポート1                       129.55(ピボット・サポート1

 

<ユーロドル=21日線付近までの下押しも視野に入れた状態

上影小陰線引け。昨日1.0848ドルに位置していた一目均衡表・転換線付近で底堅さを示し、一時1.0914ドルまで上昇した。ただ、1.09ドル台で売り戻される状態は続いており、1.08ドル台へ押し返されてNYを引けている。本日早朝は1.0856ドルへ切り上がった転換線を下回って推移。一定の底堅さを維持しつつも、1.0783ドル前後で推移している21日移動平均線程度までの下押しを視野に入れた状態といえる。

レジスタンス1      1.0914(1/30高値

前日終値                        1.0851

サポート1                       1.0783(21日移動平均線

 

ポンド円下値を探る展開へ転じても転換線などが支えに

陽線引け。一時160.21円まで下押しが先行した。しかし、161.42円へ持ち直す底堅い動きだった。再び下押しがあっても、昨日安値や26日安値160.01円が目先の支えとなりそう。割り込んでも、上昇が見込まれる一目均衡表・転換線159.70円や、25日安値159.51円が支えになるとみる。

レジスタンス1      161.74(1/26高値

前日終値                        161.08

サポート1                       160.21(1/30安値

 

NZドル円雲を抜けるような強さは確信しにくい

小陽線引け。本日89.69円前後で推移している90日移動平均線の切り上がりに沿うように、一時84.71円まで上昇した。しかし、終値は84.36円で、相場の強弱の分岐点である200日線84.55円を下回って引けている。底堅さが続く可能性はあるが、薄くなった一目均衡表・雲(85.21-85.32円)を抜けて上伸するような強さは示しきれないとみる。

レジスタンス1      84.92(1/24高値

前日終値                        84.36

サポート1                       83.89(1/30安値


chart 1

chart 2
  情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社

 

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