【本日の東京為替見通し】ドル円、月末・期末の特殊玉に要警戒か

【前日の為替概況】ドル円132.89円まで続伸、欧米金融システム不安への警戒感が後退

29日のニューヨーク外国為替市場でドル円は大幅に反発。終値は132.86円と前営業日NY終値(130.89円)と比べて197銭程度のドル高水準だった。欧米の金融システム不安や米景気減速に対する警戒感が和らぎ、世界的に株価が上昇。投資家のリスク志向が改善し円売り・ドル買いが優勢になった。レジスタンスとして意識されていた一目均衡表雲の上限132.70円を上抜けて一時132.89円まで上値を伸ばした。市場では「金融システム不安が一段と和らいだことで、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ停止や利下げ転換の時期が遠のくとの見方が高まった」との声が聞かれた。

なお、パウエルFRB議長はこの日、米共和党議員との非公式会合で「年内あと1回の追加利上げを想定している」との考えを示したと伝わった。

ユーロドルはほぼ横ばい。終値は1.0844ドルと前営業日NY終値(1.0845ドル)と比べて0.0001ドル程度のユーロ安水準だった。欧州中央銀行(ECB)の利上げ継続を意識したユーロ買い・ドル売りが先行し、2030分過ぎに一時1.0871ドルと日通し高値を付けたものの、買い一巡後は徐々に上値が重くなった。FRBが利下げに転換するとの期待が後退したことでユーロ売り・ドル買いが進み、2時前に1.0824ドル付近まで下押しした。

ユーロ円は大幅反発。終値は144.07円と前営業日NY終値(141.94円)と比べて213銭程度のユーロ高水準。欧州を代表する株価指数のひとつユーロ・ストックス50指数が1.5%超上昇し、ダウ平均が330ドル超上げるとリスク・オンの円売り・ユーロ買いが優勢となった。取引終了間際に一時144.10円と日通し高値を更新した。

ユーロ円以外のクロス円も堅調だった。ポンド円は一時163.68円、豪ドル円は88.84円、NZドル円は82.68円、カナダドル円は98.01円、スイスフラン円は144.69円、南アフリカランド円は7.34円まで値を上げた。

 

【本日の東京為替見通し】ドル円、月末・期末の特殊玉に要警戒か

本日の東京外国為替市場のドル円は、3月期末決算に向けた特殊玉に警戒していくことになる。

ドル円は、28日は本邦輸出企業からのドル売りで131円台半ばから130円台半ばまで下落し、29日は本邦輸入企業からのドル買いで130円台後半から132円台後半まで上昇した。

今月のドル円の安値は24日の129.64円までで下げ止まっており、市場からは、本邦機関投資家によるレパトリエーション(国外滞留資金の本国環流)の少なさが聞こえている。

226-34日週から312-18日週までの本邦投資家による対外証券投資は、4889億円の取得超となっており、本日発表される先週分も処分超にはならないと思われる。

ドル円が底堅く推移している要因としては、実需の円売り圧力である貿易赤字が、昨年は199453億円、今年1-2月も43962億円を記録したことが挙げられる。

本日は、3月上旬分の貿易収支が発表されることで、本邦実需筋による円売り圧力を確認することになる。

足元のドル円相場は、欧米の金融システム不安や米景気減速に対する警戒感が後退し、米連邦準備理事会(FRB)が利下げに転換するとの期待が後退したことで、ドル高・円安気味に推移している。しかしながら、春闘での賃上げを受けて、427-28日の日銀金融政策決定会合では、イールドカーブコントロール(YCC)撤廃の可能性が高まりつつあることで、オプション市場では、1カ月物のドルプット・円コールの取引が話題になっている。

ドル円の一目均衡表によるテクニカル分析では、雲の上限132.70円を上回って引けていることで、三役逆転の売り時代が解消している。本日の抵抗線は、低下基調の90日移動平均線133.28円や横ばいの一目均衡表・基準線133.78円となる。

本日は、チャーマーズ豪財務相が金融規制協議会を招集すると報じられている。チャーマーズ豪財務相は、27日にラガルドECB総裁、28日にイエレン米財務長官と金融システムや金利上昇による影響を協議しており、オーストラリアの金融システムに関するヘッドラインなどには警戒しておきたい。

 

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)

 

<海外>

09:003ANZ企業信頼感

18:003月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:99.8

18:003月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲19.2

18:302月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.7%/前年比12.3%)

21:003月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.7%/前年比7.3%)

21:301012月期米国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比年率2.7%)

21:301012月期米個人消費(確定値、予想:前期比1.4%)

21:301012月期米コアPCE(確定値、予想:前期比4.3%)

21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:19.6万件/169.7万人)

○未定 ☆ 南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表(予想:7.50%に引き上げ)

3101:45 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演

3101:45 ◎ コリンズ米ボストン連銀総裁、講演

3102:00 ◎ カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演

3104:00 ◎ メキシコ中銀、政策金利発表(予想:11.25%に引き上げ)

○インド(ヒンドゥー教ラーマ神生誕日)、休場

 

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

 

【前日までの要人発言】

29日11:12 内田日銀副総裁

「基調的な物価、さまざまな指標見て総合的に判断していく」

「毎回の決定会合前の情報発信は、やらないしやるべきではない」

「イールドカーブ全体が1.5%上昇すれば、保有国債は約50兆円程度の評価損になる」

 

29日11:13 黒田日銀総裁

「金融政策運営、反省すべきとは全く考えていない」

「経済の不確実性大きい、金融緩和を継続していくことが適当」

 

29日13:32 氷見野日銀副総裁

「金融緩和を継続して経済支えることで、企業が賃上げできる環境を整えることが重要」

 

29日17:35 格付け会社フィッチ

「日本の格付けAを確認、見通しは安定的」

 

29日17:45 カジミール・スロバキア中銀総裁

「金利の引き上げを継続すべきだが、ペースは遅くなる可能性」

「コアインフレが直近の意思決定の鍵」

 

29日18:23 ハント英財務相

「(今後低下するという)インフレ見通しに自信がある」

「コアインフレは下がりづらい」

「中銀はインフレ圧力に対し過剰に反応しているとは思わない」

 

29日20:01 米上院財政委員会

「クレディスイス口座で資産2000万ドル超の超富裕層向け大口未申告口座を新たに23件確認」

 

29日23:38 イエレン米財務長官

「バイデン米大統領の最優先事項はインフレの抑制」

 

30日00:18 バー米連邦準備理事会(FRB)副議長(銀行監督担当)

「政策金利については今後のデータや金融市場の状況などを踏まえて、その都度判断していく」

 

30日03:34 米共和党のハーン下院議員

「パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は会合で年内にさらに1回の利上げを実施する可能性を示唆した」

 

※時間は日本時間


〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=三役逆転消滅、転換線を支持に押し目買い>

陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の上で引けて三役逆転は消滅したものの、売りシグナルが優勢な展開となっている。しかし、抱き線で上昇して転換線を上回って引けているため続伸の可能性が示唆されている。

本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2      135.11(3/15高値

レジスタンス1      133.78(日足一目均衡表・基準線)

前日終値                        132.86

サポート1           131.32日足一目均衡表・転換線

サポート2           130.32(3/23安値)

 

<ユーロドル=転換線を支持に押し目買いスタンス>

小陰線(寄引同事線)引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けたことで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。2手連続陽線の後、孕み線で反落したものの、転換線を上回って引けているため反発の可能性が示唆されている。

本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1      1.09303/23高値)

前日終値                        1.0844

サポート1           1.0781(日足一目均衡表・転換線)

 

<ポンド円=基準線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を下回っているものの、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、買いシグナルが優勢な展開。抱き線で反発して転換線160.98円を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。

本日は、基準線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1      164.513/1高値)

前日終値                        163.61

サポート1                       162.14(日足一目均衡表・基準線)

 

NZドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。しかし、3手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。

本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1      83.50(日足一目均衡表・雲の下限

前日終値                        82.67

サポート1                       81.99(日足一目均衡表・転換線

 

chart 1

chart 2
  情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社

 

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