【前日の為替概況】ドル円、4 日続伸 タカ派な金融政策が背景の米長期金利の上昇圧力継続

27 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は4 日続伸。終値は111.00 円と前営業日NY 終値(110.73 円)と比べて27 銭程度のドル高水準だった。22 日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でテーパリングの年 内着手や2022 年中の利上げ開始の可能性が示され、米長期金利の上昇に圧力がかかる中、この日もドル 買いが継続した。21 時前には一時111.06 円と7 月5 日以来の高値を付けた。その後の下押しも110.78 円付近にとどまった。

米長期金利の指標である米10 年債利回りは一時1.5131%前後と6 月28 日以来約3 カ月ぶりの高水準 を付けた。

なお、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁は「テーパリングは近く正当化されるだろう」と述べた一 方、「利上げの基準はまだ満たしていない」と発言し、早期の利上げについては慎重な姿勢を示した。ま た、ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事は「テーパリングのアナウンスを利上げのシグナルと捉 えるべきではない」などと述べた。

ユーロドルは続落。終値は1.1695 ドルと前営業日NY 終値(1.1720 ドル)と比べて0.0025 ドル程度の ユーロ安水準だった。ただ、NY 市場に限れば1.1700 ドルを挟んだ狭いレンジ取引に終始した。NY 時間の 安値は1.1689 ドル、高値は1.1711 ドルで値幅は0.0022 ドル程度だった。

なお、FOMC メンバー内でタカ派として知られるローゼングレン米ボストン連銀総裁は今月末に、カプ ラン米ダラス連銀総裁は10 月8 日に退任すると伝わった。両総裁については、FRB がコロナ禍対応で異 例の金融緩和や資金供給策に踏み切った昨年にアクティブ運用の株式取引などをしていたことが報じら れ、倫理的な懸念が浮上していた。

ユーロ円は小幅ながら4 日続伸。終値は129.83 円と前営業日NY 終値(129.77 円)と比べて6 銭程度 のユーロ高水準。独連立協議の行方が混沌とする中、円買い・ユーロ売りが先行し一時129.48 円と日通 し安値を付けたものの、そのあとはドル円の上昇につれた買いが優勢となり129.94 円と日通し高値を付 けた。その後の下押しも129.66 円付近にとどまった。

26 日投開票の独連邦議会選挙(総選挙)では、中道左派、独社会民主党(SPD、社民党)が、メルケル 首相の所属する中道右派、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)に僅差で勝利した。ただ、いずれの政 党も単独では過半数の議席を獲得できず、連立協議は難航が予想されている。

【本日の東京為替見通し】ドル円は年初来高値を意識か、半期末応当日や恒大リスクには要警戒

本日のドル円は、昨日に続き米金利が上昇していることもあり、7 月2 日につけた年初来高値111.66 円を意識した動きとなるか。昨日も本邦を中心とした売りオーダーをこなしながら、緩やかに上値を切り 上げた。本日は月末(半期末)応当日いわゆるスポ末ということもあり、通常以上に実需勢の売りが上値 を抑える局面もあるだろう。しかしながら、米金利の動向を見る限りは、現時点では急落するような地合 いではないことで、売りをこなしながらじり高となるのがシナリオとしては可能性が高そうだ。

ただし、大きなダウンサイドリスクをはらんでいることには警戒が必要だろう。一番大きなリスクとし ては、依然として中国政府が沈黙を貫いている恒大問題。23 日が期限だったドル建て債利払いについて は、猶予期間が30 日間あることで早急に結論が出るかは不明だが、一部では「今週末10 月1 日の国慶節 前に中国政府が恒大問題で何らかの決断を下す」との観測もある。国慶節まで残り日数が少ないことで、 中国政府の動きは引き続き目が離せない。

また、米国のインフラ法案と連邦債務上限引き上げについても注目しておきたい。本日の日本時間23 時頃に、パウエルFRB 議長とイエレン米財務長官が米上院銀行委員会で「コロナウイルス支援・救済・経 済保障法」(CARES 法)について証言を行うことになっている。昨日は、ペロシ下院議長(民主党)が「イ ンフラ投資法案は30 日に採決」と発言したが、上下両院ともに法案と債務上限の両問題の解決に向けて の交渉が行われている。この交渉がどのように進むかにより、為替市場にも影響を及ぼす可能性がある。

ドル円以外では、昨日のアジア時間でも市場の動きを牽引した豪ドルやカナダドルの動きにも注目した い。昨日は、豪ドルはシンガポール取引所(SGX)で鉄鉱石価格が急騰したことで堅調な動きになった。 また、時間外のWTI 原油先物相場が2018 年10 月以来の水準まで上昇したことで、産油国通貨とされるカ ナダドルが買われた。NY のWTI11 月限終値も5 日続伸して引けるなど、原油価格が続騰して引けている。 本日もコモディティ価格や原油価格の動きからも目が離せないだろう。

なお、独総選挙は現副首相兼財務相のショルツ氏が所属する中道左派・社会民主党(SPD)が最多得票 を獲得した。ショルツ氏は緑の党と自由民主党に連立を働きかけている。各政党の色でいえば赤・緑・黄 の信号連立となるかが注目されている。ただし、自由民主党は幾度となく連立に含みを持たせる発言をす るが、最終的には参加をしないことが多いことで、連立が樹立するにはまだまだ時間を要することになり そうだ。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ☆ 7 月15-16 日分の日銀金融政策決定会合議事要旨

<海外>
○10:30 ◎ 8 月豪小売売上高(予想:前月比▲2.5%)
○15:00 ◇ 10 月独消費者信頼感指数(Gfk 調査、予想:▲1.6)
○15:45 ◇ 9 月仏消費者信頼感指数(予想:100)
○20:00 ◇ 8 月メキシコ失業率(季節調整前、予想:4.40%)
○21:00 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、あいさつ
○22:00 ◎ エバンズ米シカゴ連銀総裁、あいさつ
○22:00 ◇ 7 月米住宅価格指数(予想:前月比1.5%)
○22:00 ◎ 7 月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比20.0%)
○22:45 ◎ パネッタECB 専務理事、講演
○23:00 ☆ パウエルFRB 議長とイエレン米財務長官が米上院銀行委員会で「コロナウイルス支援・救済・ 経済保障法」(CARES 法)について証言
○23:00 ◎ 9 月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:10)
○23:00 ◎ 9 月米消費者信頼感指数(予想:114.5)
○24:00 ◎ シュナーベルECB 専務理事、講演
○29 日02:00 ◎ 米財務省、7 年債入札
○29 日02:40 ◎ ボウマンFRB 理事、講演
○29 日04:00 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演

29 日
○08:00 ◎ ブラード米セントルイス連銀総裁、講演

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

27 日08:46 ペロシ米下院議長
「インフラ投資法案は30 日に採決へ」

27 日14:40 黒田東彦日銀総裁
「経済はデルタ株の流行で不透明感が強い状態にある」
「国内景気は感染症の影響で厳しい状況にあるが、基 調としては持ち直している」
「感染症の影響を注視し、必要なら躊躇なく追加緩和を 行う」

27 日18:33 社会民主党(SPD)ショルツ氏
「緑の党と自由民主党(FDP)と連立政権を組みたい、連 立を目指す」
「クリスマスまでの連立合意を望んでいる」

27 日18:36 中国人民銀行(PBOC)
「中国の景気回復は不安定で不均衡」
「穏健な金融政策は柔軟で焦点をまとめるべき」

27 日20:28 ゼーダー独キリスト教社会同盟(CSU)党首
「CDU(キリスト教民主同盟)とCSU は、組閣の負託を得 ていない」

27 日21:06 エバンズ米シカゴ連銀総裁
「利回りは予測されたインフレをそれほど反映していな い」
「長期的なインフレ期待は依然として2%を下回ってい る」
「雇用が継続すれば、すぐにテーパリングのテストを行 う」
「インフレが許容できないほど高くなっていなければ、低 い失業率は政策金利の変更を必要としない」
28 日00:54
「失業率は年末までに5%を下回る見込み」
「FRB の資産購入は経済を支援した」
「テーパリングは間もなく開始されるだろう」
「2023 年に1 回の利上げ、そのあとは緩やかな傾斜にな ると予想」

27 日21:17 ラシェットCDU 党首
「組閣を断念する考えはない」

27 日21:09 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「インフレが中期的に目標の2%を下回ったままであるこ とが基礎シナリオ」
「予想よりも強い価格圧力につながる可能性のあるいく つかの要因があるが、今のところそういった兆候は限ら れている」
「インフレ上昇を主に一時的なものと見なし続けている」
「パンデミックの進展に依存して、成長見通しは引き続き 不透明」

28 日00:06 ベイリー英中銀(BOE)総裁
「インフレに対応するために必要なら金利も手段となる」
「金融政策は供給ショックに対応すべきではない」
「金融引き締め政策は回復を損なう可能性がある」

28 日01:05 ゲジス・ブラジル経済相
「今後10 年間でブラジル石油公社とブラジル銀行を民 営化する計画」
「ブラジルはグリーンエコノミーのインフラに25 億ドル投 資する」

28 日01:07 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
「利上げの基準はまだ満たしていない」
「テーパリングは近く正当化されるだろう」
「新型コロナの急増が雇用回復を妨げている」
「インフレは一時的」
「今年の米成長率は5.5-6.0%と予想」

28 日02:19 ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事
「テーパリングのアナウンスを利上げのシグナルと捉え るべきではない」

28 日02:19 格付け会社フィッチ・レーティングス
※先週のトルコ中銀の100bp 利下げと政策ガイダンスの 変更について
「インフレを抑制するための課題を増やし、金融政策の 信頼性の低さを浮き彫りにする」
「最近の国際金融市場におけるトルコの部分的な回復 を損ねるリスクがある」
「最近のトルコ外貨準備金の拡大を損ねるリスクもでて きた」

※時間は日本時間

〔日足一目均衡表分析〕

fx morning 28092021 chart 1

<ドル円=雲を上回る水準で堅調維持>
下影陽線引け。雲を上回る水準で堅調な推移を維持し、111 円の大台乗せを実現してNY を引けた。
7 月5 日以来の高値圏とあって、伸び悩む場面も想定でき る。しかし、下押しても目先のすう勢を示す5 日移動平均線 や昨日27 日安値が位置する110.50 円台程度の小反落にとど め、再び上値を試す底堅い展開を見込む。

レジスタンス2 111.71(2020/3/24 高値)
レジスタンス1 111.66(7/2 高値=年初来高値)
前日終値 111.00
サポート1 110.54(9/27 安値)
fx morning 28092021 chart 2

<ユーロドル=転換線が抵抗となる状況は変わらず>
小陰線引け。雲を下回る水準でじり安。さえない推移が続 きそうだ。
23 日安値1.1684 ドル目前の1.1685 ドルで下げ渋っており、 この水準の底堅さを背景に戻りを試す展開はありうる。しか し低下が続く公算の一目・転換線が抵抗となる状態は変わら ず。年初来安値をうかがうリスクは継続している。

レジスタンス1 1.1753(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.1695
サポート1 1.1664(8/20 安値=年初来安値)
fx morning 28092021 chart 3

<ポンド円=雲を上抜け買いサイン追加>
陽線引け。一目均衡表・雲の上限151.98 円を上回ってき た。雲の上抜けによる買いサイン追加で、上値を試す展開が 想定される。152.50 円台で低下中の90 日移動平均線が目先 の重し。伸び悩んだ場合、低下傾向の雲の上限は強い支えに ならないかもしれない点には注意が必要か。ただ、雲の中で 下げ渋り、151 円台は維持できるとみる。

レジスタンス1 152.57(90 日移動平均線)
前日終値 152.07
サポート1 151.40(ピボット・サポート1)
fx morning 28092021 chart 4

<NZ ドル円=21 日線の上昇に沿う流れ続くか>
下影小陽線引け。77.50 円台で低下傾向の90 日移動平均線 を上回る水準では相応の売り圧力にさらされた。77.40 円台 へ下押し、90 日線を割り込む場面もあった。しかし、77.80 円付近で上昇中の21 日線に追随する流れも感じ取ることが できる。再び調整が入っても、今後の上昇が予想される一目 均衡表・転換線77.25 円や基準線77.08 円などを支えに底堅 さを維持すると予想する。

レジスタンス1 78.26(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 77.88
サポート1 77.42(9/27 安値)
fx morning 28092021 chart 5

情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社

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