週間展望・回顧(ドル、ユーロ、円、ポンド、加ドル、豪ドル、南ア・ランド)
FOREX.com 2023/03/31 10:51 JST
週間展望・回顧(ドル、ユーロ、円)
市場の注目、米金利見通しへ
◆ドル円、一連の米経済指標や要人発言に一喜一憂か
◆イースター休暇で週末にかけては商い閑散も
◆ユーロドル、ECB の利上げ期待一段と高まる
予想レンジ
ドル円 130.00-136.00 円
ユーロドル 1.0700-1.1200 ドル
4 月 3 日週の展望
ドル円は、米金利見通しに市場の注目が改めて集まり、一連の米重要指標や米当局者の発言に一喜一憂する展開となりそうだ。
今週は月末・期末・年度末ということで、特に東京市場では特殊玉のフローが持ち込まれ、為替相場は上下に大きく振らされる展開となったが、来週は改めて米利上げ見通しを巡る思惑に市場の焦点がシフトすると見ている。現時点でも市場は年後半からの利下げを予想しており、米当局との認識の乖離が生じている状況。この乖離を埋めていくには強い経済指標で証明する必要があり、そういった意味でも来週は 4 月 3 日に 3 月米 ISM 製造業景気指数、4 日に 2 月米 JOLTS 求人件数、5 日に 3 月米 ISM 非製造業指数、7 日に 3 月米雇用統計などが予定されているため、非常に重要な週となりそうだ。
また、要人発言にも注目したい。3 月の米連邦公開市場委員会(FOMC)以降、ブラード米セントルイス連銀総裁やバーキン米リッチモンド連銀総裁、コリンズ米ボストン連銀総裁が追加利上げを示唆する発言をしたほか、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁も金利を高く据え置く必要性を訴えるなど、誰一人して利下げを匂わす発言をしていない。このうち、今年の投票メンバーはカシュカリ総裁のみだが、来週以降、投票メンバーからの金利見通しに関する踏み込んだ発言が出てくるかどうかに注意が必要だろう。
ただ、来週末はイースター休暇に入り、週後半にかけては徐々に市場参加者が減少。商いが閑散となることが想定される。特に、週末の 4 月 7 日は流動性が低下する中で米雇用統計が発表されるため、結果次第では値動きが大きくなることを警戒する声も聞かれている。
ユーロドルは、欧州金融不安が後退しているほか、インフレ高に伴って一段と欧州中央銀行(ECB)による利上げ期待が高まっていることから底堅い動きが継続しそうだ。スペインの 3 月消費者物価指数(CPI)が大きく鈍化したことで独 CPI への警戒感が一時高まったものの、結果は予想を上回った。インフレ抑制のために ECB が今後も利上げを継続するとの見方をさらに強めている。
3 月 27 日週の回顧
ドル円は欧米金融システムを巡る過度な警戒感が後退したとして株高・米金利上昇とともに買いが先行し、一時 131.76 円まで値を上げた。翌 28 日は月末・年度末に絡んだ輸出勢の売りが持ち込まれると 130.41 円まで失速したが、29 日には一転して本邦実需勢による断続的な買いが観測され、大幅反発。31 日の期末には改めて実需勢の買いから一時 133.36 円まで大きく上昇している。ユーロドルは金融システム不安の後退によりリスクオンムードが広がるなか、週明けから底堅い動きが続いた。良好な独 CPI を受けて ECB による利上げ期待が一段と高まったことも追い風となり、一時 1.0926 ドルまで買い上げられた。(了)
週間展望・回顧(豪ドル、南ア・ランド)
豪・NZ の金融政策に注目
◆RBA、市場予想は据え置きだが一部で利上げ予想も
◆RBNZ、声明文で文言の変化が見られるか
◆南ア、SARB は予想を上回る利上げを実施
予想レンジ
豪ドル円 87.00-92.00 円
南ア・ランド円 7.10-7.60 円
4 月 3 日週の展望
豪ドルは荒い値動きに注意が必要となりそうだ。欧米金融システム不安が和らいだこともあって、足もとでは投資家のリスク回避の動きも後退した。各国の金融政策に再び注目が集まるなか、4 月 4 日には豪準備銀行(RBA)が金融政策を公表する予定となっている。
前回分の議事要旨で「次回会合で利上げ休止について再検討する」などの見解が示されたことあり、市場予想は 3.60%での据え置きとなっている。ただ、一部では追加利上げを予想する向きもあり、いずれの結果でも相場は大きな反応を示すことになりそうだ。
また、同時に公表される声明文では 5 月以降の方向性を探る必要がある。市場からは 4 月の利上げ休止と 5 月の再利上げ、4 月の利上げと 5 月の利上げ休止、4 月と 5 月の連続利上げなど様々な見通しが伝わっており、現時点では先行きのシナリオが定まっていない。
豪州からは来週、4 月 4 日の RBA 金融政策決定会合のほか、4 月 3 日に 2 月住宅建設許可件数、4 月 6 日に 2 月貿易収支が発表予定。4 月 7 日はグッドフライデーで休場となる。
隣国 NZ では 4 月 5 日に NZ 準備銀行(RBNZ)の金融政策公表が予定されている。短期金融市場では 25bp 利上げと 5 月以降の追加利上げも織り込んでおり、豪州と比較しても金利先高観は強い。
前回の声明文では「金融状況をさらに引き締め続ける必要があることに同意」などの見解が示されていたが、今回の声明文で文言に変化が見られるか注目しておきたい。来週は NZ も 4 月 7 日がグッドフライデーで休場となっている。
南アフリカ・ランド(ZAR)は神経質な展開か。30 日には南アフリカ準備銀行(SARB)が市場予想(0.25%)を上回る利上げ(7.25%から 7.75%へ)を決めたこともあり、足もとでは ZAR の買い戻し基調が目立っている。テクニカル面で見ても ZAR は対ドル・対円でともに買い戻しを入れやすい状況にあるようだ。
もっとも、SARB は声明文で「電力不足やインフレの上振れリスクなどを考慮すると、今後さらに ZAR 安が進む可能性がある」とも言及。「緩和的でなくなった」としている政策金利が今後の南ア経済を圧迫する可能性もあり、現在の状況が持続的な ZAR 買いにつながるのか、慎重に見極める必要がありそうだ。なお、来週は南アフリカから重要指標の発表は予定されていないが、他の国と同じく 4 月 7 日はグッドフライデーで休場となる。
3 月 27 日週の回顧
豪ドルはしっかり。金融システム不安が緩和し、株高とともにリスクオンの流れが強まった。クロス円が全般買い優勢となるなか、豪ドル円も堅調に推移。29 日に発表された 2 月消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことで豪ドル売りが進む場面もあったが、相場への影響は一時的だった。ZAR も堅調な動き。投資家のリスク志向改善を意識した ZAR 買いが先行した。30 日には SARBが予想外の大幅利上げを決定したこともあり、対ドル・対円でともに ZAR 買いが強まった。(了)
週間展望・回顧(ポンド、加ドル)
加ドル、3 月雇用統計に注目
◆ポンド、対円では本邦年度初めの実需フローを注視
◆加ドル、3 月雇用統計に注目
◆英・加とも週末から休場、連休を控えた持ち高調整に注意
予想レンジ
ポンド円 162.00-168.00 円
加ドル円 96.00-100.00 円
4 月 3 日週の展望
ポンドは、対円では本邦実需筋から年度初めに絡んだフローがどの程度出るのか注視したい。
また、一時は警戒感が急速に高まった欧米金融機関に対する信用不安が、引き続き後退していくようであれば、リスク志向の動きがポンド相場の支えとなりそうだ。
なお、英国は日本や豪・加などがメンバーの環太平洋経済連携協定(TPP)に加盟する見通しとなった。英国は既に TPP に加盟している多くの国と自由貿易協定(FTA)を結び、日本とは更に踏み込んだ経済連携協定(EPA)を締結している。2021 年に TPP 加入申請を行い、その後の交渉もほぼ問題なく進んでいたようであり、今回の英参加決定はビッグサプライズではない。しかしながら、欧州連合(EU)を離脱した今、英経済にとって好印象を与えるのは確かだろう。もちろん地理的に近い EU との関係は依然として重要であり、そういった意味でも北アイルランドを巡る問題が 2 月に前進したことは英経済にとっては大きな意味を持っている。
英国内に目を向けると、金融監督当局がロンドン株式市場の上場制度の改革を検討していることが報じられた。ロンドンに上場する外国企業が減少しており、ライバルのニューヨーク株式市場との競争に勝つため規制の見直しが求められているようだ。改革の内容次第ではポンドに対する需要に変化がでると思われ、今後も関連ニュースには目を向けておきたい。
英経済指標では 3 月製造業とサービス部門の購買担当者景気指数(PMI)改定値などが発表予定だが、よほど速報値から上下に振れない限り動意は鈍いだろう。週半ばにかけて発表される米労働指標が週末の米雇用統計への思惑に繋がるため、そちらの方が重要視される。
加ドルにとって最大のイベントは、4 月 6 日に発表される 3 月加雇用統計。新規雇用者数変化は昨年 9 月から前回 2 月まで 6 カ月連続で増加を記録している。それも全て市場予想を上回っており、今回もポジティブサプライズは念頭に置いたほうが良さそうだ。3 カ月連続 5.0%と強い失業率が、もし昨年 7 月以来の 5.0%割れとなれば、カナダ中銀の利下げを年後半から織り込む短期金融市場も考えを改めるかもしれない。なお、加、英とも 4 月 7 日(金)はグッドフライデー、翌 4 月 10 日(月)はイースターマンデーで休場。週後半から参加者が減ることが予想され、連休を控えた持ち高調整の動きには注意が必要だろう。
3 月 27 日週の回顧
ポンドや加ドルは対円で堅調に推移した。米連邦準備理事会(FRB)で銀行監督担当のバー副議長の議会証言を経て、金融システミックリスクへの警戒感が後退。リスク志向の動きが強まったことに加え、本邦年度末に絡んだ円売りも持ち込まれた。ポンド円は 159 円半ばを底に 165 円前半、加ドル円も 95 円前半から 98 円半ばまで上値を伸ばした。
ポンドは対ドルでは 1.22 ドル前半で下値を固め、1.24 ドル手前まで上昇した。加ドルは原油先物の反発も背景に対ドルで 1.35 加ドル前半まで加ドル高に傾いた。(了)
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