ユーロ/米ドルの見通しはRSIの下降傾向により不透明に

Article By ストラテジスト

ユーロ/米ドル見通し

ユーロ/米ドルは、米国消費者物価指数(CPI)の予想外の下降を受け、週明けからより安値圏で一連の高値と安値を付けている。オシレーターは下落傾向を示していることから、相対力指数(RSI)は価格とのかい離が続く可能性がある。

ユーロ/米ドルの見通しはRSIの下降傾向により不透明に


ユーロ/米ドルは月の安値を更新し(1.0941ドル)、5月のオープニングレンジの維持が危ぶまれているようにも見えるが、もし値動きが50日間移動平均(1.0862ドル)の正の傾斜に反応すれば、最近の揺り戻しから再度4月の高値(1.1096ドル)を試す展開も考えられる。

David Songが市場ファンダメンタルズの見通しを語る週間Webセミナーにぜひご参加ください。登録はこちら

FOREX.com 経済カレンダー

生産者物価指数(PPI)は工場出荷価格のさらなる低下を示すと予想されており、さらにコアPPIは前月の前年比3.4%から4月には前年比3.3%まで縮小すると見られることから、今後米国の経済データがは引き続きユーロ/米ドル価格を揺さぶる可能性がある。

同時に、失業保険初回申請件数は4月29日の週には24万2000件から24万5000件に増加すると予想されており、失業保険申請件数の増加と合わせてインフレ緩和の兆候が見られることから、FRBは「経済は信用状況の悪化からさらなる逆風に直面しそうだ」と警告しつつ、様子見の姿勢を取ることができるかもしれない。

出典: CME

CME FedWatchツールによると、市場参加者は連邦公開市場委員会(FOMC)が政策金利を現在の5.00%から5.25%の範囲内に維持する確率を90%以上と見ている。6月14日に中央銀行の最新の経済予測サマリー(SEP)を発表する予定だが、パウエル議長らがフォワードガイダンスをさらに調整するかどうかはまだ不明だ。

それまでは、FOMCが利上げサイクルを終わらせつつあるように見えることから、政策変更近いという思惑が米ドルへの逆風となる可能性がある。2023年には欧州中央銀行(ECB)が「インフレ率を適宜2%の中期目標に戻すため、政策金利は十分に引き締める必要がある」と宣言していることから、ユーロの強さは米ドルを上回り続ける可能性もある。

以上を踏まえるとECBがさらにインフレ対策を進める可能性があることから、最近のユーロ/米ドルの弱さは一時的なものに終わるとも考えられる。しかしオシレーターは下降傾向を示していることから、相対力指数(RSI)の価格との乖離は続くかもしれない。

ユーロ価格チャート – ユーロ/米ドル日足

チャート作成:ストラテジスト、David Song。TradingViewでのユーロ/米ドルチャート

  • 4月の値動きとは異なり、ユーロ/米ドルは年間の高値(1.1096ドル)を超えられず、その後5月の始値を維持するのに苦労している。相対力指数には価格とのずれがあり、下降トレンドを反映している。
  • 1.0880ドル(23.6%のフィボナッチエクステンション)~1.0940ドル(50%のフィボナッチリトレースメント)のエリアを割り込むと、ユーロ/米ドル価格は4月の安値(1.0788ドル)まで下落する可能性がある。その次の注目エリアは1.0610ドル(38.2%のフィボナッチリトレースメント)前後となる。
  • 一方ユーロ/米ドルが1.0880ドル(23.6%のフィボナッチエクステンション)~1.0940ドル(50%のフィボナッチリトレースメント)のエリアを維持すれば、50日間移動平均(1.0861ドル)の正の傾斜に反応して値上がりする可能性があるものの、1.1070ドル(23.6%のフィボナッチリトレースメント)~1.1090ドル(38.2%のフィボナッチエクステンション)を突破し、さらに4月の高値(1.1096ドル)を超えなければ2022年3月の高値(1.1185ドル)が視野に入ってくることはないだろう。

追加資料:

豪ドル/米ドル、4月の高値を前に値上がりが失速

米ドル/カナダドルは4月の高値に向け反転、月の始値が焦点に

--- 文責:ストラテジスト、David Song




  1. 口座開設ページでご自身に最適なFOREX.com口座を選択
  2. 必要書類のアップロードとともに口座開設のお申込み
  3. 取引プラットフォームにログインしてお取引開始


本レポートに記載されている情報や見解は、一般的な情報としての使用のみを目的としたものであり、FX、CFD、その他あらゆる金融商品の購入や売却に関する勧誘や依頼の意図は全くありません。本文書に記載されている見解や情報は、予告や通知なく変更されることがあります。本文書は、特定の投資目的や背景、特定の受領者の意思などに沿って書かれ配布されたものではありません。本文書内で引用・言及されている過去の価格データは、当社独自の調査や分析に基づいており、当社はそのデータの提供元やそのデータそのものの信頼性につき、いかなる保証もせず、また筆者や訳者、各国の支社・ 支店も、本文書の内容の正確性や完全性についても一切保証しません。本文書については英語版を原本とし、翻訳版と原本に相違がある場合には、原本の内容が優先するものとします。本文書の内容に基づく直接または間接の損失、そして本文書を信頼したことにより生じた損失についても、当社は一切その責を負いません。

Related Tags EUR/USD David Song