米国雇用統計を前に、ユーロ/米ドルは2月の安値へ

Article By ストラテジスト

ユーロ/米ドルの概要

ユーロ/米ドルは、50日間移動平均(1.0723ドル)の上まで価格を回復させることができず、2月の安値(1.0533ドル)へと向かっている。さらに米国の最近の動向から、非農業部門雇用者数(NFP)がさらなる就業率上昇を示すと見込まれており、これも価格の重石になっている。

米国雇用統計を前に、ユーロ/米ドルは2月の安値へ

FRBのジェローム・パウエル議長が米国政策金利のさらなる引き上げを示唆したことから、ユーロ/ドルは3月初頭のレンジを維持することができずにいる。さらにFRB50bpの利上げを行うという観測が広がる中、1月の安値(1.0483)より上を維持するのも難しいかもしれない。

CME FedWatchツールによると、市場参加者はフェデラル・ファンド金利が322日に新たに5.00%5.25%にまで上がる確率を70%以上と見込んでおり、中央銀行の新しい経済予測サマリー(SEP)の発表を前に、パウエル議長とその仲間たちが米国の利上げペースを上げていくつもりであれば、この見通しは今後も変わらないだろう。

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それまでに米国から発表される経済データによってユーロ/米ドルの値動きが激しくなる可能性はある。米国市場では2月に新たに203,000人の雇用創出が見込まれている他、賃金も同様の上昇が予想されており、平均時給は1月の前年比+4.4%から今月は前年比+4.8%まで上昇すると予想されている。

雇用市場のひっ迫を示すさらなる証拠が出れば、連邦公開市場委員会(FOMC)はインフレのしつこい継続を受けてさらに金融政策の引き締めを目指す可能性が高い。また経済データが好調であれば、市場参加者が米国の高金利に備えるため、ドルの値上がりにつながる場合がある。

以上を踏まえ、米国での雇用統計の工場と賃金の力強い上昇のサインから、ユーロ/米ドルが50日間移動平均(1.0723ドル)の上まで価格を回復させるのは難しく、2月の安値(1.0533ドル)へと試す展開に向かう可能性がある。ただし2023年初頭のレンジを維持することができれば、横ばいの値動きが続く可能性もある。

ユーロ価格チャート ユーロ/米ドル日足

チャート作成:David Song、ストラテジスト

ユーロ/米ドルは50日間移動平均(1.0723ドル)の上まで値を戻すことができず、今月の最安値(1.0524ドル)に向かっており、この移動平均の下での値動きが続けば1月の安値(1.0483ドル)を試す展開もありうる。

  • 今年初めのレンジを維持できなければ、ユーロ/米ドルは202212月の安値(1.0393ドル)まで値下がりする可能性があり、さらに1.0370ドル(38.2%フィボナッチエクステンション)を割ると、200日間移動平均(1.0326ドル)が視野に入ってくる。
  • ただし1月の安値(1.0483ドル)を試すほどの値下がりの勢いがなければ、ユーロ/米ドルはレンジ相場に入ると見られ、1.0610ドル(38.2%フィボナッチエクステンション)を超えれば50日間移動平均(1.0723ドル)まで回復する可能性がある。


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