
ドル円、反落 米雇用統計直後に上昇も米長期金利低下でドル売りの流れに
【前日の為替概況】ドル円、反落 米雇用統計直後に上昇も米長期金利低下でドル売りの流れに
4日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反落。終値は146.62円と前営業日NY終値(148.26円)と比べて1円64銭程度のドル安水準だった。米雇用統計の発表直後に148.19円付近まで上昇したものの、その後は米長期金利の低下とともに進んだドル売りの流れに沿って146.56円まで反落。米金利の低下が一服すると147.34円近辺まで切り返す場面もあったが、週末を控えた持ち高調整の動きも進む中で戻りは限られた。エバンズ米シカゴ連銀総裁から利上げペースの減速について言及があったことも重しとなり、引けにかけては再び安値圏まで押し戻された。
なお、この日発表された10月米雇用統計は強弱まちまちな内容。非農業部門雇用者数変化は26.1万人増と市場予想(20.0万人増)を上回った一方、失業率は3.7%と予想(3.6%)より弱い結果となった。
ユーロドルは5営業日ぶりに大幅反発。終値は0.9957ドルと前営業日NY終値(0.9749ドル)と比べて0.0208ドル程度のユーロ高水準だった。全般にドル安が進んだ流れに沿った。米雇用統計の公表後は一時的に0.9753ドル付近まで弱含む場面も見られたが、すぐに買い戻しが優勢に。欧米株高を背景にしたリスクオンの買いも進み、一時0.9966ドルまで上値を伸ばした。
ユーロ円は4営業日ぶりに反発。終値は145.99円と前営業日NY終値(144.56円)と比べて1円43銭程度のユーロ高水準だった。ユーロドルの上昇や株高などにつれて円売り・ユーロ買いが進み、146.14円まで本日高値を更新した。また、他のクロス円も堅調に推移し、ポンド円は一時166.98円まで上昇。リスクに敏感なオセアニア通貨も豪ドル円が95.09円、NZドル円が87.14円までそれぞれ値を上げた。
【本日の東京為替見通し】ドル円、勢い緩むも上昇トレンドは変わらず
本日は日米で注目の経済指標の発表やイベントは予定されておらず、ドル円は米長期金利の動向や株価の動きをにらみながらの動きが見込まれる。先週に米連邦公開市場委員会(FOMC)を通過し、ドル高のトレンドは大きく修正されていない。FOMCでは今後、利上げ幅が縮小される可能性が高いと指摘した一方で、ターミナルレート(利上げの最終到達点)が従来の予想を上回るとの見通しが示された。
12月FOMCへの明確な示唆はなく、この先も「データ次第」の地合いが続きそうで、今週10日に予定されている米10月消費者物価指数(CPI)の結果が注目されている。米連邦準備理事会(FRB)が利上げペースを緩和するためには、インフレが低下しているというもっと明確な兆候が必要となる。12月FOMCでは0.50%の利上げが織り込まれているが、米10月CPIの結果次第ではそれ以上の利上げ幅への思惑が強まる可能性がある。日本政府の円買い介入もあり、ドル円の上昇圧力はやや後退しているが、引き続き下値は堅く上方向への警戒感は残されている。
本日の東京タイムでは中国の10月貿易収支の発表が予定されている。輸出は「ゼロコロナ」政策によって苦戦している中国経済にとって大きな支えだが、最近は伸びの鈍化が続いており、さえない結果となれば、中国経済への懸念が高まり、リスクオフの動きが見られる可能性がある。また、先週末に中国が近いうちに「ゼロコロナ」政策を大幅に変更するとの報道で人民元に買いが入ったが、昨日は「中国は現在のゼロコロナ政策を維持」との一部報道も出ており、中国の「ゼロコロナ」政策関連のヘッドラインに引き続き注目したい。
【本日の重要指標】
※時刻表示は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○未定 ◎ 10月中国貿易収支(予想:959.5億ドルの黒字、7029.0億元の黒字)
○15:45 ◇ 10月スイス失業率(季節調整前、予想:2.0%)
○16:00 ◎ 9月独鉱工業生産(予想:前月比0.2%/前年同月比2.0%)
○17:40 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○18:30 ◎ パネッタECB専務理事、講演
○8日05:00 ◇ 9月米消費者信用残高(予想:330.0億ドル)
○8日05:40 ◎ コリンズ米ボストン連銀総裁、メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○米国は6日から冬時間に移行済み
8日
<国内>
○08:30 ◇ 9月家計調査(消費支出)
○08:30 ◇ 9月毎月勤労統計(現金給与総額)
○08:50 ◇ 日銀金融政策決定会合における主な意見(10月27-28日分)
<海外>
○08:00 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○08:30 ◇ 11月豪ウエストパック消費者信頼感指数
○09:01 ◇ 10月英小売連合(BRC)小売売上高調査
○09:30 ◇ 10月豪NAB企業景況感指数
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
4日09:24 鈴木財務相
「(米利上げについて)日本経済に与える影響を注視」
「為替はいろいろな要因で動く」
「市場を通じてファンダメンタルズに基づき安定推移が基本」
「為替介入については水準に誘導するわけではない」
4日18:50 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「高インフレの長期化に警戒」
「インフレを2%目標に抑制させるために利上げを続けるだろう」
「景気鈍化はインフレの大幅抑制につながりにくい」
4日23:05 コリンズ米ボストン連銀総裁
「FRBは利上げの規模から最終的な金利水準に焦点を移すべき」
「最終的な金利水準についてコメントするのは時期尚早」
4日23:36
「金利は9月時点の想定よりも高くする必要があるかもしれない」
4日23:16 バーキン米リッチモンド連銀総裁
「金利の最終地点はより高くなる可能性がある」
「インフレが持続すればFRBは行動を続けなければならない」
5日03:40 エバンス米シカゴ連銀総裁
「利上げ幅を縮小しても金融引き締めの余力は十分」
「今週の75ベーシスポイントの利上げを支持」
「FRBがより小規模な利上げに移行することは理にかなっている」
「50ベーシスポイントの利上げはまだ非常に大きな利上げ」
「インフレは実体経済より遅れており、評価する時間が必要」
「たとえ1年後であっても、一時停止を考えることは可能」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=転換線付近で重い動きが続きそう>
陰線引け。一目均衡表・基準線と転換線を下回り、146.56円まで下落した。
転換線146.98円前後で重い動きが続きそう。同線の付近の重さを払しょくできれば、147.74円前後で推移し、じり高が予想される基準線に追随する動きも想定できる。しかし、転換線が基準線を下回る売り示唆へ転じたことを勘案すると、2日安値145.68円など、下値の節目を割り込むリスクが感じられる。
レジスタンス1 147.82(ピボット・レジスタンス1)
前日終値 146.62
サポート1 145.68(11/2安値)
サポート2 145.11(10/27安値)
<ユーロドル=雲の上限付近の攻防>
大陽線引け。一目均衡表・雲の上限0.9952ドルを上回って週の取引を終えた。週明けはやや押し戻されているが、引き続き雲の上限付近の攻防が続きそうだ。伸び悩んでも、雲の中0.9846ドル前後で推移する21日移動平均線付近が下げ渋りのポイントになるか。一方、上値は0.9995ドル前後で低下中の90日線が重しとなりそう。
レジスタンス1 0.9995(90日移動平均線)
前日終値 0.9957
サポート1 0.9846(21日移動平均線)
<ユーロ円=転換線付近で伸び悩むか>
陽線引け。先週末は一時146円台を回復した。ただ、一目均衡表・転換線145.90円に近づく格好で週引け。週明けは同線をやや下回って推移している。低下へ転じる可能性がある転換線付近で伸び悩みそう。しかし、横ばいが続く見込みの一目・基準線144.65円付近では下げ渋るとみる。
レジスタンス1 146.80(11/2高値)
前日終値 145.99
サポート1 145.36(11/3高値)
<豪ドル円=雲のねじれ付近の動向を注視>
大陽線引け。週明けは94円台での動きとなっている。先々の低下が想定される一目均衡表・転換線94.26円と、94.32円前後でじり高傾向の90日移動平均線が推移するレンジで方向性が読みにくい状態にある。相場の変わり目となりやすい雲のねじれが、明日8日から9日かけて生じる。90日線のじり高の流れに沿って、雲のねじれ部分を上抜ければ、上向きの基調を強めそう。抜けきれないと、94円台で低下する雲の下限に沿った下落となるだろう。
レジスタンス1 95.09(11/4高値)
前日終値 94.87
サポート1 93.82(21日移動平均線)

情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社
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