
【前日の為替概況】
ユーロドル、3日続伸 利上げペース減速観測で米10年債利回り低下
【前日の為替概況】ユーロドル、3日続伸 利上げペース減速観測で米10年債利回り低下
8日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは3日続伸。終値は1.0074ドルと前営業日NY終値(1.0020ドル)と比べて0.0054ドル程度のユーロ高水準だった。米連邦準備理事会(FRB)が利上げペースを減速するとの観測が高まる中、米10年債利回りが4.11%台まで低下すると全般ドル売りが先行。アジア時間の高値1.0031ドルを上抜けて一時1.0096ドルと9月13日以来約2カ月ぶりの高値を付けた。市場では「本日投開票の米中間選挙や10日発表の10月米消費者物価指数(CPI)など、米重要イベントを前に持ち高調整目的のドル売りが出た」との声も聞かれた。
ドル円は下落。終値は145.68円と前営業日NY終値(146.63円)と比べて95銭程度のドル安水準だった。FRBが利上げペースを減速するとの観測が高まる中、米長期金利の低下とともに円買い・ドル売りが先行。前日の安値146.09円を下抜けると一時145.31円と10月27日以来の安値を付けた。ダウ平均が一時520ドル超上昇するなど、米国株相場が堅調に推移したこともリスク・オンのドル売りを誘った。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時109.37と9月20日以来の低水準を付けた。
ユーロ円は3営業日ぶりに小反落。終値は146.77円と前営業日NY終値(146.88円)と比べて11銭程度のユーロ安水準。ドル円の下落につれた売りが出て一時145.99円と日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。ユーロドルの上昇につれた買いが入ったほか、米国株高に伴う円売り・ユーロ買いが出て146.87円付近まで下げ渋った。
代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインは一転下落した。「仮想通貨交換業最大手のバイナンスが同業大手FTXトレーディングの事業を救済買収することで合意」との報道が伝わると買いで反応し、対ドルで一時2万655ドル前後まで上昇したもののすぐに失速した。4時30分過ぎには一時1万7172ドル前後まで下落した。対円でも300万円台から253万円付近まで急落した。
【本日の東京為替見通し】ドル円は調整売り圧力強いが、145円割れはいったん回避か
先週末から欧州通貨を中心にドル高の調整が続いており、ドル円も145円前半まで押し戻された。主要国の中銀がインフレ抑制のために金融政策の引き締め姿勢の継続を強調する一方で、ここに来て積極引き締めによる景気鈍化への懸念を強めている。ドル高のトレンドは変わったと判断するのはまだ早いが、新規でのドルロング構築にはやや慎重になり、足もとでは利食いなど調整のドル売りが優勢となっている。
ドル買いを再開するか、それともドル売りに転換するかの勝負の行方はとりあえず10日発表予定の米10月消費者物価指数(CPI)の結果に委ねることになり、ドル円はいったん145円割れを回避すると見込む。依然として、日米金融政策格差に着目したキャリートレードの優位性や、米当局のドル高容認姿勢、本邦貿易赤字拡大に伴う構造的な円売り圧力など、ドル高・円安トレンドの継続を連想させる材料が残っている。
米国政治の行方を決める中間選挙の投票が8日に始まった。バイデン大統領の民主党は苦戦を強いられ、連邦議会の下院選では共和党が過半数を奪う勢いだ。上院選では接戦が予想され、大勢判明には時間がかかる可能性もある。約40年ぶりの水準にあるインフレの影響もあり、民主党には有権者から厳しい目が向けられている。トランプ前大統領は200人以上の候補者に推薦を出しており、その当落はトランプ氏の影響力を測るうえでの試金石となる。トランプ氏は15日にも正式に大統領選への立候補を表明するとみられている。
【本日の重要指標】
※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◎ 9月国際収支速報
◇ 経常収支(予想:季節調整前2345億円の黒字/季節調整済ゼロ)
◎ 貿易収支(予想:1兆6837億円の赤字)
○14:00 ◇ 10月景気ウオッチャー調査(予想:現状判断指数50.0/先行き判断指数50.1)
<海外>
○10:30 ◎ 10月中国消費者物価指数(CPI、予想:前年比2.4%)
○10:30 ◎ 10月中国生産者物価指数(PPI、予想:前年比▲1.5%)
○17:00 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○19:00 ◎ エルダーソン欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○未定 ◎ ポーランド中銀、政策金利発表(予想:7.00%に引き上げ)
○21:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○21:00 ◎ 9月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比1.4%)
○21:00 ◎ 10月メキシコCPI(予想:前年比8.46%)
○22:00 ◎ ハスケル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○24:00 ◇ 9月米卸売売上高(予想:前月比0.5%)
○10日00:30 ◇ EIA週間在庫統計
○10日01:00 ◎ 10月ロシアCPI(予想:前月比0.3%)
○10日01:00 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○10日01:30 ◎ カンリフ英中銀(BOE)副総裁、講演
○10日03:00 ◎ 米財務省、10年債入札
10日
<国内>
○08:50 ◇ 10月マネーストックM2
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
<海外>
○09:01 ◇ 10月英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
8日16:53 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「量的引き締め(QT)は遅かれ早かれ実施されるが、2023年には確実に開始される」
「次回会合での決定は、12月の新たな予測値と11月のインフレ予想に基づいて行われる」
「インフレ率は今後数カ月は現在の水準程度で推移し、来年前半には低下するだろう」
「平均すると、インフレ率は23年上半期に低下傾向が見られるとしても、非常に高い水準にとどまるだろう」
8日17:18 ナーゲル独連銀総裁
「インフレ抑制のために追加利上げが必要」
「利上げの規模は、データと見通し次第」
8日17:36 ジョーダン・スイス国立銀行(スイス中銀、SNB)総裁
「金融政策決定は物価安定への確固たるコミットメントに基づくべき」
「金融政策の決定はインフレ予測のみに基づくものではない」
「インフレ率が目標レンジから持続的に変動するリスクを高めるならば、断固とした行動が必要で」
8日18:23 ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト
「もっとやるべきことがあり、金融引き締めのために利上げが必要」
「毎回の会合において、あらかじめ決められたペースで動くつもりはない」
「我々は景気後退に突入している」
「BOEはインフレ率を持続的な2%に戻すために必要なことをするつもり」
「前倒しの利上げには懐疑的」
「ヘッドライン・インフレは来年に鈍化を見込む」
8日23:27 ブレマン・リクスバンク(スウェーデン中銀)副総裁
「次回の理事会の前に利上げ幅に関しては何も除外することが出来ない」
「インフレリスクは上サイドだけというわけではなくなった」
「インフレが低下している兆候があるというのは早すぎる、まだ行動を継続しなくてはならない」
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=転換線から下放れ、さえない推移>
陰線引け。小幅に水準を回復した一目均衡表・転換線147.08円の動向が示すような戻りを試すことができなかった。一時145.31円と、目先の下値の節目とみられた2日安値145.68円を割り込んだ。10月27日以来の安値をつけている。
同安値145.11円前後で下げ渋り、145円割れは回避できるとみる。しかし、転換線が一目・基準線147.74円を下回る売りサインが1つ点灯するなかでは、同転換線付近からの上値は重そう。さえない推移になりやすいだろう。
レジスタンス1 146.63(ピボット・レジスタンス1)
前日終値 145.68
サポート1 145.11(10/27安値)
サポート2 144.39(10/6安値)
<ユーロドル=雲を上回る水準で底堅い>
陽線引け。0.9973ドルまで下押しが先行した。しかし、一目均衡表・雲の上限0.9952ドルに達することなくパリティ(1ユーロ=1ドル)を回復した。一時1.0096ドルと、直近の上値の節目だった10月27日高値1.0094ドルをわずかながれ上回った。0.9993ドル前後で低下中の90日線付近へ下押すリスクはありつつも、底堅い動きが想定される。
レジスタンス1 1.0171(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 1.0074
サポート1 0.9973(11/8安値)
<ユーロ円=転換線に代わって21日線が支えになる可能性>
下影陰線引け。今後の低下が見込まれる一目均衡表・転換線145.90円に近づく場面もあった。同水準からは戻りを試し、146.77円でNYを引けた。転換線は今後低下する公算で、強い支えにならないかもしれない。しかし、146円台へ上昇してきた21日移動平均線が代わって下値を支えることが考えられ、底堅い推移が予想される。
レジスタンス1 147.75(10/31高値)
前日終値 146.77
サポート1 146.12(21日移動平均線)
<豪ドル円=雲のねじれ部分を無難に通過できるか>
下影小陰線引け。94.30円台でじり高傾向の90日移動平均線前後を維持し、一目均衡表・雲のねじれ付近を攻略しつつある。伸び悩み気味だが、同ねじれ部分を無難に通過できれば、雲の上限94.56円前後をベースとした底堅い推移が維持できる。現水準94.26円から、今後低下が予想される一目・転換線へ追随して下落する展開は避けられるだろう。
レジスタンス1 95.56(11/1高値)
前日終値 94.79
サポート1 94.14(21日移動平均線)
情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社
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