FX Morning 02/17/2021

Article By フィナンシャルアナリスト

【前日の為替概況】米10 年債利回り1.31%でドル全面高、対円106.07 円、対ユーロ1.2095 ドル

16 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は4 日続伸。終値は106.04 円と前営業日NY 終値(105.38 円)と比べて66 銭程度のドル高水準だった。20 時過ぎに一時105.18 円と日通し安値を付けたものの、 米長期金利の上昇を手掛かりにドル買い戻しが強まると持ち直した。米追加経済対策や新型コロナウイル スワクチン普及への期待から、米10 年債利回りが一時1.3141%前後と昨年2 月27 日以来約1 年ぶりの 高水準を更新。連休明けのNY 勢が本格参入したあとはドル買いがさらに加速し、5 日の高値105.77 円を 上抜けて一時106.07 円と昨年10 月8 日以来約4 カ月ぶりの高値を付けた。

2 月米ニューヨーク連銀製造業景気指数が12.1 と予想の6.0 を上回ったこともドル買いを誘ったほか、 市場では「200 日移動平均線が位置する105.51 円を明確に上抜けたことでテクニカル的な買いが入りや すい」との声が聞かれた。

ユーロドルは反落。終値は1.2106 ドルと前営業日NY 終値(1.2129 ドル)と比べて0.0023 ドル程度の ユーロ安水準だった。欧州時間発表の2 月独ZEW 景況感指数や10-12 月期ユーロ圏域内総生産(GDP)改 定値が予想を上回ったことを受けて、21 時30 分前に一時1.2169 ドルと日通し高値を付けたものの、 1.2170-80 ドルに観測されている売りオーダーに上値を抑えられると失速した。

NY 勢本格参入後は米10 年債利回りが約1 年ぶりの高水準を付けたことで、全般ドル買いが活発化し、 24 時前に一時1.2095 ドルと日通し安値を更新した。その後の戻りも1.2124 ドル付近にとどまった。

ユーロ円は4 日続伸。終値は128.36 円と前営業日NY 終値(127.80 円)と比べて56 銭程度のユーロ高 水準。ユーロドルの下落につれた売りが出ると127.96 円付近まで下押ししたものの、ドル円の上昇につ れた買いが入ると一時128.38 円と2018 年12 月以来約2 年2 カ月ぶりの高値を更新した。

【本日の東京為替見通し】ドル円、リスク選好と米10 年債利回り上昇で続伸か

本日の東京外国為替市場のドル円は、米10 年債利回りの上昇、リスク選好地合い、今週から接種が開 始されるワクチン購入代金の円売りの思惑から続伸が予想される。

ワクチン購入代金の円売りでは、英アストラゼネカ社に対しては円売り・ポンド買い、米ファイザー社 に対しては円売り・ドル買いとなる。

ドル円の注目水準は、2020 年12 月調査の日銀短観での2020 年度下期の大企業・製造業の想定為替レ ート106.42 円となる。

米10 年債利回りは、米追加経済対策や新型コロナウイルスワクチン普及への期待感を背景に、 1.5-2.0%台を目指したリフレーショントレードが活発化しており1.31%台まで上昇しており、ドル買い 要因となっている。しかしながら、過去のFF 金利誘導目標と米10 年債利回りの平均乖離率は1.4%程度 なので、パウエルFRB 議長が2023 年末までゼロ金利政策を継続した場合、米10 年債利回りの上限は1.4% 程度となることで、パウエルFRB 議長やイエレン米財務長官からの発言に要警戒となる。

8 時50 分に発表される1 月貿易統計(通関ベース)の予想は季節調整前が6000 億円の赤字、季節調整 済が4970 億円の黒字となっている。1 月の貿易収支は、輸出企業の輸出が減少する傾向にあることで、 例年貿易赤字を記録している。2020 年は1 兆3151 億円、2019 年は1 兆4177 億円、2018 年は9482 億円 の貿易赤字を記録しており、今年は、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、輸入も減少していた模様で、 貿易赤字金額は6000 億円の赤字と予想されている。バイデン米政権は、トランプ米政権のように日米貿 易不均衡を主張していないものの、対米貿易黒字が昨年の3702 億円からどの程度減少しているかに要注 目となる。

バイデン政権の新型コロナウイルス救済法案(1.9 兆ドル)は、米下院で予算決議案を可決し、上下院 の予算委員会に提出されて一括法案化され、26 日に採決される予定となっている。上院では、財政調整 措置により単独過半数(民主党50 議席+上院議長のハリス副大統領)により可決されることが予想されて いるものの、議会予算局が、財政赤字を10 年間で540 億ドル拡大させるとの見通しを示したことで、「バ ード・ルール」違反の可能性が指摘されており、共和党の反対姿勢もあり、審議が難航する可能性に要警 戒となる。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◎ 12 月機械受注(予想:船舶・電力除く民需前月比▲6.2%/前年比▲3.0%)
○08:50 ◎ 1 月貿易統計(通関ベース、予想:季節調整前6000 億円の赤字、季節調整済4970 億円の黒字)

<海外>
○16:00 ◎ 1 月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.4%/前年比0.6%)
○16:00 ◎ 1 月英CPI コア指数(予想:前年比1.3%)
○16:00 ◇ 1 月英小売物価指数(RPI、予想:前月比▲0.4%/前年比1.3%)
○17:00 ◎ 1 月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.4%/前年比3.2%)
○19:00 ◇ 12 月ユーロ圏建設支出
○20:00 ◇ 12 月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比▲3.5%)
○21:00 ◇ MBA 住宅ローン申請指数
○22:30 ◎ 1 月カナダ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.4%/前年比0.9%)
○22:30 ◎ 1 月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.4%/前年比0.9%)
◎ 食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比1.1%)
○22:30 ☆ 1 月米小売売上高(予想:前月比1.0%/自動車を除く前月比1.0%)
○23:00 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○23:15 ◎ ローゼングレン米ボストン連銀総裁、パネルディスカッションに参加
○23:15 ◎ 1 月米鉱工業生産指数(予想:前月比0.5%)
◇ 設備稼働率(予想:74.8%)
○24:00 ◇ 12 月米企業在庫(予想:前月比0.5%)
○24:00 ◎ 2 月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:83)
○18 日01:00 ◎ ラムスデン英中銀(BOE)副総裁、講演
○18 日03:00 ◎ 米財務省、20 年債入札
○18 日04:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(1 月26 日-27 日分)
○中国(旧正月)、ブラジル(カーニバル)、休場

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

16 日09:24 黒田日銀総裁
「現在の強力な金融緩和しっかり実施し、経済を支える」
「世界や日本経済のダウンサイドリスクは無視できない」
「ETF 買い入れの出口を検討する段階ではない」
「政策点検で、YCC やマイナス金利を見直す考えはな い」
「2023 年でも物価目標に遠いことは認めざるを得ない」
「これまでの努力が全く効果なかったわけではない」

16 日09:36 豪準備銀行(RBA)議事要旨
「大規模な金融政策支援が当面は必要」
「オフィシャルキャッシュレートは必要なだけ0.10%に据 え置きへ」
「金融刺激策の撤回検討は時期尚早」
「失業率とインフレ率、早くても24 年まで目標に達成しな い見込み」
「賃金とインフレ率の上昇には、労働市場が持続的にタ イト化する必要」
「オフィシャルキャッシュレート、インフレ率が目標レンジ 内に持続的に収まるまで引き上げない」
「債券買い入れ終了は豪ドルに多大な上昇圧力になる と認識」

16 日16:40 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「一部の企業が危機を乗り越えられないのではないかと いう懸念」
「一部の企業は生き残るために資本注入を必要としてい る」

16 日17:59 ドナフー・ユーロ圏財務相会合(ユーログル ープ)議長
「第4 四半期の欧州経済は恐れていたほど減速しなかっ た」

16 日22:18 ブラード米セントルイス連銀総裁
「バブルではない。ただの通常の投資」
「ビットコインは金のライバルとして特徴付けられる」

17 日02:42 ジョージ米カンザスティ連銀総裁
「パンデミック後の住宅やオフィスの変化は、不動産の 圧力につながる可能性がある」
「長期的なリスクには、在宅勤務の増加と都心から離れ た人口の入れ替えが含まれる」
「戸建ては活況を呈しており、しばらくの間堅調を維持す るだろう」
「ビットコインは現代における現象であり、投資家を魅了 するものだが、長期的には何が起こるか不明」

※時間は日本時間

〔日足一目均衡表分析〕

fx morning 17022021 chart 1

<ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。一目・転換線は基準線を上回り、遅行スパンは 実線を上回り、一目・雲の上で引けていることで、三役好転 の強い買いシグナルが点灯中。4 手連続陽線で転換線を上回 って引けていることで、続伸の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線 を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 106.70(2020/8/27 高値)
前日終値 106.04
サポート1 105.24(日足一目均衡表・転換線)
サポート2 104.70(日足一目均衡表・基準線)
fx morning 17022021 chart 2

<ユーロドル=転換線を支持に押し目買いスタンス>
陰線引け。一目・転換線は基準線を下回り、遅行スパンは 実線を下回り、一目・雲の中で引けていることで、売りシグ ナルが優勢な展開となっている。しかし、基準線や転換線を 上回って引けていることで、反発の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線 を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 1.2222(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 1.2106
サポート1 1.2061(日足一目均衡表・転換線)
fx morning 17022021 chart 3

<ユーロ円=転換線を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。一目・転換線は基準線を上回り、遅行スパンは 実線を上回り、一目・雲の上で引けていることで、三役好転 の強い買いシグナルが点灯中。5 手連続陽線で転換線を上回 って引けていることで、続伸の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線 を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 129.26(2018/12/13 高値)
前日終値 128.36
サポート1 127.28(日足一目均衡表・転換線)
fx morning 17022021 chart 4

<豪ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。一目・転換線は基準線を上回り、遅行スパンは 実線を上回り、一目・雲の上で引けていることで、三役好転 の強い買いシグナルが点灯中。4 手連続陽線で転換線を上回 って引けていることで、続伸の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線 を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 82.65(1/8-28 の下落幅の上方倍返し)
前日終値 82.23
サポート1 81.23(日足一目均衡表・転換線)
fx morning 17022021 chart 5

情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社