FX Morning 04/20/2021

Article By フィナンシャルアナリスト

【前日の為替概況】米10 年債利回り1.55%でドル全面安、対円108.01 円、対ユーロ1.2048 ドル

19 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反落。終値は108.17 円と前営業日NY 終値(108.80 円) と比べて63 銭程度のドル安水準だった。欧州序盤に一時108.01 円と3 月5 日以来の安値を付けたあとは、 108.00 円に観測されているまとまった規模の買いオーダーに下値を支えられて108.31 円付近まで下げ渋 った。米長期金利が上昇に転じたことも相場の下支え要因。ただ、買い戻しはあくまでポジション調整の 域を出ず長続きしなかった。24 時過ぎには再び108.01 円に面合わせした。

NY 時間に限れば値幅30 銭程度のレンジ取引に終始した。本日は主要な米経済指標の発表もなく、新規 の手掛かり材料に乏しかったため大きな方向感は出なかった。

ユーロドルは続伸。終値は1.2037 ドルと前営業日NY 終値(1.1983 ドル)と比べて0.0054 ドル程度の ユーロ高水準だった。米長期金利の指標である米10 年債利回りが一時1.5500%前後まで低下したことを きっかけに全般ドル売りが先行。先週上値を抑えた節目の1.2000 ドルを上抜けると、断続的にストップ ロスを巻き込んで20 時過ぎに一時1.2048 ドルと3 月4 日以来の高値を付けた。ただ、米10 年債利回り が1.6153%前後まで一転上昇するとドル売りの勢いは後退。そのあとは1.20 ドル台前半から半ばでのも み合いに終始した。

ユーロ円は反落。終値は130.21 円と前営業日NY 終値(130.36 円)と比べて15 銭程度のユーロ安水準。 20 時過ぎに一時130.30 円付近まで上げたものの、24 時過ぎには129.82 円付近まで下押しした。ただ、 そのあとは再び130.22 円付近まで持ち直すなど、大きな方向感は出なかった。

ポンドは全面高。ポンドドルは一時本日高値となる1.3993 ドル、ポンド円は151.33 円まで値を上げた ほか、ユーロポンドは0.8589 ポンドまでユーロ安・ポンド高に振れた。英国では新型コロナウイルスワ クチン接種が順調に進んでおり、経済正常化を期待したポンド買いが続いた。

【本日の東京為替見通し】ドル円、内憂外患のリスク回避の円買いで続落か

本日の東京外国為替市場のドル円は、内憂としての大阪府や東京都の緊急事態宣言への警戒感、外患と しての日米首脳会談を受けた極東の地政学リスク回避の円買いで軟調推移が予想される。

ドル円は、先週末の日米首脳会談を受けた極東の地政学リスク回避の円買いが上値を抑える中、今週は 大阪府や東京都の緊急事態宣言を受けた景況感悪化懸念もリスク回避の円買い圧力として上値を抑える 要因になりつつある。ドル円の109-110 円台は、来月のゴールデンウィークに向けた本邦輸出企業からの ドル売りオーダーが観測されつつある。

日米首脳会談の共同声明では、中国が軍事的な圧力を強める台湾について、台湾海峡の平和と安定の重 要性が強調され、香港と新疆ウイグル自治区の人権状況に対する深刻な懸念を共有する、と明記された。 2020 年の日本の貿易は、輸出が68 兆円、輸入が67.8 兆円だが、対中輸出額は15 兆円で22%、輸入は 17.5 兆円で25%を占めている。対米輸出額は12.6 兆円で18%、輸入は7.4 兆円で11%となっている。 日本にとって中国が最大の貿易相手国となっており、日米での対中包囲網が構築されつつあることで、日 中関係の悪化は、中国によるレアアースなどの対日輸出制限や日本製品の不買運動などから、経済安全保 障に悪影響を及ぼすことで要警戒か。

10 時30 分に発表される4 月6 日に開催された豪準備銀行(RBA)理事会議事要旨では、声明文で「豪 ドルレートは依然、ここ数年間の相場変動のレンジの上限となっている」と高値警戒感が示されたことで、 議論の内容に要警戒となる。国債買い入れ策に関しては、4 月3 週から1000 億豪ドルの追加国債買い入 れ実施が確認され、完全雇用とインフレの目標(2-3%)達成で必要あれば、さらなる国債買い入れを検 討と表明され、インフレ率が目標レンジになるまで利上げはしないことが再確認されている。さらに、2024 年まで政策金利が引き上げられる状況にはならない、と最低3 年間は金融緩和スタンスを維持する方針も 再確認されており、サプライズは期待できない。

ドル円のオーダー状況は、上値には、108.50 円、108.80 円、108.90 円、109.00 円にドル売りオーダー、 超えるとストップロス買いが控えている。下値には、107.90-108.00 円に断続的にドル買いオーダー、割 り込むとストップロス売り、107.80 円にドル買いオーダーが控えている。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○13:30 ◇ 2 月第三次産業活動指数(予想:前月比0.5%)

<海外>
○10:30 ◎ 4 月豪準備銀行(RBA)理事会議事要旨
○15:00 ◎ 3 月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○15:00 ◎ 12-2 月英失業率(ILO 方式、予想:5.0%)
○15:00 ◇ 3 月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比0.6%)
○21:50 ◎ デコス・スペイン中銀総裁、講演
○21 日01:00 ◇ 3 月ロシア失業率(予想:5.6%)

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

19 日17:33 イングランド銀行(BOE)
「政府とBOE は中央銀行デジタル通貨(CBDC)を導入 するかは決定していない」
「CBDC は現金と預金の代わりになるものではなく、共存 するもの」
「リスクと利益を幅広く考慮する必要」

※時間は日本時間

〔日足一目均衡表分析〕

fx morning 20042021 chart 1

<ドル円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。一目・転換線は基準線を下回り、遅行スパンは 実線を下回り、一目・雲の上で引けているものの、売りシグ ナルが優勢な展開となっている。転換線を下回って引けてい ることから続落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を 上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 108.99(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 108.17
サポート1 107.53(日足一目均衡表・雲の上限)
サポート2 106.68(3/3 安値)
fx morning 20042021 chart 2

<ユーロドル=転換線を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。一目・転換線は基準線を上回り、遅行スパンは 実線を上回り、一目・雲の中で引けているものの、買いシグ ナルが優勢な展開となっている。2 手連続陽線で上昇し、転 換線を上回って引けていることで続伸の可能性が示唆され ている。
本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線 を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 1.2093(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 1.2037
サポート1 1.1955(日足一目均衡表・転換線)
fx morning 20042021 chart 3

<ユーロ円=基準線を支持に押し目買いスタンス>
陰線引け。一目・転換線は基準線を上回り、遅行スパンは 実線を上回り、一目・雲の上で引けていることから、三役好 転の強い買いシグナルが点灯している。孕み線で反落してい るものの、転換線を上回って引けていることから反発の可能 性が示唆されている。
本日は、基準線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線 を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 130.69(4/7 高値)
前日終値 130.21
サポート1 129.49(日足一目均衡表・基準線)
fx morning 20042021 chart 4

<豪ドル円=雲の上限を支持に押し目買いスタンス>
陰線引け。一目・転換線は基準線を下回り、遅行スパンは 実線を下回り、一目・雲の上で引けているものの、売りシグ ナルが優勢な展開となっている。高値圏での孕み線で反落し、 2 手連続陰線で続落しているものの、転換線を上回って引け ていることから反発の可能性が示唆されている。
本日は、転換線83.72 円を念頭に置き、雲の上限を支持に 押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 84.49(4/2 高値)
前日終値 83.90
サポート1 83.29(日足一目均衡表・雲の上限)
fx morning 20042021 chart 5

情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社