【本日の東京為替見通し】ドル円は底堅さを維持できるか、マザーマーケットの動きに欧米抗えず

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【前日の為替概況】ドル円、反発 日銀YCC修正に慎重との観測

19日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。終値は134.72円と前営業日NY終値(134.12円)と比べて60銭程度のドル高水準だった。欧州の取引時間帯に「来週2728日の日銀金融政策決定会合でのYCC修正について、日銀内で慎重な意見が広がっている」との観測報道が伝わり、一時135.13円と310日以来の高値を付けた影響が残った。NY市場では利食い売りなどが先行し一時134.29円付近まで下押ししたものの、米長期金利の上昇に伴う円売り・ドル買いが出ると134.86円付近まで持ち直した。日銀が当面、金融緩和を続けるとの観測も相場を下支えした。米連邦準備理事会(FRB)はこの日公表した米地区連銀経済報告(ベージュブック)で「米経済活動はここ数週間、全般ほとんど変化が見られなかった」「雇用の伸びが緩やかになり、物価上昇が鈍化したようだ」「いくつかの地区は労働供給の増加を指摘し、労働市場の逼迫が緩和された」と指摘したものの、相場の反応は限られた。

ユーロドルは反落。終値は1.0955ドルと前営業日NY終値(1.0972ドル)と比べて0.0017ドル程度のユーロ安水準だった。米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが先行すると一時1.0917ドルと日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。欧州中央銀行(ECB)の利上げ継続が意識される中、ユーロ買いが入りやすく23時過ぎには1.0979ドル付近まで持ち直した。ただ、アジア時間に付けた日通し高値1.0984ドルを上抜けることは出来なかった。

ユーロ円は続伸。終値は147.59円と前営業日NY終値(147.16円)と比べて43銭程度のユーロ高水準。欧州市場では一時147.86円と昨年1021日以来約半年ぶりの高値を付けたものの、そのあとは147.08円付近まで下押しした。ただ、アジア時間に付けた日通し安値147.05円が目先サポートとして働くと買い戻しが優勢に。2時前には147.74円付近まで持ち直している。

ECBは利上げを継続するとの観測が強まる一方、日銀は大規模な金融緩和策を維持しており、日欧金融政策の方向性の違いに着目した円売り・ユーロ買いも出やすかった。

 

【本日の東京為替見通し】ドル円は底堅さを維持できるか、マザーマーケットの動きに欧米抗えず

本日のドル円も、取引材料には欠けるが底堅さを維持できるか。昨日の東京時間では、一時133円台までドル売りが進む場面もあったが、徐々に堅調地合いに戻った。マザーマーケットの東京時間にドル買い・円売りが進んでいることで、欧米市場も円買いを仕掛けにくく、トレンドに抗えない状況だ。円買いが多少進んでも、特にここ最近は、米金利の低下でのドル円の売りが限られてしまっていることも、ドル円の底堅さを表しているといえる。一部では先週から今週にかけては、本邦の機関投資家などが、積極的に外債投資に絡み、円売りの動きが続いているとされていることも支えになりそうだ。

本日、本邦から発表される経済指標では、3月貿易統計と週次の対外対内証券売買契約等の状況が850分頃に発表される。両指標の結果で為替市場が反応することは限られているが、貿易赤字の拡大が円安圧力を高めていることもあり、どの程度赤字幅が拡大しているかを確認することになる。対外投資についても同様に、投資家の動向の確認として目を向けておきたい。

また、東京午後には2月第三次産業活動指数と日銀地域経済報告(さくらレポート)が公表される。来週2728日の日銀金融政策決定会合へ向けて、経済報告の内容が政策決定への影響を与える可能性も否定できないことで、市場の反応は鈍くても要注目となりそうだ。

なお、本日はNY参入後に米連邦準備理事会(FRB)関係者の講演が相次いで予定されている。今週末からブラックアウト期間に入ることもあり、政策金利などに関しFRB関係者の発言が伝わるのが金曜日までとなっていることで、注目度が高い。

 

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)

08:503月貿易統計(予想:季節調整前12948億円の赤字、季節調整済17198億円の赤字)

13:302月第三次産業活動指数(予想:前月比0.4%)

14:00 ◇ 日銀地域経済報告(さくらレポート)

<海外>

07:4513月期ニュージーランド(NZ)消費者物価指数(CPI、予想:前期比1.7%/前年比7.1%)

08:00 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演

15:003月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比▲0.5%)

15:454月仏企業景況感指数(予想:103

18:002月ユーロ圏貿易収支

20:30 ☆ 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(316日分)

21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:24.0万件/182.0万人)

21:304月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:▲19.2

22:15 ◎ ビスコ伊中銀総裁、講演

23:003月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲1.8%/年率換算450万件)

23:003月米景気先行指標総合指数(予想:前月比▲0.6%)

23:004月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲18.5

24:00 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演

2100:30 ◎ テンレイロ英MPC委員、講演

2101:00 ◎ ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演

2101:20 ◎ メスター米クリーブランド連銀総裁、講演

2104:00 ◎ ボウマンFRB理事、イベントに参加

2105:15 ◎ シュナーベルECB専務理事、講演

2106:00 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、討論会に参加

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

 

【前日までの要人発言】

19日16:13 メクラー・スイス国立銀行(SNB、中銀)理事

「我々は外貨を売る準備がある」

「持続的なインフレ圧力は中銀の懸念」

 

19日19:51 レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト

「ベースラインの予測が持続すれば、さらなる利上げが適切」

 

20日00:05 デコス・スペイン中銀総裁

「最新のマクロ経済見通しが維持されれば、利上げ継続が必要」

 

20日01:23 シュレーゲルSNB副総裁

「2.9%のインフレ率は目標を大幅に上回っている」

「SNBはさらなる利上げを排除せず」

 

20日03:05 米地区連銀経済報告(ベージュブック)

「全体的な経済活動はここ数週間ほぼ変わらず」

「9地区は活動に変化がない、または僅かな変化だったと報告。3地区は緩やかな成長」

「将来の成長に対する期待もほぼ変化せず。ただ、2地区で見通しが悪化した」

「個人消費は物価の緩やかな上昇が続いているとの報告が続く中、全般的に横ばい、もしくは僅かに減少した」

「全体として、住宅用不動産の販売と新規建設はやや軟化」

「消費者ローンとビジネスローンは種類を問わず全般的に減少した」

「いくつかの地区では、流動性に関する不確実性と懸念が高まる中、銀行が融資基準を厳格化したと報告」

「雇用の伸びはやや緩やかになった」

「いくつかの地区は労働供給の増加を指摘し、労働市場の逼迫が緩和されたと報告」

「賃金は若干緩和を示しているものの、依然として上昇している」

「全体的に物価は緩やかに上昇したが、物価上昇率は鈍化しているようだ」

「消費者物価は依然として高い需要に加え、在庫と人件費の上昇により、全般的に上昇した」

「住宅と家賃はほとんどの地区で横ばい」

 

20日01:51 ジョーダンSNB総裁

「住宅市場の調整リスクがある」

「スイス住宅価格は収入などの基本的な要因よりも速く上昇している」

「今年、インフレ率は低下すると予想しているものの、すべてを明確にするのは時期尚早」

※時間は日本時間


〔日足一目均衡表分析〕

ドル円5日線付近の底堅さ維持し、雲を上抜け

上影陽線引け。134円付近で上昇中の5日移動平均線付近の底堅さを維持して、134円半ばで切り下がっている雲の上限を再び上抜けた。310日以来の高値135.13円まで上昇している。上抜けた雲の上限は低下しており、しっかりした支えにならないかもしれない。134.36円前後へ上昇した5日線が下支えにならなければ、調整が入る可能性も視野に入れて臨みたい。ただ、やがて雲を上抜けてくる公算の一目均衡表・転換線がサポートとして機能してきそうだ

レジスタンス2      135.95(3/9安値

レジスタンス1      135.13(4/19高値

前日終値                        134.72

サポート1                       133.86(4/18安値

 

<ユーロドル=下振れ先行も、転換線を回復して引ける

下影小陰線引け。前日18日安値1.0922ドルをやや下回る1.0917ドルへ下振れた。しかし1.09ドル付近で上昇が続く21日移動平均線を前に下げ渋り、1.0955ドルでNYを引けている。一目均衡表・転換線1.0954ドルをどうにか回復した。1.1ドル目前で上昇が頭打ちとなる見込みの転換線の動向も示唆している不安定な推移。21日線を下抜けるリスクはあるものの、上昇傾向の一目・基準線が1.09ドル台へ切り上がり下支えとなり、相場の大きな崩れは回避できるとみる。

レジスタンス1      1.1000(4/17高値

前日終値                        1.0955

サポート1                       1.0905(21日移動平均線

 

ポンド円5日線付近の底堅さ維持して高値更新

上影陽線引け。上昇が続く5日移動平均線付近の底堅さを維持して上伸した。167.97円まで年初来高値を更新している。昨年12月以来の168円台をうかが水準とあって、本日166.87円前後へ切り上がった5日線を割り込む調整を視野に入れつつも、底堅い推移継続を前提に臨みたい。上昇が見込まれる一目均衡表・転換線165.90ドルが支えとなり、下落幅の拡大を防ぐだろう。

レジスタンス1      167.97(4/19高値年初来高値)

前日終値                        167.58

サポート1                       166.87(5日移動平均線

 

NZドル円底堅さ維持し、雲のねじれ付近から上放れへ

小陽線引け。終値ベースで38日以来の高値83円半ばへ上昇した。本日早朝は売り優位に転換している。83.09円へ切り上がった一目均衡表・転換線付近の攻防。まだじりじり切り上がる傾向の同線前後で下げ渋り、相場の潮目が変わりやすい雲のねじれ部分を上放れる方向で推移することが想定できる。

レジスタンス1      83.77(4/13高値

前日終値                        83.50

サポート1                       82.57(4/13安値

 

chart 1

chart 2
  情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社

 

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