
【前日の為替概況】ドル円、反落 米景気先行指標総合指数など予想を下回り米長期金利低下
20日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反落。終値は134.24円と前営業日NY終値(134.72円)と比べて48銭程度のドル安水準だった。4月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数や3月米中古住宅販売件数、3月米景気先行指標総合指数などが予想を下回ったことが伝わると、米長期金利の低下とともに全般ドル売りが活発化した。24時前に一時134.01円と日通し安値を更新した。米長期金利の指標である米10年債利回りは一時3.5223%前後まで低下した。
ただ、節目の134.00円や前日の安値133.96円がサポートとして意識されると134.36円付近まで下げ渋った。
なお、メスター米クリーブランド連銀総裁は講演で「政策金利を5%以上に引き上げ、しばらく維持する必要がある」としながらも、「金融環境の引き締まりが経済に与える影響に注目」と述べ、政策運営に「慎重」である必要性を指摘した。また、ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事は「FRBはインフレ抑制に注力している」などと発言したものの、金利の道筋を巡る自身の見解については言及しなかった。
ユーロドルは小反発。終値は1.0970ドルと前営業日NY終値(1.0955ドル)と比べて0.0015ドル程度のユーロ高水準だった。この日発表された米経済指標が軒並み予想を下回ると全般ドル売りが優勢となり、23時過ぎに1.0989ドルと日通し高値を付けた。ただ、17日の高値1.1000ドルがレジスタンスとして意識されると1.0956ドル付近まで伸び悩んだ。
ユーロ円は3営業日ぶりに反落。終値は147.27円と前営業日NY終値(147.59円)と比べて32銭程度のユーロ安水準。ドル円の下落につれた売りが出て一時147.02円と日通し安値を更新した。米国株相場の下落も相場の重し。
【本日の東京為替見通し】ドル円は本邦CPIに要注目、予想上振れとなれば催促相場も
先週は、米国から注目される経済指標の発表が相次いで発表されたことで活況を呈した為替市場だったが、今週はこれまでは経済指標なども比較的注目度が低いものしか発表されなかったことで、どの通貨も限られたレンジ内の取引に終始している。
本日のドル円も、大きなレンジを期待するのは難しいだろうが、日本時間8時半頃に発表予定の本邦3月消費者物価指数(CPI)には注目したい。2月の生鮮食料品除くコアCPIは、前年比で1月の4.2%増から3.1%増へと抑えられた。しかし、エネルギー価格高騰に対する政府支援策による効果が縮小要因で、インフレが進んでいることは確かだ。また、政府の支援策の影響を受けない、生鮮食料品とエネルギー除くコアコアCPIは3.5%増まで上昇し、1982年1月以来の上昇率となっている。来週27-28日に日銀・金融政策決定会合を控えていることもあり、CPIが市場予想(コア3.1%増、コアコア3.6%増)を上回る結果となった場合は、市場が新しい日銀総裁・副総裁のもとで、今後のイールドカーブ・コントロール(YCC)の変更を促す催促相場に動く可能性もある。
なお、ドル円以外は本日欧州時間午前に各国の購買担当者景気指数(PMI)速報値が発表されることもあり、東京時間で相場を動意づけるのは難しそうだ。
【本日の重要指標】
※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ☆ 3月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合、予想:前年比3.1%)
○08:30 ☆ 3月全国CPI(生鮮食料品・エネルギー除く、予想:前年比3.6%)
○23日 統一地方選・後半戦投開票
<海外>
○08:01 ◇ 4月英消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲35)
○08:45 ◎ ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○15:00 ◎ 3月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比▲0.5%/前年比▲3.1%)
○15:00 ◎ 3月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比▲0.7%/前年比▲3.1%)
○16:00 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○16:15 ◎ 4月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:47.8)
○16:15 ◎ 4月仏サービス部門PMI速報値(予想:53.4)
○16:30 ◎ 4月独製造業PMI速報値(予想:45.7)
○16:30 ◎ 4月独サービス部門PMI速報値(予想:53.3)
○17:00 ◎ 4月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:48.0)
○17:00 ◎ 4月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:54.5)
○17:00 ◎ ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○17:30 ◎ 3月香港CPI(予想:前年同月比1.9%)
○17:30 ◎ 4月英製造業PMI速報値(予想:48.5)
○17:30 ◎ 4月英サービス部門PMI速報値(予想:52.9)
○21:30 ◎ 2月カナダ小売売上高(予想:前月比▲0.6%/自動車を除く前月比▲0.1%)
○22:45 ◎ 4月米製造業PMI速報値(予想:49.0)
○22:45 ◎ 4月米サービス部門PMI速報値(予想:51.5)
○22:45 ◎ 4月米総合PMI速報値(予想:51.2)
○23:30 ◎ エルダーソンECB専務理事、講演
○22日05:35 ☆ クック米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○トルコ(砂糖祭)、ブラジル(チラデンテスの日)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
20日07:36 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「次回のFOMCまでに注視すべき要因は物価と信用」
20日08:09 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
「インフレはなお高過ぎる」
「FRBは物価圧力を押し下げるべく行動」
「FRBの措置がインフレを押し下げるまでには時間がかかる」
「インフレ率を目標の2%に戻すには2年かかる見通し」
「インフレ率は今年3.25%に鈍化すると予想」
20日09:04 玉木元財務官
「日銀長短金利操作見直し、多少のサプライズ必要」
「日銀は新総裁就任のモメンタム消えないうち緩和修正を」
「時系列的に一番最後に日銀が導入したYCCをどのように秩序だって修正できるか」
20日11:34 ロウ豪準備銀行(RBA)総裁
(9月に総裁の期限が終了することについて)
「任期が延長されるかは政府次第」
「任期の延長を打診されたら、引き受ける」
20日15:00 クノット・オランダ中銀総裁
「利上げの停止について今はなすのは早すぎる」
「十分に制限的なスタンスが必要だ。それがどこにあるのかはわからないが、明らかに現在の状況とは違う」
20日16:13 岸田首相
「消費増税は現在のところ考えていない」
20日20:36 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(3月16日分)
「金融市場の緊張が収まるまで、主要金利を引き上げないほうがよかったと考えるメンバーもいた」
「非常に多くのメンバーが0.50%の利上げに同意した」
「インフレは上向きと下向きの両方のリスクがあると主張するメンバーもいた」
20日21:27 ラガルドECB総裁
「インフレは依然として高すぎる」
「金融政策にはまだ改善の余地がある」
20日23:35 イエレン米財務長官
「米国の銀行システムは引き続き健全」
「米金融システムが世界で最も強力で安全であることを保証するために必要な措置を講じる」
21日01:27 メスター米クリーブランド連銀総裁
「利上げの必要性は今後の進展次第」
「経済における需要と供給のバランスに歓迎すべき進展が見られる」
「最近の銀行ストレスは信用を引き締め、経済を冷やす可能性がある」
「引き締めサイクルは終わりにかなり近づいている」
「タイトな労働市場である程度の緩和が見られる」
「インフレは依然として高すぎる。FRBにはやるべきことがさらにある」
「今年はインフレ率の低下に大きな進展が見られると予想」
「政策金利を5%以上に引き上げ、しばらく維持する必要がある。ただ慎重さも必要」
「金融環境の引き締まりが経済に与える影響に注目」
「金融環境がどのように変化するかは、将来の利上げの見方に影響を与える可能性」
「今年のインフレ率は3.75%まで低下すると予想」
「雇用は堅調。失業率は4.5-4.75%に上昇すると予想」
21日04:10 ローガン米ダラス連銀総裁
「インフレ率は非常に高くなっている」
「インフレを引き起こすさらなる持続的な要因に注目」
21日04:12 ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事
「FRBはインフレ率の低下に焦点を当てている」
「インフレの低下は経済にとって不可欠」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=低下中の雲の上限はしっかりした支えにならず>
陰線引け。135円台を回復できずに下押した。低下中の一目均衡表・雲の上限はしっかりした支えにならず、134円台で上昇中の5日移動平均線付近へ押し返された。
5日線は本日134.36円へ切り上がった。同線を下回って推移となっているが、上昇傾向の日足一目均衡表・転換線133.58円は下支えになりそう。大きな下振れは回避できるとみる。
レジスタンス1 134.97(4/20高値)
前日終値 134.24
サポート1 133.58(日足一目均衡表・転換線)
サポート2 133.03(3/24-4/19上昇幅の38.2%押し)
<ユーロドル=転換線に追随して戻すことできるか注視>
下影小陽線引け。1.0934ドルへ下振れる場面もあるなど、1.1ドル目前で上昇が頭打ちとなる見込みの一目均衡表・転換線の動向が示唆するような不安定な推移だった。ただ、本日1.0913ドル前後へ上昇して推移する21日移動平均線を抜けるような下振れにはなっていない。目先は転換線の動きに追随し、いったん戻すことができるか注視したい。
レジスタンス1 1.1019(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 1.0970
サポート1 1.0913(21日移動平均線)
<ユーロ円=下支え期待できる転換線まで少し距離感あり>
小陰線引け。19日に147.86円まで年初来高値を更新したところで上昇が一服している。147.24円前後へ上昇した5日移動平均線を下回る動きになってきた。高値圏での調整局面となりそう。一目均衡表・転換線は146.37円まで上昇してきたが、まだ少し距離感がある。押し目が多少深くなる可能性はあるが、同線付近では底堅さを示すとみる。相場が大きく崩れることは回避できるだろう。
レジスタンス1 147.86(4/19高値=年初来高値)
前日終値 147.27
サポート1 146.73(4/18安値)
<豪ドル円=雲のねじれ部分を抜けたが方向感はっきりせず>
下影極小陽線引け。一目均衡表・雲のねじれ部分から上方向へ抜けることができた。目先の重しをこなした格好だが、低下傾向の雲の上限はしっかりした支えになりずらい状態。上向きの流れが強まらず、方向感がはっきりしない。下振れ場面などを挟みつつ、戻りを試す展開か。
レジスタンス1 90.92(3/8高値)
前日終値 90.51
サポート1 89.98(4/18安値)
情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社
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