【本日の東京為替見通し】ドル円、レンジ取引続く ユーロ円やスイスフラン円には注目

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【前日の為替概況】ユーロドル、3日続伸 景況感指数の上振れやECB高官の発言で買い先行

24日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは3日続伸。終値は1.1046ドルと前営業日NY終値(1.0986ドル)と比べて0.0060ドル程度のユーロ高水準だった。4月独Ifo企業景況感指数の上振れや欧州中央銀行(ECB)高官のタカ派的な発言を受けて全般ユーロ買いが先行。米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りも入ると、330分過ぎに一時1.1050ドルと日通し高値を更新した。

なお、ウンシュ・ベルギー中銀総裁は「賃金の伸びが鈍化しなければ利上げを継続」「金利をある時点で4%にしなければならないとしても驚きはない」と述べ、市場の想定以上に金融引き締めが進む可能性を示唆したほか、シュナーベルECB専務理事は「インフレについて勝利宣言するのは時期尚早」「来週の理事会で0.50%の利上げの可能性を排除しない」などと語った。

ドル円は3営業日ぶりに小反発。終値は134.24円と前営業日NY終値(134.16円)と比べて8銭程度のドル高水準だった。日銀が今週開く金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策を維持するとの見方が強まる中、円売り・ドル買いが先行。2130分前に一時134.73円と日通し高値を付けた。

ただ、買い一巡後は上値が重くなった。米長期金利の低下に伴う円買い・ドル売りが入ったほか、4月米ダラス連銀製造業活動指数が▲23.4と前回の▲15.7から悪化し、予想の▲12.0を下回ったことが相場の重しとなり、一時134.23円付近まで下押しした。もっとも、同水準に位置する一目均衡表雲の上限がサポートとして働くと下げ止まった。

ユーロ円は続伸。終値は148.28円と前営業日NY終値(147.40円)と比べて88銭程度のユーロ高水準。利上げを継続するECBと、金融緩和策の継続が見込まれる日銀との金融政策の方向性の違いが意識されて、円売り・ユーロ買いが優勢となった。2330分前に一時148.47円と201412月以来約84カ月ぶりの高値を更新した。その後の下押しも148.10円付近にとどまった。

 

【本日の東京為替見通し】ドル円、レンジ取引続く ユーロ円やスイスフラン円には注目

本日の東京為替市場でドル円は、基本的には先週レンジ(133.55円-135.13円)の中で上下する展開か。昨日は米10年債利回りが前週末比で8ベーシスポイント(bp1bp0.01%)低下して終えた。それを受け、買いが先行していたドル円は134円後半から失速したものの、134円台は維持して引けている。大規模な金融緩和の継続が見込まれる日銀会合を2728日に控え、積極的に円も買えないというのが実情だろう。

ニューヨーク終値水準で推移すようならば、やはり日足一目均衡表・雲の上限を気にした動きとなるか。昨日134.23円に位置した同水準は、本日134.09円まで降り、明日には134円まで低下が示唆されている。支持や抵抗水準になるというよりも、雲の上限を挟み方向感を模索する展開と考えておきたい。

昨日は一部報道による「日銀は長期的な視点から、金融緩和策の点検・検証を実施する方向で調整に入った」が話題となる場面があった。植田・新日銀総裁は点検・検証の必要性について既に述べていたこともあり、それほどサプライズではない。ただし、その結果発表後に金融政策が修正されたことが黒田・前総裁の時代にあったため、市場は気にしているようだ。なお、植田総裁は衆院の分科会で昨日、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の正常化の条件として、2%の物価見通し実現の確からしさが必要との見解を示した。

円絡みでは昨日、ユーロ円が148円後半まで上昇し、201412月以来の高値を記録。タカ派色を強めつつある欧州中央銀行(ECB)と緩和スタンスを変えないであろう日銀という、金融政策の差がユーロ買い・円売りにつながっているもよう。他にもスイスフラン円が昨日151.49円まで上昇した。これは昨年9月高値に並ぶ水準であり、超えるようだと40年以上ぶりのフラン高・円安となる。欧州通貨のクロス円の動向もドル円に影響すると思われ、目を向けておきたい。

なお、本日はゴトー日(510日)であり、東京仲値にかけて値幅を広げるパターンもありそうだ。また、ニュージーランドとオーストラリアはアンザックデーの祝日であり、NZドルや豪ドルの流動性が通常より悪くなる可能性も念頭に置いたほうがよいだろう。

 

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

08:503月企業向けサービス価格指数(予想:前年比1.7%)

○未定 ◇ 4月月例経済報告

 

<海外>

18:00 ◎ ブロードベント英中銀(BOE)副総裁、講演

21:002月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比0.9%)

22:002月米住宅価格指数(予想:前月比▲0.1%)

22:002月米ケースシラー住宅価格指数(予想:前年比横ばい)

23:004月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:▲8

23:004月米消費者信頼感指数(予想:104.0

23:003月米新築住宅販売件数(予想:前月比▲1.3%/63.2万件)

2602:00 ◎ 米財務省、2年債入札

○ニュージーランド、オーストラリア(アンザックデー)、休場

 

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

 

【前日までの要人発言】

24日11:52 植田日銀総裁

「不動産価格、今のところ明確な割高感は観測されてはいない」

「バブル起きないか、注意深くみていく」

「全国地下、経済活動の持ち直しで緩やかに上昇」

「物価の基調はまだ2%を下回っているので緩和を継続する」

「出口戦略の具体策や財務への影響、差し支えない範囲で公表検討したい」

「金融政策の正常化局面でETFの処分は大きな課題になる」

 

24日13:08 ウンシュ・ベルギー中銀総裁(FTとのインタビューで)

「賃金の伸びが鈍化しなければ利上げを継続」

「インフレはまだ正しい方向に向かっていない」

24日20:17

「ターミナルレート(利上げの最終到達点)に到達して利上げを休止する前には、賃金やコアインフレ率の低下が必要」

 

24日18:05 パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事

「地政学リスクがインフレ率を押し上げている」

「グローバリゼーションが自然利子率へ影響を及ぼしている」

 

25日00:23 シュナーベルECB専務理事

「インフレについて勝利宣言するのは時期尚早」

「来週の利上げ幅はデータ次第」

「来週の理事会で0.50%の利上げの可能性を排除せず」

 

25日01:06 ビルロワドガロー仏中銀総裁

「基調的インフレは総合よりも持続する恐れがある」

「ECBは必要な限りピーク金利を維持する」

「利上げは規模と回数を制限する必要がある」

※時間は日本時間


〔日足一目均衡表分析〕

ドル円=雲の上限付近で底堅さ示すことできるか>

小陽線引け。一目均衡表・雲の上限を挟む攻防だった。終値で昨日の雲上限レベル134.23円をわずかながら上回っている。

まだ動意は不安定かもしれないが、本日134.09円へ小幅に低下した雲の上限を上回る水準での推移が続くか。低下した雲の上限はしっかりした支えにならない可能性はあるものの、明日まで上昇が続く見込みの一目・転換線がサポートになり、下振れは回避できるとみる。

レジスタンス2      135.13(4/19高値

レジスタンス1      134.73(4/24高値

前日終値                        134.24

サポート1                       133.58(日足一目均衡表・転換線

 

<ユーロドル=年初来高値付近の攻防

下影陽線引け。一目均衡表・転換線1.0993ドル前後の底堅さを背景に、1.1ドル台を回復する上昇となった。14日につけた年初来高値を上抜けば弾みがつき、昨年3月以来の高値圏で上伸する展開となろう。一方、14日高値が抵抗となり頭打ちとなれば、明日には低下へ転じる見込みの転換線の動向が示唆するような調整がいったん入ることになるだろう。

レジスタンス1      1.1105(ピボット・レジスタンス2

前日終値                        1.1046

サポート1                       1.0966(4/24安値

 

ポンド円レンジ切り上げ転換線の低下を防ぎたい

陽線引け。19日につけた年初来高値167.97円に迫る堅調な推移だった。上伸が期待され、調整安が入っても目先は一目均衡表・転換線166.69円付近にとどまるとみる。ただ、まだじり高が続く見込みの転換線は、現状からすれば週後半27日に166.75円まで小幅に切り上がったところで頭打ちとなる公算。上値を狙うためにも、転換線が低下へ転じる前に相場レンジを切り上げ、下押し場面のサポート水準低下を防ぎたい。

レジスタンス1      167.97(4/19高値=年初来高値)

前日終値                        167.61

サポート1                       166.69(日足一目均衡表・転換線

 

NZドル円雲を下回る水準から戻りを試す展開

下影陽線引け。先週末に一目均衡表・雲のねじれ部分を上抜けきれず下振れた後を受け、雲を下回る水準から戻りを試す展開となった。雲の下限82.93円が目先の重しで、さらに雲の上限83.21円や83.29円前後で推移する90日移動平均線が抵抗となりそう。反落局面では、一目・基準線82.17円前後が下げ渋りのポイントになるだろう。

レジスタンス1      83.21(日足一目均衡表・雲の上限)

前日終値                        82.78

サポート1                     82.17(日足一目均衡表・基準線)

chart 1

chart 2
  情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社

 

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