【本日の東京為替見通し】ドル円、米債務上限リスクが上値を抑える展開か

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【前日の為替概況】ドル円 135.12円まで上昇、米4月非農業部門雇用者数が前月比+25.3万人

5日のニューヨーク外国為替市場でドル円は4営業日ぶりに反発。終値は134.80円と前営業日NY終値(134.29円)と比べて51銭程度のドル高水準だった。米労働省が発表した4月米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比25.3万人増と予想の18.0万人増を上回り、失業率が3.4%と予想の3.6%より強い内容だったことが明らかになると、米景気悪化への過度な警戒が和らぎ全般ドル買いが先行。前日の高値134.88円を上抜けて一時135.12円と日通し高値を更新した。平均時給が前月比0.5%/前年比4.4%と予想の前月比0.3%/前年比4.2%を上回ったこともドル買いを誘った。

ただ、135円台では戻りを売りたい向きも多く、買い一巡後は徐々に上値が重くなった。一目均衡表転換線が位置する135.40円がレジスタンスとして働いたほか、市場では「3日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後に付けた高値135.70円が戻りの目処として意識されている」との声が聞かれ、2時前には134.63円付近まで下押しする場面があった。

ユーロドルは小反発。終値は1.1019ドルと前営業日NY終値(1.1012ドル)と比べて0.0007ドル程度のユーロ高水準。米雇用統計の上振れをきっかけに全般ドル買いが先行すると一時1.0967ドルと日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。欧州中央銀行(ECB)の利上げ継続観測を背景にユーロ買い・ドル売りが入ったほか、ユーロ円の上昇につれた買いが入り一時1.1036ドル付近まで持ち直した。なお、大半のエコノミストは「ECB7月までに0.25%の利上げをあと2回実施する」と予測しているようだ。

ユーロ円は4日ぶりに反発。終値は148.54円と前営業日NY終値(147.90円)と比べて64銭程度のユーロ高水準。パックウエスト・バンコープやウエスタン・アライアンス・バンコープなど米地銀株が急反発すると、米中堅金融機関の連鎖的な経営破綻への警戒が緩和し、ダウ平均が一時620ドル超上昇。リスク・オフの動きが巻き戻される格好となり円売り・ユーロ買いが進んだ。1時過ぎには一時148.71円と日通し高値を更新した。

カナダドルは全面高。カナダ統計局が発表した4月カナダ雇用統計で、新規雇用者数が4.14万人増と予想の2.00万人増を上回り、失業率が5.0%と予想の5.1%より強い内容となったことを受けてカナダドル買いが広がった。対米ドルでは1.3371カナダドル、対ユーロでは1.4735カナダドル、対円では100.83円まで値を上げた。WTI原油先物価格が4%超上昇したことも産油国通貨のカナダドルの買いを促した。

 

【本日の東京為替見通し】ドル円、米債務上限リスクが上値を抑える展開か

本日の東京外国為替市場のドル円は、好調な米4月雇用統計にも関わらず135円台が重かったことで、61日が「Xデイ」とされる米国の債務上限引き上げ問題や米金融システムへの警戒感が上値を抑える展開が予想される。

ドル円の上値抵抗線は、日足一目均衡表・転換線の135.40円、下値支持線は、雲の上限の133.00円となっており、今週はこのレンジからの放れに就くスタンスで臨むことになる。

米国4月の失業率は3.4%へ低下し、非農業部門雇用者数も前月比25.3万人の増加だったにも関わらず、米10年債利回りは3.43%台で引けており、ドルの上値を抑えている。

シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、6月と7FOMCでは政策金利据え置きの確率が高いものの、9FOMCでは0.25%の利下げ確率が高まり、12FOMCでは、FF金利誘導目標が4.25-50%へ引き下げられる確率が高まっており、ドット・プロット(金利予測分布図)での5.00-25%とは0.75%の乖離となっている。

イエレン米財務長官は1日、財務省が連邦債務を上限未満に維持するための特別会計措置を61日にも使い切る可能性があると議員らに伝えた。61日の「Xデイ」に向けて、バイデン民主党政権と議会共和党との間で「チキンゲーム」が繰り広げれることになるが、明日9日にバイデン米大統領とマッカーシー下院議長ら議会指導部と協議する予定になっている。バイデン米大統領は5192021日には、広島サミットに参加するため、バイデン米大統領、上下両院の議員がワシントンに居る時期は7日間(5月:9日、10日、11日、12日、15日、16日、17日)だけとなっている。

2011年夏のオバマ第44代米大統領と下院共和党による債務上限を巡るチキンゲームは、82日の期限に対して、731日に米議会は債務上限引き上げを承認したことで、米国のデフォルト(債務不履行)は回避された。しかし、85日に格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)が、財政赤字削減計画が米国の債務の安定化には不十分との見方から、米国の長期発行体格付けを「AAA」から「AA+」に引き下げたことで、米国債格下げショックが市場を襲った。

・ダウ平均株価:8日は前日比634.76ドル安の10809.85ドルへ下落

・日経平均株価:9500円台から9000円割れへ下落

・ドル円相場:79円台から76円台へ下落

今回も、欧州の格付け会社スコープ・レーティングスが、債務上限制度の乱用に関連する長期的なリスクを理由に、「AA」としている米国の現地通貨・外貨建て長期発行体の格付けを格下げ方向で見直すと発表している。

バイデン米大統領は、連邦政府が支払いを継続できるよう憲法修正第14条を発動して危機を回避する選択肢があるとも指摘されており、関連ヘッドラインに警戒せざるを得ない日々が続くことになる。

 

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

08:503910日分の日銀金融政策決定会合議事要旨

 

<海外>

10:304月豪NAB企業景況感指数

10:303月豪住宅建設許可件数(予想:前月比3.0%)

15:003月独鉱工業生産(予想:前月比▲1.3%/前年同月比1.8%)

23:003月米卸売売上高

23:00 ◎ レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演

905:45 ◎ カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、パネルディスカッションに参加

○英国(英国王戴冠式記念で祝日)、ロシア(振替休日)、休場

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

5日15:27 ビルロワドガロー仏中銀総裁

「インフレを2025年までに2%に戻せるだろう、おそらく2024年末までには」

「我々のゴールはリセッションなく、インフレとの戦いに勝つこと」

「さらに数回の利上げが行われる可能性が高い」

「ECBの小幅な利上げを好む」

 

5日19:18 ジョーダン・スイス国立銀行(スイス中銀、SNB)総裁

「追加利上げの可能性を排除することはできない」

「基礎的インフレ率は依然として高い」

「インフレとの闘いはまだ終わっていない」

 

5日22:27 世界保健機関(WHO)

「新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言を終了する」

 

6日01:22 バイデン米大統領

「債務上限と予算はまったく無関係」

「来週、議会指導者らにデフォルトを回避するべきだと伝える」

 

6日01:31 米財務省

「イエレン米財務長官の訪日は債務上限問題で予定よりも短縮される」

 

6日02:16 ブラード米セントルイス連銀総裁

「今週のFOMCでは0.25%の利上げを支持した」

「FRBは1年で多くのことを実行したが、インフレは多く残っている」

「基本的は景気後退(リセッション)ではなく低成長だが、リスクは存在する」

「米雇用統計は予想よりも再び強かった」

「労働市場は非常に逼迫しており、緩和するには時間がかかる」

「金利は十分に制限的な領域になっていると考える」

「債務上限は議会の可決が必須」

 

6 05:28 グールズビー米シカゴ連銀総裁

「FRBの6月の決定について判断を下すのは時期尚早」

「金融政策はデータ次第」

※時間は日本時間


〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで三役好転の強い買いシグナルが点灯している。しかし、3手連続陰線の後、抱き線で反発したものの転換線を下回って引けており、反落の可能性が示唆されている。

本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2      136.63(5/3高値)

レジスタンス1      135.40(日足一目均衡表・転換線)

前日終値                        134.80

サポート1           134.21(日足一目均衡表・基準線

サポート2           133.505/4安値

 

<ユーロドル=基準線を支持に押し目買いスタンス>

小陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けており、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。孕み線で反発して、転換線1.1019ドルで引けていることで続伸の可能性が示唆されている。

本日は、転換線1.1019ドルを念頭に、基準線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1      1.10954/26高値)

前日終値                        1.1019

サポート1           1.0942(日足一目均衡表・基準線)

 

<ユーロ円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。しかし、3手連続陰線の後の孕み線で反発したものの、転換線を下回って引けているため反落の可能性が示唆されている。

本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1      149.04(日足一目均衡表・転換線)

前日終値                        148.54

サポート1                       147.08(日足一目均衡表・基準線)

 

<豪ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

大陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。抱き線で反発して転換線を上回って引けているため続伸の可能性が示唆されている。

本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1      92.44(5/2高値

前日終値                        91.05

サポート1                       90.16(日足一目均衡表・転換線)

chart 1

chart 2
  情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社

 

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