【本日の東京為替見通し】ドル円、米国の債務上限引き上げ協議を控えて上値が重い展開か

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【前日の為替概況】ドル円 135.23円付近まで上昇、米10年債利回りが3.51%台へ上昇

8日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。終値は135.10円と前営業日NY終値(134.80円)と比べて30銭程度のドル高水準だった。米10年債利回りが3.51%台まで上昇したことなどを手掛かりに円売り・ドル買いが先行すると、21時過ぎに一時135.23円付近まで値を上げたものの、アジア時間に付けた日通し高値135.30円付近がレジスタンスとして意識されると失速した。米債務上限問題を巡る懸念からダウ平均が一時160ドル超下落したことも相場の重しとなり、一時134.66円付近まで下押しした。

ただ、アジア時間に付けた日通し安値134.64円や前週末NY時間高値からの下押しレベルである134.63円がサポートとして働くと買い戻しが優勢に。米長期金利の上昇に伴う円売り・ドル買いも出て135.18円付近まで持ち直した。

なお、米連邦準備理事会(FRB)が公表した2023年第1四半期の融資担当者調査(SLOOS)によると、融資基準の厳格化および商業・産業向け貸し出し需要の軟化が報告されたものの、相場の反応は限られた。

ユーロドルは小反落。終値は1.1004ドルと前営業日NY終値(1.1019ドル)と比べて0.0015ドル程度のユーロ安水準だった。米長期金利の上昇を材料にユーロ売り・ドル買いが先行。ユーロ円やユーロ豪ドルなどユーロクロスの下落につれた売りが出ると一時1.1000ドルと本日安値を付けた。

ユーロ円は小幅続伸。終値は148.68円と前営業日NY終値(148.54円)と比べて14銭程度のユーロ高水準。日本時間夕刻に一時149.27円と日通し高値を付けた影響が残ったものの、NYの取引時間帯に入るとじり安の展開となり、24時前に一時148.46円と日通し安値を更新した。その後の戻りも148.78円付近にとどまった。

 

【本日の東京為替見通し】ドル円、米国の債務上限引き上げ協議を控えて上値が重い展開か

本日の東京外国為替市場のドル円は、今夜予定されている米国債務上限引き上げを巡る協議とロシアの「戦勝記念日」への警戒感から上値が重い展開が予想される。

ドル円の昨日の高値は135.30円までで()、日足一目均衡表・転換線の135.40円が抵抗帯として上値を抑えた。本日も、135.51円へ上昇している転換線を攻防の分岐点として注視していくことになる。

米国のリセッション(景気後退)を誘発する信用収縮への警戒感が高まる中、昨日は、3日のFOMC後の記者会見でパウエルFRB議長が公表を予告していた融資担当者調査(SLOOS)が発表された。1-3月(第1四半期)に中・大規模企業向け融資の条件を引き締めている米銀行の割合は、202210-12月(第4四半期)の44.8%から46%に上昇していた。融資基準を引き締めた銀行の割合の増加は、経済活動の鈍化につながり、景気後退の前兆になる可能性があるが、過去のリセッションの時は60%程度となっていたことで、昨日の市場への影響は限定的だった。

イエレン米財務長官が61日を「Xデイ」と警告した債務上限引き上げ問題は、本日、バイデン米大統領がマッカーシー下院議長(共和)ら議会指導部と協議する予定になっている。そして、明日10日にバイデン大統領がデフォルト(債務不履行)について発言する予定、と報じられている。バイデン大統領は5192021日には、広島サミットに参加するため、バイデン大統領、上下両院の議員がワシントンに同時に居る時期は7日間(5月:9日、10日、11日、12日、15日、16日、17日)だけとなっている。

バイデン大統領の切り札は、連邦政府が支払いを継続できるよう憲法修正第14条を発動する選択肢があるとも指摘されている。

一方、マッカーシー下院議長は、ホワイトハウスと議会民主党が実質的な歳出削減で譲歩することなどと引き換えに、1年間の適用停止を提案するのではないか、と報じられており、今後も関連ヘッドラインに注目しておきたい。

また本日9日は、ロシアの「戦勝記念日」となっており、先日、ロシアの下院議長が、ウクライナ政権中枢に向けた戦術核の使用を促す極論を提案しており、戦勝記念日に乗じて戦局打開策が打ち出される可能性に警戒しておきたい。

 

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

08:303月毎月勤労統計(現金給与総額、予想:前年比1.0%)

08:303月家計調査(消費支出、予想:前年比0.4%)

 

<海外>

08:014月英小売連合(BRC)小売売上高調査

09:305月豪ウエストパック消費者信頼感指数

○未定 ◎ 4月中国貿易収支(予想:716.0億ドルの黒字)

15:00 ◎ レーン・フィンランド中銀総裁、講演

15:453月仏貿易収支(予想:93億ユーロの赤字)

15:453月仏経常収支

15:50 ◎ ヘロドトゥ・キプロス中銀総裁、講演

17:00 ◎ レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演

17:00 ◎ センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演

19:00 ◎ バスレ・スロベニア中銀総裁、ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演

21:004月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前年比6.23%)

21:30 ◎ ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演

1001:05 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演

1002:00 ◎ シュナーベルECB専務理事、講演

1002:00 ◎ 米財務省、3年債入札

○ロシア(戦勝記念日)、休場

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

8日08:57 3月9-10日分の金融政策決定会合議事要旨

「米国の物価上昇率の鈍化や欧州のエネルギー供給問題を巡る懸念の後退などを背景に、一旦は市場センチメントに改善の動きがみられたものの、その後、米欧の経済・物価指標の上振れなどを受けて、金融引き締めの長期化が意識され、市場センチメントが再び慎重化しているとの見方を共有した」

「一人の委員は、米欧における金利上昇が一部投資家の運用成績等に影響を与えはじめており、市場の動向を丁寧にモニタリングすることが肝要であると述べた」

「何人かの委員は、米欧のインフレが高止まり、中央銀行の利上げが長期化した場合に、金融市場や金融システムに及ぼす影響については注意が必要であるとの見方を示した」

「わが国の景気について、委員は、資源高の影響などを受けつつも、感染症抑制と経済活動の両立が進むもとで、持ち直しているとの見方を共有した。複数の委員は、企業の投資意欲は高いほか、個人消費も回復基調にあるとの見方を示した」

 

8日23:40 レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト

「食料とコアインフレの勢いは依然として強い」

 

9日00:08 グールズビー米シカゴ連銀総裁

「FRBはデータに依存する必要。信用状況を注視」

「信用ひっ迫が始まりつつある気配を感じる」

「リセッションの可能性はあると言わざるを得ない」

「6月の金利決定を判断するには時期尚早」

「生産者物価はデフレ環境に移行」

 

905:21イエレン米財務長官

「デフォルトは米国にとって大きな打撃に。議会が債務上限を引き上げることが不可欠」

「経済状況や金融システムを維持するためには、債務上限の引き上げが唯一の手段」

※時間は日本時間


〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで三役好転の強い買いシグナルが点灯している。しかし、2手連続陽線でも転換線を下回って引けており、反落の可能性が示唆されている。

本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2      136.63(5/3高値)

レジスタンス1      135.51(日足一目均衡表・転換線)

前日終値                        135.10

サポート1           134.21(日足一目均衡表・基準線

サポート2           133.505/4安値

 

<ユーロドル=4/26高値を抵抗に戻り売りスタンス>

陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けており、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。しかし、抱き線で反落して、転換線を下回って引けていることで続落の可能性が示唆されている。

本日は、転換線1.1017ドルを念頭に、426日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1      1.10954/26高値)

前日終値                        1.1004

サポート1           1.0963(日足一目均衡表・基準線)

 

<ポンド円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。2手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。

本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1      172.335/2高値)

前日終値                        170.50

サポート1                       169.32(日足一目均衡表・転換線)

 

NZドル円=三役好転、5/8安値を支持に押し目買い>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯した。3手連続陽線で転換線を上回って引けているため続伸の可能性が示唆されている。

本日は、8日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1      87.202022/12/20高値

前日終値                        85.72

サポート1                       84.76(5/8安値

chart 1

chart 2
  情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社

 

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