【本日の東京為替見通し】ドル円、下値の堅さは継続か 米金利の高止まりが支えに

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【前日の為替概況】ドル円、反発 タカ派発言を手掛かりに円売り・ドル買い先行

22日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。終値は138.60円と前営業日NY終値(137.98円)と比べて62銭程度のドル高水準だった。ブラード米セントルイス連銀総裁が「年内に政策金利をさらに0.50%引き上げる必要があるかも知れない」と述べたことを手掛かりに円売り・ドル買いが先行。23時前に一時138.66円まで値を上げた。

その後、「米国防総省(ペンタゴン)近くで大規模爆発が起こった」との一部報道が伝わると、リスク回避の円買い・ドル売りが優勢となり一時138.01円付近まで下落したものの、ペンタゴン付近で爆発や火災が発生した事実はなく、SNS上で出回った虚偽のニュースだったことが明らかになると一転買い戻しが優勢に。米10年債利回りが3.7264%前後と313日以来の高水準を付けたことも相場の支援材料となり、1時過ぎには138.69円と日通し高値を更新した。

ただ、前週末の高値138.73円や18日に付けた年初来高値138.75円がレジスタンスとして意識されると上昇は一服した。NY中盤以降は米債務上限引き上げを巡る交渉の行方を見極めたいとのムードが強まり、徐々に値動きが鈍った。

ユーロ円も反発。終値は149.87円と前営業日NY終値(148.99円)と比べて88銭程度のユーロ高水準。ドル円の上昇につれた円売り・ユーロ買いが優勢となると、23時前に一時149.92円と日通し高値を付けた。「ペンタゴン周辺で大規模爆発」とのフェイクニュースが伝わると149.33円付近まで下押しする場面もあったが、下値は堅くすぐに持ち直した。

ユーロ円以外のクロス円も堅調だった。ポンド円は一時172.58円、豪ドル円は92.23円、NZドル円は87.14円、カナダドル円は102.66円、スイスフラン円は154.47円、南アフリカランド円は7.21円まで値を上げた。

ユーロドルは小幅ながら続伸。終値は1.0813ドルと前営業日NY終値(1.0805ドル)と比べて0.0008ドル程度のユーロ高水準だった。米債務上限引き上げを巡る交渉の行方に注目が集まる中、積極的な取引は手掛けにくく、値動きは限定的だった。今日の安値は1.0796ドル、高値は1.0831ドルで値幅は0.0035ドル程度だった。

 

【本日の東京為替見通し】ドル円、下値の堅さは継続か 米金利の高止まりが支えに

本日の東京為替市場でドル円は、米債務上限問題を巡る先行き不透明感はあるものの、昨日からの下値の堅さは継続か。イエレン米財務長官が61日にも政府の資金繰りが行き詰まると再び警告するなか、日本時間630分からバイデン米大統領と共和党のマッカーシー下院議長が債務上限の引き上げを関して再び会談。事前の報道では、歳出削減規模や期間、そして具体的な削減策を話し合うもよう。

マッカーシー下院議長によれば、トップ協議に先立ち行われた交渉担当者の話し合いは建設的だったということだ。下院議長は「デフォルト(債務不履行)回避のためには今週中に合意しなくてはならない」と述べ、今夜や明日にも成立は可能と前向きな発言をしている。バイデン大統領も21日、「1兆ドル以上の歳出削減計画を提示した」とツイートし、政府サイドの譲歩姿勢を示した。

問題は、共和党の保守強硬派がマッカーシー下院議長に対し安易に歩み寄らないよう圧力をかけていること。党内基盤の脆弱さが下院議長にとってはウィークポイントになっている。もっとも、交渉停滞報道が伝わった先週末でさえもドル円は137円半ばまでの下落だったことを考えると、本日も米債務上限問題の関連報道で右往左往しながらも下値の堅さを確認するに留まるのではないか。

米金利の高止まりもドル円の下値を支える要因。昨日は米連邦準備理事会(FRB)高官から、タカ派・ハト派の両サイドの発言が伝わった。ブラード米セントルイス連銀総裁は「今年あと2回の利上げを予想」と述べた一方、ボスティック米アトランタ連銀総裁は6月会合で据え置き支持の姿勢を示した。その他複数のFRB高官もデータ次第というスタンスが多い。しかしながら市場はタカ派なコメントに反応しやすく、依然として年末までの利下げを見込んでいる短期金融市場も迷いが出つつあるように見える。

なお米株主要指数はまちまちだったものの、日経平均先物は堅調さが継続された。際立つ日本株の強さがまだしばらくクロス円の支えになりそうだ。

 

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

特になし

 

<海外>

○◎ バイデン米大統領と米共和党のマッカーシー下院議長が債務上限問題めぐり会談

14:004月シンガポール消費者物価指数(CPI、予想:前年比5.5%)

16:155月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:46.0

16:155月仏サービス部門PMI速報値(予想:54.0

16:15 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演

16:305月独製造業PMI速報値(予想:45.0

16:305月独サービス部門PMI速報値(予想:55.3

17:005月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:46.0

17:005月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:55.6

17:003月ユーロ圏経常収支(季節調整済)

17:00 ◎ ミュラー・エストニア中銀総裁、講演

17:305月英製造業PMI速報値(予想:48.0

17:305月英サービス部門PMI速報値(予想:55.5

18:15 ◎ ベイリー英中銀(BOE)総裁、議会証言

21:304月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比0.1%)

21:304月カナダ原料価格指数(予想:前月比0.7%)

22:00 ◎ ローガン米ダラス連銀総裁、あいさつ

22:455月米製造業PMI速報値(予想:50.0

22:455月米サービス部門PMI速報値(予想:52.6

22:455月米総合PMI速報値(予想:53.0

23:004月米新築住宅販売件数(予想:前月比▲2.6%/66.5万件)

23:005月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:▲8

23:45 ◎ ハスケル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演

24:00 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演

2402:00 ◎ 米財務省、2年債入札

2402:50 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

 

【前日までの要人発言】

2216:37 中国外務省

「バイデン米大統領が中米関係の変化を試みており、近く対話が行われる可能性」

「中国を正しく理解し、中国との関係を半ば譲歩し、双方の関係を再び軌道に乗せるよう求めている」

 

2220:14 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁

6月に利上げするか休止するかは際どい」

FRBはインフレとの戦いを続けなければならない」

 

2221:42 ブラード米セントルイス連銀総裁

「米国のリセッション(景気後退)の確率は過大視されている」

「リセッションは、自分のシナリオにはない」

「今年あと2回の利上げを予想」

 

2223:16 米ホワイトハウス

「バイデン大統領は債務上限問題について米共和党のマッカーシー下院議長と日本時間23630分頃に会談」

 

2223:30 ビルロワドガロー仏中銀総裁

「基調的な物価圧力は根強い」

「インフレは和らいでいるものの、年末までは依然として非常に高い」

「今後3回の会合では利上げも停止も可能」

「金利は遅くとも9月までにピークに達すると予想」

 

2223:32 米国防総省報道官

「米国防総省付近で爆発はなかった」

 

2300:20 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁

「スーパーコアインフレの減速が続いていることを確認したい」

「銀行ストレスは沈静化。企業は融資を控えている」

6FOMCまでにデータを収集する時間はまだ多くある」

「我々はデータに大きく依存する必要」

 

2301:23 バーキン米リッチモンド連銀総裁

6月の政策決定について事前に判断するつもりはない」

 

2301:45 米下院金融サービス委員会のマクヘンリー委員長(共和党)

「(米債務上限交渉)主要項目についてはまだ合意に至っていない」

「下院、上院を通過し、大統領が署名できる協定を獲得することに懸念」

 

2302:20 米共和党のマッカーシー下院議長

「(債務上限交渉)合意ない」

「(バイデン大統領との会談について)決定は下され始めなければならない」

「今朝の交渉担当者協議は建設的だった」

「債務期限までにすべてを成し遂げることができると思う」

「(債務上限交渉)合意は今夜や明日にも成立可能」

「(債務上限交渉)今週中に合意しなくてはならない」

2306:53

「軌道修正の必要性で一致」

 

2302:22 ボスティック米アトランタ連銀総裁

「追加利上げを決定する前に少し待つことに抵抗感はない」

 

2302:37 デコス・スペイン中銀総裁

ECBの金融引き締め政策の道のりはまだ残っている」

「インフレ目標を達成するには、金利を長期間にわたって制限的な領域に留める必要」

 

23日06:48 バイデン米大統領

「米共和党のマッカーシー下院議長と債務上限問題めぐる会談を始める」

「私は楽観的だ」

「我々は何かを成し遂げるつもりだ」

「支出を削減する必要」

※時間は日本時間

 

〔日足一目均衡表分析〕

ドル円5日線の上昇ともなう高値更新の流れを予想

下影陽線引け。リスク回避で下振れる場面を挟みつつも底堅さを維持した。一時138.69円と、18日につけた年初来高値138.75円に迫った。

137.18円前後で推移する200日移動平均線を上回る水準で上向きの流れを維持している。138.31円前後で上昇中の5日移動平均線の上昇をともない高値更新をうかがう状況とみる。

レジスタンス1      139.45(ピボット・レジスタンス2

前日終値                        138.60

サポート1                       138.105/22レンジ半値水準

サポート2                       137.50(5/22安値

 

<ユーロドル=雲の中にとどまるも戻り鈍そう

極小陽線引け。1.0820ドル付近で推移する90日移動平均線前後で動きにくかった。一目均衡表・雲の中にとどまっていることは一定の安心感を誘う。しかし、戻り局面に控える一目・転換線が重しになりそうな状態は変わらず。戻しても低下中の転換線付近での伸び悩みが想定される。

レジスタンス1      1.0879(日足一目均衡表・転換線

前日終値                        1.0813

サポート1                       1.0760(5/19安値)

 

ポンド円上昇波形維持、高値圏で上昇余地探る展開

下影陽線引け。高値圏での下押しは18日に171.19円、昨日22日も171.20円にとどまった。10日高値171.18円を割り込むことなく短期上昇波形を維持。172.58円まで高値を更新している。底堅い地合いが継続。20162月以来の高値圏で調整の売りが入ることも想定できる。しかし、上向きの流れを否定する明確な材料を確認するまでは、上昇余地を探る展開が続くことになる。

レジスタンス1      172.90(ピボット・レジスタンス1

前日終値                        172.38

サポート1                       171.895/22レンジ半値水準

 

NZドル円5日線付近への下押し挟みつつも堅調維持

下影陽線引け。一時86.28円と、86.20円台に位置していた5日移動平均線に近づく場面もあった。しかし持ち直し、昨年1220日以来の水準87.10円台まで高値を更新した。本日86.64円前後へ切り上がった5日移動平均線付近の底堅さを維持し、上伸する展開が期待できる。5日線を割り込んで下振れる展開も想定しておきたいが、10日高値85.91円などが下支えのポイントになるとみる。

レジスタンス1      87.61(2022/12/15高値)

前日終値                        87.13

サポート1                       86.64(5日移動平均線

chart 2
  情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社

 

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