
【前日の為替概況】ユーロドル、3日ぶり反落 ユーロ圏製造業PMI予想下回り3年ぶり低水準
23日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは3営業日ぶりに反落。終値は1.0770ドルと前営業日NY終値(1.0813ドル)と比べて0.0043ドル程度のユーロ安水準だった。欧州時間発表の5月ユーロ圏製造業PMI速報値が予想を下回り、3年ぶりの低水準となったことを受けてユーロ売り・ドル買いが優勢となった。カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁が「インフレ率が高止まりした場合、追加利上げが必要となる可能性」と述べたことも相場の重しとなり、一時1.0760ドルと19日の安値に面合わせした。
なお、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁は「ECBの金利は十分に制限的な水準に達する見通し」「ECBは金利を必要な限り制限的な水準で維持する」と述べたほか、ナーゲル独連銀総裁は「インフレ抑制のため、ECBはあと数回利上げする必要」などと発言したものの、相場の反応は限られた。
ドル円は小反落。終値は138.59円と前営業日NY終値(138.60円)と比べて1銭程度のドル安水準だった。米10年債利回りが一時3.7572%前後と3月10日以来の高水準を更新すると円売り・ドル買いが先行。米連邦準備理事会(FRB)高官のタカ派的な発言を受けて全般ドル買いが強まると、一時138.91円と昨年11月30日以来約半年ぶりの高値を更新した。
ただ、節目の139.00円に接近した場面では戻り売りなどが出たため上げ幅を縮めた。米10年債利回りが低下に転じたことも相場の重しとなり、138.29円付近まで下押しする場面があった。
ユーロ円は反落。終値は149.27円と前営業日NY終値(149.87円)と比べて60銭程度のユーロ安水準。ユーロ圏経済指標の下振れを受けてユーロ売りが出たほか、欧米株相場の下落を背景にリスク回避の円買いが入ると一時149.11円と日通し安値を更新した。その後の戻りも149.56円付近にとどまった。
【本日の東京為替見通し】メインイベントはRBNZの政策発表、米債務上限の問題も注視
本日の東京為替市場では、先行き不透明感が残ったままの米債務上限問題に関する報道に気をつけながら、メインイベントであるニュージーランド準備銀行(RBNZ)の金融政策発表を見極めることになる。
債務上限引き上げを巡るバイデン米大統領と共和党・マッカッシー下院議長との協議は、それぞれ生産的/建設的だったとの感想は聞かれたものの目立った進展は見られなかった。イエレン財務長官が警告する「財務省が現金を使い果たす可能性があるという6月1日」が近づく中、一部米メディアは財務省が各機関に支払いを遅らせることができるか確認していると報じた。
依然として市場では「いずれにせよ決着」との見方は多いものの、満期1年以内の米財務省短期証券(TB)市場ではデフォルト(債務不履行)への警戒感が増しているようだ。1週間物TB(今月満期)は3%を下回るなか、4週間物TBは5.4%台、2週間物TBに至っては5.8%を上回った。その影響は中期債にも波及しており、為替市場も暫くは短いところの米金利に注視する必要があるだろう。
日本時間11時にRBNZが公表する政策金利は、現行5.25%から5.50%に引き上げが大方の市場予想だ。前回4月5日の会合では0.50ポイントの利上げと予想0.25ポイントから拡大し市場を驚かせた。会合後から現在まで明らかにされたNZ指標を確認すると1-3月期消費者物価指数(CPI)は前年比6.7%と水準としては高いものの前四半期から0.4ポイント鈍化し、先週発表された同期卸売物価指数(PPI)も減速が確認された。雇用データは強かったものの、本日に関しては市場の見込み通りの金利発表になるのではないか。
注目は声明内容。次回7月の会合に向けて引き締めスタンスを変えてくるのかがポイントとなりそうだ。NZドルは当然ながら神経質な動きが予想され、声明の受け止め方次第で右往左往しそうだ。足もとでNZドルはやや上値の重い動き。先週から週初にかけて底堅く推移していたものの、昨日は軟調な株式市場を眺めてリスク回避の売り戻しが優勢となった。
難しいのが豪ドルの方向性か。RBNZの金利発表直後はNZドルに追随するのだろうが、豪準備銀行(RBA)との先行き政策の差がもし意識されるようであれば、豪ドル/NZドルの動きが主となる可能性も高い。
【本日の重要指標】
※時刻表示は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○11:00 ☆ ニュージーランド準備銀行(RBNZ)、政策金利発表(予想:5.50%に引き上げ)
○12:00 ◎ オアRBNZ総裁、記者会見
○15:00 ◎ 4月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.7%/前年比8.2%)
○15:00 ◎ 4月英CPIコア指数(予想:前年比6.2%)
○15:00 ◇ 4月英小売物価指数(RPI、予想:前月比1.2%/前年比11.1%)
○17:00 ◎ 4月南アフリカCPI(予想:前月比0.5%/前年比7.0%)
○17:00 ◎ 5月独Ifo企業景況感指数(予想:93.0)
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○22:00 ◎ ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○25日01:10 ◎ ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○25日02:00 ◎ 米財務省、5年債入札
○25日02:45 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○25日03:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(5月2-3日分)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
23日05:21 イエレン米財務長官
「債務制限措置は6月1日にも期限切れとなる可能性」
「6月初めまでに資金が枯渇する可能性が非常に高い」
23日07:31 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁
「金利は現在より高くしなければならないかもしれない」
「積極的かつ素早い利上げは行わない可能性」
23日21:12
「緩やかなリセッション(景気後退)がインフレを抑制する可能性」
「経済に関するデータが、もう少し必要」
「もしインフレ率が高止まりした場合、追加利上げが必要となる」
23日09:03 バイデン米大統領
「債務不履行の選択肢はないという点で米下院議長と一致した」
「われわれは協議を継続する」
23日08:05 米共和党のマッカーシー下院議長
「合意に達しなかったが、協議は建設的だった」
23日23:30
「6月1日までにやり遂げることは依然として可能」
23日16:53 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「金融システムの不安定化よりも、金融政策と財政政策の対立を懸念している」
「ノンバンク金融機関(影の銀行)は、3月の銀行部門の混乱時に順調だったとしても市場のボラティリティーには脆弱」
23日17:14 国際通貨基金(IMF)
「英国はリセッションを回避できると予想、2023年はプラス成長を維持と予想」
「英国の2023年のGDPは0.4%まで低下すると予想」
「インフレ率がイングランド銀行(BOE)の目標の2%を下回るのは2025年半ばと予想」
23日18:22 ベイリー英中銀(BOE)総裁
「インフレ率が上昇基調を続けた場合、追加利上げが必要となる」
「インフレ率が低下すると予想している」
「食料価格の上昇を過小評価していた」
「非常に厳しい金利引き上げによるインフレ対処は、避けなければならない」
「利上げのピークに近づいている」
「金利を引き上げるという手段は慎重に使わなければならない」
23日18:35 ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト
「長期的インフレ予測は目標から離れていない」
24日01:13 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「ECBの金利は十分に制限的な水準に達する見通し」
「ECBは金利を必要な限り制限的な水準で維持する」
24日03:00 ナーゲル独連銀総裁
「インフレ抑制のため、ECBはあと数回利上げする必要」
「インフレが持続的に低下するまで、十分な期間にわたりピーク金利を維持する必要」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=高値圏で気迷い示唆の足型形成>
極小陰線引け。目先の支えとなる5日移動平均線を割り込む場面もあった。しかし下げ渋り138.91円まで約半年ぶりの高値を更新した。
ただ、足型は寄り引けの水準がほぼ重なる足型・十字線で、高値圏での気迷いを示唆。本日138.49円前後へ切り上がった5日線を割り込んで、相応の調整が進む場面も想定しておきたい。
レジスタンス1 139.25(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 138.59
サポート1 138.10(5/18-23上昇幅の半値押し)
サポート2 137.43(5/19安値)
<ユーロドル=雲付近の戻り重そう>
陰線引け。90日移動平均線1.0821ドル付近で動きが重かった。一目均衡表・雲の下限1.0796ドルを割り込み、19日安値1.0760ドルに並ぶ水準まで下値を探った。ここからは雲の下限前後で戻りが鈍く、さらに下値を試す動きとなるか。3月24日に下振れた際の安値1.0713ドルや同20日安値1.0631ドルなどが意識されそうだ。
レジスタンス1 1.0831(5/22高値)
前日終値 1.0770
サポート1 1.0713(3/24安値)
<ユーロ円=基準線前後の攻防>
陰線引け。一時150.06円と3日以来の150円回復となった。だが、頭打ちとなり149円付近へ反落している。ここ最近の下支えとなっていた一目均衡表・基準線148.87円前後の攻防となりそう。ある程度の底堅さを維持しても、19日安値148.72円ぐらいまでの下押しはありそうだ。
レジスタンス1 150.06(5/23高値)
前日終値 149.27
サポート1 148.72(5/19安値)
<豪ドル円=200日線越え水準に定着しきれず下押し>
陰線引け。91.90円台で低下中の200日移動平均線を下回って91円半ばへ下押した。相場の強弱を判断する際の分岐点200日線を上回る水準に定着しきれなかった。調整がどこまで進むか注視する展開となろう。上昇が見込まれる一目均衡表・転換線91.13円付近でサポートされるか注視したい。
レジスタンス1 92.01(5/23レンジ61.8%水準)
前日終値 91.60
サポート1 91.13(日足一目均衡表・転換線)
情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社
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