【本日の東京為替見通し】ドル円、昨年10月から今年1月の半値を巡る攻防か

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【前日の為替概況】ドル円、反発 FRB理事が利上げが適切な政策となる可能性に言及

24日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。終値は139.47円と前営業日NY終値(138.59円)と比べて88銭程度のドル高水準だった。ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事が「FRB6月に利上げをするか見送るかはデータ次第」「今後のデータは6月の利上げを裏付ける可能性」「7月利上げが適切な政策となる可能性は十分ある」などと述べると米長期金利の上昇とともに全般ドル買いが先行。米債務上限問題を巡る与野党協議が進展せず、米国株相場が軟調に推移するとリスク・オフのドル買いも入った。530分過ぎには一時139.48円と昨年1130日以来約半年ぶりの高値を更新した。

なお、米共和党交渉担当者の1人であるグレイブス下院議員はバイデン政権との債務上限問題を巡る交渉について「進展はない」などと発言。ダウ平均は一時300ドル超下げる場面があった。

もっとも、米債務上限問題を巡る交渉担当者の協議は現地時間正午(日本時間1時)に再開。米共和党のマッカーシー下院議長は会見で「債務協議で依然として大きな隔たりはあるが妥結は可能」「デフォルトにはならない」「事態は少しずつ好転している」などと述べ、楽観的な見方を示した。

ユーロドルは続落。終値は1.0750ドルと前営業日NY終値(1.0770ドル)と比べて0.0020ドル程度のユーロ安水準だった。米10年債利回りが3.66%台まで低下したことを受けてユーロ買い・ドル売りが先行。2130分前に一時1.0801ドルと日通し高値を付けた。

ただ、前日の高値1.0821ドルが目先レジスタンスとして働くと失速した。米国株相場の下落でリスク・オフのドル買いが入ったほか、FRB6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でも利上げを続ける可能性が意識されると米金利上昇とともにドル高が進んだ。5時前には1.0749ドル付近まで下押しした。

なお、FRBがこの日公表したFOMC議事要旨(523日分)では「銀行セクターでのストレスが経済に与える影響について高い不確実性がある中、インフレ抑制に向けた追加利上げの必要性を巡り当局者の見解が分かれた」ことが明らかになったものの、相場の反応は限られた。

ユーロ円は反発。終値は149.93円と前営業日NY終値(149.27円)と比べて66銭程度のユーロ高水準。欧州時間に一時148.84円と日通し安値を付けたものの、ドル円の上昇をきっかけに円売り・ユーロ買いが強まると149.94円と日通し高値を更新した。

 

【本日の東京為替見通し】ドル円、昨年10月から今年1月の半値を巡る攻防か

本日の東京為替市場でドル円はこのところの地合いの強さが継続しそう。ただし、昨年10月高値151.95円から今年1月安値127.23円まで下落した幅の半値戻し139.59円付近はテクニカル面で意識されると予想され、同水準を巡る攻防が注目される。

懸案の米債務上限問題については、バイデン大統領と共和党マッカーシー下院議長の双方ともにデフォルト(債務不履行)は回避されるとの見方を示し続けている。一方で交渉官レベルでは、与野党間の溝はまだ深いとの声も聞かれており、依然として予断は許されないようだ。イエレン米財務長官は昨日も、政府の資金繰りについて「6月上旬を越えられない」との見方を強調した。

なお朝方には、債務問題を懸念した格付け会社フィッチが米格付けを「レーティングウォッチネガティブ」に指定し、50銭ほど値を下げる場面があった。

ここにきて急速に強まっている米金利先高観は、本日もドルの下値を限定させるか。パウエル米FRB議長が6月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ休止に傾く発言をしているにもかかわらず、昨日はウォラーFRB理事が次回も追加利上げとなる経済データが出る可能性を示唆した。

CMEのフェドウォッチ(FedWatch)による6140.25ポイント利上げ確率は一時20%を割り込んでいたところから33%前後まで上昇してきた。また、7FOMCについては今月初めに利下げを見込んでいたところから、据え置き4割/利上げが6割の織り込み度合いとなっている。日銀の超金融緩和の継続は既定路線となっていることから、日米金利差拡大を背景としたドル買いは続きそうだ。

その他、昨日大きく値を下げたNZドルの動向も注視したい。ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は24日、予想通りに0.25ポイント利上げを決定したものの、政策金利がピークに達したことを示唆。オアRBNZ総裁は本日早朝にも「経済成長もインフレも予想より弱い」と述べており、金利先安観は強まったままだ。

 

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)

○未定 ◇ 5月月例経済報告

 

<海外>

○未定 ◎ 韓国中銀、政策金利発表(予想:3.50%で据え置き)

09:0013月期シンガポール国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比年率▲0.6%)

15:0013月期独GDP改定値(季節調整済、予想:前期比横ばい/前年同期比▲0.1%)

15:0013月期独GDP改定値(季節調整前、予想:前年同期比0.2%)

15:006月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲24.0

15:455月仏企業景況感指数(予想:101

18:00 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演

18:304月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.5%/前年比9.5%)

19:30 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演

20:00 ◎ トルコ中銀、政策金利発表(予想:8.50%で据え置き)

20:15 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演

21:004月メキシコ貿易収支(予想:12.00億ドルの赤字)

21:3013月期米GDP改定値(予想:前期比年率1.1%)

◎ 個人消費(改定値、予想:前期比3.7%)

◎ コアPCE(改定値、予想:前期比4.9%)

21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:24.5万件/180.0万人)

23:004月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比1.0%/前年比▲20.1%)

○未定 ☆ 南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表(予想:8.25%に引き上げ)

22:30 ◎ センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演

22:50 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演

23:30 ◎ コリンズ米ボストン連銀総裁、討議に参加

2600:45 ◎ デコス・スペイン中銀総裁、講演

2601:30 ◎ ハスケル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演

2602:00 ◎ 米財務省、7年債入札

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

 

【前日までの要人発言】

2411:05 ニュージーランド準備銀行(RBNZ)声明

「インフレ率を目標範囲に確実に戻すために金利は当面制限的な水準にとどまる必要がある」

「インフレ期待の指標とともに、インフレはピークから低下し続けると予想」

「金利を5.25%に据え置くか、5.50%に引き上げるかについて議論した」

52の票決によって利上げを決定」

「金利を当面は抑制的な水準に維持する必要があるとのコンセンサスに達した」

 

2412:15 オアRBNZ総裁

「委員会が政策決定について採決を行ったのは今日が初めて」

「最新のデータは満足のいくものだった」

「しばらくは制限的な金融政策を維持すると予想」

「据え置きか利上げかは難しい決定だった」

 

2417:57 ゲオルギエバ国際通貨基金(IMF)専務理事

「ドルの準備通貨における急速な変化は予想しない」

 

2422:21 ベイリー英中銀(BOE)総裁

「政府は今年インフレ目標を達成できると見通し」

「インフレ目標達成という我々のコミットメントは絶対」

「我々は食料とコアインフレに焦点を当てる必要」

「食料インフレの低下には予想より時間がかかっている」

「エネルギー価格が食料インフレに寄与」

「インフレ期待は低下している」

「労働市場は逼迫」

 

2422:48 米共和党交渉担当者の1人であるグレイブス下院議員

「(バイデン政権との債務上限問題を巡る)交渉は進展なし」

 

2423:18 イエレン米財務長官

「早ければ61日にも財務省の資金が枯渇する可能性が高い」

6月初めまでに資金が枯渇する可能性が非常に高い」

「より正確な時期に関する最新情報を近く議会に説明する」

 

2500:51 米共和党のマッカーシー下院議長

「多くの点で依然として大きな隔たりがある」

「増税はしないことをバイデン大統領に話した」

「債務交渉での合意を求める」

「デフォルト対応は策定しない」

「我々は今日、進展させることができる」

「我々は多くの譲歩を提示してきた」

「債務協議で依然として大きな隔たりはあるが妥結は可能」

「我々は諦めない。デフォルトにはならない」

 

2501:14 ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事

「今後のデータは6月の利上げを裏付ける可能性がある」

6月か7月の利上げを支持する可能性」

「コアインフレの進展の欠如を懸念」

「インフレが明らかに抑制されるまで利上げ停止しない」

FRB6月に利上げをするか見送るかはデータ次第」

「雇用市場は非常に逼迫しており、インフレ率は高い」

 

2503:05 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(523日分)

「追加利上げ支持に関して当局者の意見は分かれた」

「数人の当局者は経済が現在の見通しに沿って進展すれば、今回の会合後に政策をさらに固める必要はないかもしれないと指摘」

「一部の当局者は追加の政策強化が正当化されると指摘」

「当局者らはインフレ率が依然として容認できないほど高いことに同意」

「スタッフは今年末近くに緩やかな景気後退に陥る可能性があると予想」

「複数の当局者は債務上限危機への対応準備について議論」

「当局者は5月会合での追加利上げに不確実性を認識」

「当局者は時宜にかなった債務上限引き上げが不可欠と判断」

 

2503:52 米ホワイトハウス報道官

「米債務上限を巡る交渉は依然として建設的」

「デフォルトを阻止することは譲歩ではない」

※時間は日本時間

 

〔日足一目均衡表分析〕

ドル円=調整あっても5日線近辺で下げ渋りそう

下影陽線引け。23日に気迷いを示唆する足型・十字線を形成した後、昨日は高値圏で調整のじり安が138.23円まで小幅に先行した。

138円台で上昇中の5日移動平均線をいったん下回ったものの下げ渋り、一時139.48円と昨年1130日以来、約半年ぶりの高値を更新。昨年10月から今年1月までの下落に対する半値戻し139.59円付近で戻りが鈍る可能性はあるが、再び調整を挟んでも、本日138.80円付近へ切り上がる5日線近辺では底堅さを示すとみる。

レジスタンス2      140.31(ピボット・レジスタンス2

レジスタンス1      139.89(2022/11/30高値)

前日終値                        139.47

サポート1                       138.78(5日移動平均線

 

<ユーロドル=雲の下限前後の重さ継続

上影小陰線引け。一目均衡表・雲の下限1.0796ドルを一時上回るも戻りが鈍く、1.0740ドル台まで下値を探った。雲の下限付近が引き続き重そうであるほか、1.0778ドル前後へ低下してきた5日移動平均線近辺での動きも重くなりそう。324日安値1.0713ドルや同20日安値1.0631ドルなどを意識した重い推移が継続しそうだ。

レジスタンス1      1.0801(5/24高値

前日終値                        1.0750

サポート1                       1.0713(3/24安値)

 

ポンド円5日線の上昇ともなう底堅さ維持へ

下影陽線引け。23日につけた172.63円を上値とした年初来高値圏のレンジでやや伸び悩み気味となっている。昨日は一時171.23円まで下振れるなど、やや不安定な動きになる場面もあった。しかし172円台で上昇中の5日移動平均線を下回った同水準から戻し、底堅さを維持。目先のすう勢を示す5日線(本日172.14前後)の上昇を伴う上向きの流れはまだ続きそうだ。

レジスタンス1      173.09(ピボット・レジスタンス1

前日終値                        172.45

サポート1                       171.71(5/25オセアニアタイム安値

 

NZドル円大幅安の反動戻りあるか

下影大陰線引け。一目均衡表・転換線を下抜け、84.97円前後に位置していた21日移動平均線も一時割り込む大幅安となった。大きく下落した反動の戻りがいったん入る可能性もある。85.14円前後へ切り上がった21日線を下回る水準では底堅さを示しそうであり、85.61円へ上昇した転換線の動きも戻す可能性の示唆といえる。

レジスタンス1      86.005/23-24下落幅の半値戻し

前日終値                        85.20

サポート1                       84.70(5/24安値

chart 1

chart 2
  情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社

 

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