
【前日の為替概況】ドル円140.73円まで上昇、FRB金融引き締め長期化観測
26日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3日続伸。終値は140.60円と前営業日NY終値(140.06円)と比べて54銭程度のドル高水準だった。4月米個人消費支出(PCE)やPCEデフレーター、4月米耐久財受注額、5月米消費者態度指数(ミシガン大調べ)確報値など、この日発表の米経済指標が軒並み予想より強い内容だったことが分かると、米金融引き締め長期化観測が高まり円売り・ドル買いが先行した。米国株相場や日経平均先物の上昇を背景にリスク・オンの円売りも出て、3時前に一時140.73円と昨年11月23日以来約半年ぶりの高値を付けた。
なお、米債務上限を巡る協議が進展しているとの期待からダウ平均は一時400ドル近く上昇した。また、ナイト・セッションの日経平均先物は大証終値比600円高の3万1560円まで買われる場面があった。
ユーロドルは小幅ながら4日続落。終値は1.0723ドルと前営業日NY終値(1.0725ドル)と比べて0.0002ドル程度のユーロ安水準だった。4月米PCE物価指数が予想を上回ったことで、米連邦準備理事会(FRB)の追加利上げ観測が高まるとユーロ売り・ドル買いが先行。米10年債利回りが3.8566%前後と3月10日以来の高水準を記録したことも相場の重しとなり、一時1.0702ドルと3月20日以来の安値を更新した。
ただ、売り一巡後はじりじりと下値を切り上げた。米債券市場がメモリアルデーの前営業日で短縮取引となる中、米10年債利回りが低下に転じたことが買い戻しを誘った。
ユーロ円は3日続伸。終値は150.76円と前営業日NY終値(150.20円)と比べて56銭程度のユーロ高水準。欧米株価や日経平均先物の上昇を背景に、投資家のリスク志向が改善すると円売り・ユーロ買いが優勢になった。3時前に一時150.93円と2日以来の高値を更新した。
ユーロ円以外のクロス円も堅調だった。ドル円の上昇につれた買いが入ったほか、株高に伴うリスク・オンの円売りが出た。ポンド円は一時173.74円と2016年2月以来7年3カ月ぶりの高値を更新したほか、豪ドル円は91.72円、NZドル円は85.21円、カナダドル円は103.34円、スイスフラン円は155.46円、南アフリカランド円は7.18円まで値を上げた。
【本日の東京為替見通し】ドル円、6月FOMCでの利上げ観測や債務上限暫定合意で続伸か
本日の東京外国為替市場のドル円は、6月米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の追加利上げ確率の上昇や米国債務上限引き上げの暫定合意報道などから底堅い展開が予想される。
米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している4月のPCEデフレーターが前年同月比+4.4%と発表され、3月の同比+4.2%から上昇したことで、6月13-14日のFOMCで0.25%利上げされる確率が高まっており、ドル買い要因となっている。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、6月FOMCでの0.25%の利上げ確率が64%程度へ上昇、7月と9月は据え置き、11月には0.25%の利下げ確率が高まり、12月は5.00-25%で据え置かれる確率が高まっている。
イエレン米財務長官は、米国がデフォルト(債務不履行)に陥る「Xデイ」を6月1日から5日まで先延ばしした。そして、27日にバイデン米大統領と共和党のマッカーシー下院議長が、債務上限の引き上げで暫定合意に達し、31日に米議会で採決される予定、と報じられている。今後は、大幅な歳出削減を求めてきた下院の共和党保守強硬派が、すんなり賛成するのか否かを見極めることになる。
米財務省の現金残高は、24日時点で495億ドルまで減少していたが、連邦政府債務の支払い義務を履行する上での必要最低限の現金残高300億ドルは、6月5日まで到達しないのかもしれない。仮にデフォルトが生じる場合は、米財務省短期証券(Tビル)の償還が出来ない場合であり、償還は6月1日に1170億ドル、6日に1230億ドル、8日が1080億ドル、13日が1230億ドル、15日が2460億ドルとなっている。また、15日には450億ドルの長期国債の償還と20億ドルの利払い、そして大口の法人税収が予定されている。
ドル円は8年サイクルで高値反転を繰り返しているが、現状は、2015年6月5日の高値125.86円から8年目となるため、高値反転の可能性には警戒しておきたい。そして、現状のドル高・円安局面では、昨年のような「悪い円安」という懸念は聞かれないものの、本邦通貨当局による現状の円安に対する見解には要注目となる。
昨年、本邦通貨当局は、ドル売り・円買い介入の目的をボラティリティー抑制と表明し、米国財務省もボラティリティー抑制のための円買い介入を容認していた。
本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入は、ボリンジャー・バンドの「+2σ」付近までのボラティリティーが上昇した局面で行われていることが確認できている。すなわち、2022年9月22日のドル売り・円買い介入は、「+2σ」の146.12円に接近した局面、10月21日には、「+2σ」の150.39円を上抜けた局面で断行された。
ドル円は、先週末のニューヨーク市場で、140.73円と昨年11月23日以来の高値に到達していたが、「+2σ」は140.79円だった。
【本日の重要指標】
※時刻表示は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○24:00 ◎ デコス・スペイン中銀総裁、講演
○韓国(釈迦誕生日の振替休日)、スイス、ノルウェー(聖霊降臨祭翌日の月曜日)、英国(スプリング・バンク・ホリデー)、米国(メモリアルデー)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
26日07:30 米共和党のマッカーシー下院議長
「債務上限を巡る協議は合意に至っていない」
「交渉担当者が作業を継続する」
26日23:36
「昨夜の協議では進展があったようだ」
26日09:39 鈴木財務相
「(為替相場)市場でファンダメンタルズに基づき決まる」
「(円安推移の為替)今後とも市場動向しっかりみていく」
26日16:43 ハント英財務相
「英政府は、インフレ低下に向け中銀の金利決定を支持する必要」
「インフレ率押し下げとリセッション(景気後退)リスクとの間にトレードオフはない」
「持続可能な成長への唯一の道は、インフレ率を下げること」
26日16:57 ブイチッチ・クロアチア中銀総裁
「コアと食料インフレには、まだ伸び余地がある」
「貸し出しに関しては、もう少しデータが必要」
26日17:18 レーンECB専務理事兼主任エコノミスト
「インフレ率は、いずれ目標付近に低下する見込み」
「今年の経済成長は抑制される見通し」
「食料インフレは、年後半に反落する見通し」
「賃金インフレは、まだ上方リスクが残されている」
「エネルギー価格の伸び率鈍化がコアインフレを抑えると予想するものの、時期は不明」
「インフレの転換点を期待しているが、まだ到達していない」
26日20:46 アディエモ米財務次官
「債務上限協議は進展している」
「今朝の協議でも進展があった」
27日00:13 メスター米クリーブランド連銀総裁
「PCEデータはインフレ率が依然として高すぎることを裏付け」
「インフレの進展は遅い。懸念している」
27日02:23 国際通貨基金(IMF)
「IMFは米国のインフレ率が2024年を通してFRBの目標2%を上回ると予想」
「IMFは2024年末までFF金利が5.25-5.5%になると見込む」
「米国は公的債務削減に向けてさらなる努力が必要」
27日02:55 米共和党交渉担当者の1人であるグレイブス下院議員
「協議に進展はあったが、まだ大きな課題が残っている」
27日 05:26イエレン米財務長官
「債務上限措置は6月5日までに尽きると推定」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=5/26安値を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。3手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は、26日安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 142.25(2022/11/21高値)
レジスタンス1 141.61(2022/11/23高値)
前日終値 140.60
サポート1 139.50(5/26安値)
サポート2 138.52(日足一目均衡表・転換線)
<ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
小陰線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。4手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.0788(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0723
サポート1 1.0631(3/20安値)
<ポンド円=上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。3手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は、上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 174.70(ピポット・レジスタンス2)
前日終値 173.57
サポート1 171.93(日足一目均衡表・転換線)
<NZドル円=上昇中の転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。しかし、孕み線で反発したものの転換線を下回って引けているため反落の可能性が示唆されている。
本日は、上昇中の転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 85.88(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 85.07
サポート1 84.44(日足一目均衡表・基準線)
情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社
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