【本日の東京為替見通し】リスクセンチメントの強弱を見定め、クロス円にも注目

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【前日の為替概況】ドル円、続伸 オプション絡みの買いが支え

7日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。終値は140.13円と前営業日NY終値(139.63円)と比べて50銭程度のドル高水準だった。NY勢参入直後は全般ドル売りが優勢となり、前日の安値139.10円を下抜けて一時139.03円まで値を下げた。ただ、139.00円に観測されているオプション絡みの買いが入ると持ち直した。カナダドル円中心にクロス円が上昇した影響も受けて、前日の高値139.99円や節目の140.00円を上抜けた。米長期金利の上昇に伴う円売り・ドル買いも出て、5時過ぎに一時140.25円まで上値を伸ばした。なお、米10年債利回りは3.79%台まで大幅に上昇した。前日の豪準備銀行(RBA)に続き、カナダ銀行(BOC)のサプライズ利上げを受けて、米金融引き締めの長期化観測が高まった。市場では「利上げサイクルがまだ終わっていないことを思い起こさせるものだった」との声が聞かれた。

カナダドルは堅調だった。対米ドルでは一時1.3322カナダドル、対円では104.88円まで値を上げた。BOCはこの日、政策金利を現行の4.50%から4.75%に引き上げることを決めたと発表。市場では金利据え置きを予想する向きが多かっただけに、カナダドル買いで反応した。

なお、声明では今後の政策運営について「コアインフレの動向と物価見通しを引き続き評価する」との見解を示したほか、「超過需要やインフレ期待、賃金の伸び、企業の価格戦略が物価目標の達成に整合的かどうかをとりわけ慎重に見極める」と指摘した。

ユーロドルは小反発。終値は1.0699ドルと前営業日NY終値(1.0693ドル)と比べて0.0006ドル程度のユーロ高水準だった。WTI原油先物価格の上昇を背景に対資源国通貨中心にドル安が進むと、ユーロに対してもドル売りが先行。23時過ぎに一時1.0740ドルと日通し高値を更新した。

ただ、買い一巡後は徐々に上値が重くなった。米長期金利の大幅上昇をきっかけにドル買いが優勢となり、一時1.0691ドル付近まで下押しした。ユーロ円は3営業日ぶりに反発。終値は149.92円と前営業日NY終値(149.32円)と比べて60銭程度のユーロ高水準。ドル円の持ち直しやカナダドル円の上昇につれた円売り・ユーロ買いが優勢となり、5時前に一時150.02円と本日高値を更新した。

 

【本日の東京為替見通し】リスクセンチメントの強弱を見定め、クロス円にも注目

本日の東京為替市場でドル円は、昨日同様に日本株を中心としたリスクセンチメントを注視し、時間外の米債利回りの動向も気にしながらの取引か。昨日大きく値を上げたカナダドル円や、ニューヨーク午後には伸び悩んだ豪ドル円、軟調なままだったトルコリラ円の値動きも目を向けておく必要があるだろう。

ナイトセッションの日経平均先物は昨日、32000円台まで買い戻される場面もあったが、引けにかけては31800円台で伸び悩んだ。急ピッチで値を上げてきたこともあり、さすがに利益確定売りも出やすくなっているようだ。しかしながら下値を拾いたい向きはまだ多そうであり、例え続落したとしても、リスク回避の動きというよりも、これまでのリスク志向の調整と受けとめたほうがよいか。もちろん「山高ければ谷深し」という相場格言は念頭に置いておきたい。米金利に関しては、昨日のカナダ中銀(BOC)によるサプライズ利上げを受けたカナダ金利の上昇に連れた面はある。米10年債利回りは0.13ポイント以上も上げ幅を拡大してNY市場を終えたことを考えると、アジア時間ではその反動もあり得るか。なおCMEのフェドウォッチは、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で据え置き織り込み度が昨日の80%近くから、66%程度まで縮小。その分、0.25%利上げ織り込み度が拡大した。

昨日のカナダドル円はBOC利上げ後に103円後半から104円後半まで急騰し、その後の押しも限定的だ。植田日銀総裁が超金融緩和の継続を表明しており、再び加日の金利差拡大が意識されそう。昨年11月後半以来の105円台にしっかり乗せるようだと、同月1121日高値104.82円が意識されるだろう。

豪ドル円は小幅続伸で終えたものの、93円半ばでは頭を抑えられた。リスクに敏感な通貨なだけに、米ハイテク株の軟調さを嫌気した面もありそうだ。昨年11月末の高値93.85円を目指すことができるかがポイントだろう。リラ円については止まったところが一先ずの下値めどという状況。トルコ金融当局はドル売りリラ買い介入を停止しているとの見方から、対ドルを中心としたリラの軟調さは暫く続きそうだ。

なお本日は850分に、4月国際収支・速報が発表予定。貿易収支の予想は2879億円の赤字と前回から赤字幅は縮小見込み。ただ、昨日は5月上中旬分貿易統計・速報が発表されており、14089億円の赤字だったことから、本日の指標はあまり重要視されないか。ほか、ゴトー日(510日)の東京仲値の振り幅にも注意しておきたい。

 

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)

08:5013月期実質国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.5%/前期比年率1.9%)

08:504月国際収支速報

◇ 経常収支(予想:季節調整前16638億円の黒字/季節調整済13844億円の黒字)

◎ 貿易収支(予想:2879億円の赤字)

14:005月景気ウオッチャー調査(予想:現状判断指数55.0/先行き判断指数56.1

 

<海外>

10:304月豪貿易収支(予想:140.00億豪ドルの黒字)

13:30 ☆ インド中銀、金融政策決定会合(予想:6.50%で据え置き)

18:0013月期ユーロ圏GDP確定値(予想:前期比横ばい/前年比1.2%)

18:0013月期南アフリカ経常収支(予想:1725億ランドの赤字)

21:005月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前年比5.90%)

21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.5万件/180.0万人)

23:004月米卸売売上高(予想:前月比0.4%)

○ポーランド(聖体祭)、ブラジル(キリスト聖体祭)、休場

〇米英首脳会談(ホワイトハウス)

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

 

【前日までの要人発言】

7日08:27 ロウ豪準備銀行(RBA)総裁

「追加の金融引き締めが必要となる可能性」

「最近のデータはインフレ見通しの上振れリスクを示唆」

「対インフレでの勝利宣言は時期尚早」

「もしインフレが高止まりすれば、私たちは多くの痛みを感じることになる」

「ここ数カ月で変わったのはリスクに対する評価」

「より良い時代と実質賃金の上昇に戻る道はあり、 絶望的な状態に陥ってはならない」

 

7日15:11 シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事

「基調的なインフレは依然として高い」

「あとどのくらい利上げが必要かはデータが決める」

 

7日18:08 クノット・オランダ中銀総裁

「さらなる利上げが必要だろう」

「インフレはしばらくの間、かなり高い水準を維持する可能性」

 

7日21:10 イエレン米財務長官

「労働市場に緩和の兆しが見られる」

「強い労働市場を維持しながらインフレを抑える道筋が見える」

「今後2年間、インフレ率低下のための経済的進歩を見続けるだろう」

 

8日00:03 シムシェキ・トルコ財務相

「政策をすぐに修正する近道はない」

「チームを強化し、信頼できるプログラムを設計することが当面の課題」

 

7日23:00 カナダ銀行(BOC、カナダ中央銀行)声明

「世界的にインフレはエネルギー価格の下落を受けて低下しているものの、基調的なインフレは依然として高止まりしている」

「金利上昇で世界中の経済成長が鈍化する中、主要中銀は物価の安定を回復するために金利をさらに引き上げる必要がある可能性」

「米国では個人消費は依然として驚くほど回復力があり、労働市場は依然逼迫しているが、経済は減速している」

「欧州では経済成長が実質的に失速しているが、コアインフレの上昇圧力は続いている」

「理事会は金融政策が需要と供給のバランスを取り戻し、インフレを持続的に2%の目標に戻すには十分に制限的ではないとの見解を反映し、政策金利の引き上げを決定した」

「量的引き締めは、金融政策の制限的なスタンスを補完し、バランスシートを正常化している」

「理事会は引き続きコアインフレの動向とCPIインフレの見通しを評価」

「特に需要の推移、インフレ期待、賃金上昇率、および企業の価格設定行動がインフレ目標の達成と一致しているかどうかを評価」

「中銀は国民の物価安定を回復するという決意を貫く」

「労働市場は依然として逼迫している」

「全体として、経済における超過需要は予想よりも続いている」

「幅広い商品やサービスの価格が予想を上回り、4月のCPIインフレ率は4.4%上昇し、10カ月ぶりの上昇となった」

「エネルギーコストは低下したにもかかわらず、商品価格のインフレは上昇した」

「旺盛な需要と労働市場の逼迫を反映して、サービス価格のインフレは依然として高水準にある」

「エネルギー価格の下落が波及し、昨年の大幅な価格上昇が年間データから外れるため、夏にはCPIインフレ率が3%程度に低下すると引き続き予想」

「しかし、コアインフレ率の3カ月指標が数カ月間3.5-4%の範囲で推移しており、超過需要が続いていることから、CPIインフレ率が目標の2%を大きく上回って固定化する可能性があるとの懸念が高まっている」

※時間は日本時間

 

〔日足一目均衡表分析〕

ドル円=転換線付近で底堅さ保つ

下影陽線引け。一目均衡表・転換線139.69円を下抜け、139円割れを試すように下値を探る展開が先行した。しかし安値を139.03円にとどめ大台割れを回避。140円を回復して引ける反発となった。

転換線は週をまたぎ現水準から139.45円へ低下する見込み。同線の下押し予想が示唆するような不安定に振れる推移となった。しかし底堅さ維持が寄与し、転換線は来週13日にも反転切り上がりとなる公算。上下に多少振れつつも相場が底堅さを保つ兆しの1つと考えていいだろう。

レジスタンス2      140.93(5/30高値=年初来高値)

レジスタンス1      140.45(6/5高値

前日終値                        140.13

サポート1                       139.506/7レンジ38.2%水準

 

<ユーロドル=日柄・水準的に近づく抵抗克服できるか注視

小陽線引け。一目均衡表・転換線1.0707ドルを挟んだ上下が続いた。来週13日以降1.0720ドル台へ切り上がる同線の推移に沿うように戻すことができるか見定める局面が継続中だ。低下中の21日移動平均線は現状から予想する巡航速度なら、転換線が1.7023ドルでいったんピークアウトする公算の14日には1.0740ドル付近へ低下することが想定できる。日柄・水準的にその辺りで戻りが抑えられやすいとみるが、そのポイントを克服できるか注視することになる。

レジスタンス1      1.076721日移動平均線

前日終値                        1.0699

サポート1                       1.0635(5/31安値)

 

ポンド円転換線付近で底堅い、高値更新試す展開へ

下影陽線引け。173円台で上昇中の一目均衡表・転換線付近で底堅い推移を継続している。一時172.67円へ下振れつつも174円台を回復。同大台を維持してNYを引けている。転換線は本日173.61円へ切り上がった。下支えとなるテクニカル指標の上昇を支援に高値更新を試す展開が続くか。

レジスタンス1      175.02(2016/2/1高値)

前日終値                        174.29

サポート1                       173.61(日足一目均衡表・転換線

 

<NZドル円さえない推移だが下げ渋りの兆候も

小陰線引け。低下傾向の一目均衡表・転換線84.50円付近でさえない推移が続いている。同線の動きが示唆するように、83.70円台に位置する90日移動平均線や一目・雲の上限83.49円をめどに下値を探るリスクが警戒される。ただ、上昇する雲の上限が支えとなるほか、84.31円での底打ちが予想される転換線の動きは下げ渋りの示唆と受け止めることができる

レジスタンス1      85.106/6高値

前日終値                        84.58

サポート1                       84.12(ピボット・サポート2

chart 1

chart 2
  情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社

 

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