【前日の為替概況】ドル円、米10年債利回り4.26%台で147.80円まで上昇
5日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3日続伸。終値は147.72円と前営業日NY終値(146.47円)と比べて1円25銭程度のドル高水準だった。ウォーラー米連邦準備理事会(FRB)理事が「FRBが再び利上げするかどうかはデータが左右する」「データは差し迫って何かをする必要があることを示していない」と発言すると147.09円付近まで売られる場面もあったが、下押しは限定的だった。
米10年債利回りが4.2697%前後まで上昇すると全般ドル買いが活発化し、3時前には一時147.80円と昨年11月4日以来約10カ月ぶりの高値を更新した。メスター米クリーブランド連銀総裁が「政策金利をやや引き上げる必要があるかもしれない」などと述べたことも相場の支援材料。
ユーロドルは反落。終値は1.0722ドルと前営業日NY終値(1.0796ドル)と比べて0.0074ドル程度のユーロ安水準だった。欧州時間発表の8月ユーロ圏サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値が予想を下回ったことを受けてユーロ売りが先行。米金利上昇に伴うドル買いが優勢になると、24時過ぎに一時1.0707ドルと6月8日以来約3カ月ぶりの安値を更新した。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時104.91と3月15日以来の高値を付けた。
ユーロ円は小幅ながら続伸。終値は158.40円と前営業日NY終値(158.13円)と比べて27銭程度のユーロ高水準。ユーロドルの下落につれた売りが出た半面、ドル円の上昇につれた買いが入り、2時30分過ぎに一時158.50円と日通し高値を更新した。
カナダドル円は堅調。「サウジアラビアは原油価格の下支えに向けて現在行っている日量100万バレルの自主減産を年末まで延長する」との報道が伝わるとWTI原油先物価格が急伸。産油国通貨されるカナダドルに買いが入った。1時30分前に一時108.55円と7月6日以来約2カ月ぶりの高値を更新した。
【本日の東京為替見通し】ドル円は堅調推移が予想されるものの、円買い介入の可能性に要警戒
本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りや原油価格の上昇を背景に続伸が予想されるものの、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性に警戒する展開が予想される。
昨年の本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入は、輸入インフレという「悪い円安」論が横行する中、「ボラティリティーを抑制する」という大義名分の下で断行された。
現状は、「悪い円安」論が後退して「良い円安」論が台頭しているものの、ボラティリティーは上昇しており、円買い介入の可能性は高まりつつある。
ドル円は、昨年9月22日の本邦通貨当局による第1弾ドル売り・円買い介入が実施された145円台を上回り、10月24日の第3弾円買い介入が実施された147円台まで上昇している。しかし、これまでのところは、本邦通貨当局は口先介入に留まっているため、円買い介入の実施水準は、昨年10月21日に第2弾の円買い介入が実施された151円台まで引き上げられている可能性が指摘されている。
本邦通貨当局による円安への対応は、これまで「望ましくない、注視する」という弱い口先介入に留まっており、「憂慮している、適切、断固たる措置をとる」といった介入の可能性を警告する段階ではないことも、円買い介入への警戒感を後退させている。
鈴木財務相は、9月1日の閣議後の記者会見で、円安が進んでいる為替相場について「市場で決定されるものだが急激な変動は望ましくない。今後も動きを注視したい」と述べ、これまで通りの円安牽制発言に留まった。
昨年9月22日の第1弾ドル売り・円買い介入の時は、「(行き過ぎた円安に対しては)断固たる措置をとる」と警告していた。
昨年9月は、新型コロナの感染防止を目的にした水際対策により、円安メリットが享受される訪日外国人客によるインバウンド消費が封印されていた。そして、輸入インフレによる「悪い円安」論が流布しており、日経平均株価も2万円台後半で低迷していた。
現在は、水際対策の撤廃によってインバウンド消費が復活しており、日経平均株価も3万3000円台で推移しており、「悪い円安」論は聞かれず、「良い円安」論が台頭しつつある。
【本日の重要指標】
※時刻表示は日本時間
<国内>
○10:30 ◎ 高田創日銀審議委員、あいさつ
<海外>
○10:30 ☆ 4-6月期豪国内総生産(GDP、予想:前期比0.3%/前年比1.8%)
○15:00 ◎ 7月独製造業新規受注(予想:前月比▲4.0%/前年同月比▲4.5%)
○17:30 ◎ 8月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:50.5)
○18:00 ◎ 7月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比▲0.1%/前年比▲1.2%)
○19:00 ◇ 7-9月期南アフリカ経済研究所(BER)企業信頼感指数(予想:30)
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○未定 ◎ ポーランド中銀、政策金利発表(予想:6.50%に引き下げ)
○21:30 ◇ 7月カナダ貿易収支(予想:36.5億カナダドルの赤字)
○21:30 ◇ 4-6月期カナダ労働生産性指数(予想:前期比▲0.5%)
○21:30 ◎ 7月米貿易収支(予想:680億ドルの赤字)
○21:30 ◎ コリンズ米ボストン連銀総裁、講演
○22:15 ◎ ベイリー英中銀(BOE)総裁、議会証言
○22:45 ◎ 8月米サービス部門PMI改定値(予想:51.0)
○22:45 ◎ 8月米総合PMI改定値(予想:50.4)
○23:00 ☆ カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:5.00%で据え置き)
○23:00 ☆ 8月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:52.5)
○7日03:00 ◎ 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
○7日04:00 ◎ ローガン米ダラス連銀総裁、講演
○日・ASEAN首脳会議(ジャカルタ)
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
5日13:34 豪準備銀行(RBA)声明
「インフレが妥当な期間内で確実に目標に戻るようにするためには、金融政策の幾分かの引き締めが必要になるかもしれない」
「それ(追加引き締め)は引き続き経済データとリスクがどのように進展するかによって決まる」
「インフレ率を目標に戻すという断固とした決意に変わりはなく、そのために必要なことを行っていく」
「今回の決定は、これまでの利上げの影響と経済見通しを評価するための時間をさらに確保するため」
「予測の中央値ではCPIは引き続き低下し、2025年後半には2-3%の目標範囲内に戻ると予想」
「豪経済はトレンドを下回る成長期にあり、これはしばらく続くと予想」
「これまでのところ中期的なインフレ予想はインフレ目標と一致しており、この状況を維持することが重要」
「失業率は現在の3.5%から来年後半にかけて徐々に4.5%程度まで上昇すると予想」
「中国経済の見通しにおいて不確実性が増加しており、不動産市場のストレスが続いている」
5日21:51 ウォーラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「FRBの利上げ終了というにはもっとデータが必要」
「先週のデータは、雇用市場が軟化し始めていることを明らかに示した」
「失業率は1年前とほぼ同じなので、それほど大きな変化はない」
「景気後退はどこからともなく突然起こるショックによって引き起こされることがよくあるが、これまでのデータはかなり良好」
「やり遂げたと言うことに細心の注意を払いたい」
「多すぎることと少なすぎることのリスクはバランスが取れていると思う」
「もう一回利上げをしても経済が不況に陥るとは思わない」
「FRBが再び利上げするかどうかはデータが左右する」
5日23:36 メスター米クリーブランド連銀総裁
「労働市場はこれまでよりもバランスが取れてきているようだ」
「政策金利をやや引き上げる必要があるかもしれない」
「9月の次回の決定までにはまだ多くのデータと情報が得られるだろう」
6日02:12 ナーゲル独連銀総裁
「インフレ目標にはまだ達していない」
「ECBはデータに依存した金融政策アプローチをとっている」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。3手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 149.71(2022/10/24高値)
レジスタンス1 148.40(2022/11/4高値)
前日終値 147.72
サポート1 146.13(日足一目均衡表・転換線)
サポート2 144.66(日足一目均衡表・基準線)
<ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。抱き線で反落して転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.0826(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0722
サポート1 1.0667(6/6安値)
<ポンド円=転換線を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。2手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 186.77(8/22高値)
前日終値 185.62
サポート1 184.71(日足一目均衡表・転換線)
<NZドル円=9/5安値を支持に押し目買いスタンス>
陰線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の中で引けているものの、売りシグナルが優勢な展開となっている。しかし、孕み線で反落したものの転換線を上回って引けており反発の可能性が示唆されている。
本日は、転換線86.84円を念頭に置き、5日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 87.46(8/3高値)
前日終値 86.91
サポート1 86.30(9/5安値)
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