【本日の東京為替見通し】ドル円、堅調推移 ただし円買い介入の可能性には引き続き要警戒か

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【前日の為替概況】ドル円 148.42円まで強含み、日米金融政策の方向性の違いが背景

22日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。終値は148.37円と前営業日NY終値(147.59円)と比べて78銭程度のドル高水準だった。日銀が今日まで開いた金融政策決定会合で、現行の大規模な金融緩和策の維持を決めたほか、植田和男日銀総裁が会見で金融緩和を継続していく考えを示すと全般円売りが進んだ。日本時間夕刻に一時148.42円と日通し高値を更新した。

ただ、前日に付けた年初来高値148.46円がレジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。米長期金利の指標である米10年債利回りが4.42%台まで低下したことも相場の重しとなり、一時147.96円付近まで下押しした。

もっとも、下値は限定的だった。日米金融政策の方向性の違いから押し目買いなどが入ると、530分前には148.41円付近まで強含んだ。

ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事が「インフレ率が依然として高水準にあるため、さらなる利上げ(raise rates further)は適切となる可能性が高い」と述べ、「利上げ」を複数形で表現。「複数回の追加利上げが望ましい」との見方を示したこともドルを下支えした。

ユーロドルは小幅に下落。終値は1.0653ドルと前営業日NY終値(1.0661ドル)と比べて0.0008ドル程度のユーロ安水準だった。欧州市場では一時1.0615ドルと317日以来約半年ぶりの安値を更新したものの、同日の安値1.0608ドルがサポートとして働くと買い戻しが優勢に。米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りが入ると、2330分過ぎに一時1.0672ドルと日通し高値を更新した。

ただ、前日の高値1.0674ドルが目先レジスタンスとして意識されると失速した。ボウマンFRB理事のタカ派的な発言も相場の重しとなった。

ユーロ円は反発。終値は157.93円と前営業日NY終値(157.37円)と比べて56銭程度のユーロ高水準。日銀による大規模金融緩和の維持決定を受けて、日本時間夕刻に一時158.28円と日通し高値を付けた影響が残った。ただ、NY市場に入ると158.00円を挟んだもみ合いに終始した。ドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、相場は方向感が出なかった。

 

【本日の東京為替見通し】ドル円、堅調推移 ただし円買い介入の可能性には引き続き要警戒か

本日の東京外国為替市場のドル円は、日米の金融政策の方向性の違いから底堅い展開が予想されるものの、引き続き本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には警戒しておきたい。

 

また、岸田首相は第2次岸田再改造内閣を発足させ、新内閣の下で物価高対策を含む経済対策を10月中に取りまとめる方針を示している。物価高対策では輸入物価抑制のための円安抑制の措置が打ち出される可能性には警戒しておきたい。

先週は、米連邦公開市場委員会(FOMC)でFF金利誘導目標5.25-50%が据え置かれたものの、年内2回のFOMC5.50-75%までの追加利上げが示唆され、「より高い水準でより長く(higher for longer)」という方針が示された。一方で日銀金融政策決定会合では、現状の大規模な金融緩和策が維持され、植田日銀総裁が金融緩和を継続していく方針を示した。

ドル円は日米の金融政策の方向性の相違を受けて、年初来高値の148円台まで上昇してきており、148円台での目標値は、148.77円(=127.23+21.54円)となっている。

本邦通貨当局の昨年秋の3回のドル売り・円買い介入は、ボラティリティーの抑制を名目に実施された。円買い介入が実施された水準は、ボリンジャー・バンドの+2σ付近であり、本日の+2σは148.90円付近に位置している。また、円買い介入の1つの目安となっているIMM通貨先物の非商業(投機)部門取組の円売り持ちポジションも、912日時点で10万枚を超えてきた。

 

ドル円のトレンド系のテクニカル指標(順張り指標)では、依然として上昇基調が示唆されているが、オシレーター系指標(逆張り指標)は、弱気の乖離(ベアリッシュ・ダイバージェンス)による反落が示唆され始めた。なお、本日の日足が陰線になれば、「二本立ち二羽烏」的なパターンとなり、反落の可能性が高まることになる。630日に145.07円から反落した時は、変則的な「三本立ち三羽烏」での反落だった。

 

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

特になし

 

<海外>

14:008月シンガポール消費者物価指数(CPI、予想:前年比4.0%)

16:00 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演

17:009月独Ifo企業景況感指数(予想:85.0

○南アフリカ(伝統文化継承の日の振替休日)、休場

 

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

 

【前日までの要人発言】

22日11:11 鈴木財務相
「(為替相場の過度な変動について)あらゆる選択肢を排除せず適切に対応」
「(為替市場)政府として高い緊張感をもって注視」

22日11:54 日本銀行声明
「必要なら躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる」
「金融・為替市場の動向や日本経済・物価への影響、十分注視する必要」
「予想物価上昇率、再び上昇の動きがみられる」
「経済・物価を巡る不確実性は極めて高い」
「景気は緩やかに回復している」
「リスク要因、海外の経済物価や資源価格、企業の賃金価格設定行動など」

22日15:34 植田日銀総裁
「我が国の景気は緩やかに回復している」
「消費者物価指数(CPI)の前年比は、足元で
3%程度になっている」
「金融・為替市場の動向や経済・物価への影響を十分注視」
「必要があれば躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる」
2%の物価目標の安定的持続に必要な時点まで現行緩和を維持」
「市場の動きなどについて具体的なコメントは控える」
「政策修正の時期は決め打ちできない」
「施策への基本的な考え方については従来から変化はない」
「読売新聞のインタビューによる市場の反応、具体的なコメントは控えたい」
「読売のインタビューでは、現時点では経済・物価の不確実性きわめて高い、政策修正の時期は到底決め打ちできないと指摘した」
「毎回の決定会合で経済・物価データを丁寧に分析、政策運営の基本的な考え方に変化はない」
「10月展望リポートに向け、円安や原油高・政府の対策延長も考慮に入れ丹念に精査していきたい」
「大幅な物価上振れが現時点で生じているとは思っていない」
「7月のYCC柔軟化、金利や為替の将来のボラティリティーを前もって抑制するための措置」
「YCC柔軟化の効果がどのくらい表れているのか、見極めは時期尚早」
「物価安定目標の持続的・安定的実現、見通せる状況にはなっていない」
「単一の指標で基調的な物価上昇率が判断できるわけではない」
「7月展望リポート対比、インフレ率がどんどん上振れしていることではない」

「7月展望リポート対比、物価の下がり方が少しゆっくりめという雰囲気はある」
「政策と物価のリスクバランス、変わればきちんと説明する」
「実質賃金のマイナス、非常に心配している」
「今後インフレ率は、はっきり低下する」
「物価目標の実現が見通せれば、YCC撤廃、マイナス金利解除を検討」
「マイナス金利解除の距離感、すごく動いたわけではない」
「年内の可能性がまったくないと総裁が言うと決定に縛りをかける」
「金利と為替、短期的な動向にはコメント控える」
「為替は、ファンダメンタルズに沿って安定的に推移することが望ましい」
「為替動向は、政府と緊密な連携を取りながら注視していきたい」
2%目標の実現には、強い総需要に支えられて賃金・物価の好循環の確認が必要」
「オーバーシュート型コミットメントの解除に関しては、物価目標の達成が見通せるかをまずは考えたい」
「オーバーシュート型コミットメント、ロジカルには解除の条件満たしているがアナウンスメント効果にも配慮している」
「物価目標の達成、サービス価格も相応の上昇続けないとそういう状況にならない」

 

22日21:04 デギンドスECB副総裁

「インフレへのリスクは落ち着きつつある」

 

22日22:29 デコス・スペイン中銀総裁

「基調インフレは現在緩和しつつある」

「現在の金利水準は、十分に長期間維持されれば、目標の達成とほぼ一致している」

「利下げについて議論するのは時期尚早」

 

22日23:11 コリンズ米ボストン連銀総裁

「インフレ率は依然として高すぎる」

「現在の政策立案ではデータから正しいシグナルを得るためにかなりの忍耐が必要」

「インフレの主要要素は持続的な改善を示していない」

「インフレリスクに対する警戒を支持」

「インフレが抑制されていると確信するには時期尚早」

「経済活動は引き続きトレンドを上回っている」

 

22日23:41 ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事

「インフレ率が依然として高水準にあるため、さらなる利上げは適切となる可能性が高い」

「インフレ率を適時に2%に戻すには、政策をしばらく抑制的な水準に維持する必要」

「経済は依然として堅実なペースで成長しており、堅調な個人消費と雇用増加が見られる」

 

23日02:37 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁

「目標に近づいている」

「さらなる引き締めが必要かどうかを判断するために情報を収集し、金利を据え置いた」

「我々はもっと緩やかなペースで進む必要」

「ここ数カ月は良いデータが揃っており、インフレは低下している」

「労働市場は徐々に調整しつつある」

「忍耐は賢明な戦略」

「労働市場はまだ均衡が取れていないが、景気は減速しており、経済にとっては良い兆候」

「銀行システムは安全」

※時間は日本時間

 

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。抱き線で切り返して転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。

本日は、147.70円台まで上昇してきた転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2      149.71(2022/10/24高値)

レジスタンス1      148.85(2022/10/31高値)

前日終値                        148.37

サポート1           147.74(日足一目均衡表・転換線)

サポート2           146.46(日足一目均衡表・基準線)

 

<ユーロドル=1.06ドル後半で下向きの転換線が抵抗水準>

陰線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けており、三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。下落中の転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。

本日は、1.0690ドルまで下落してきた転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1      1.0690(日足一目均衡表・転換線)

前日終値                        1.0653

サポート1           1.05513/16安値)

 

<ユーロ円=雲の上限を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。雲の上で引けているものの、転換線は基準線を下回って推移し、遅行スパンは実線を下回っているため売りシグナルが優勢な展開となっている。しかし、孕み線で切り返して転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。

本日157.65円の一目・転換線を意識しながらの取引。基本は押し目買いスタンスで臨み、156円後半に位置する雲の上限を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1      159.768/30高値)

前日終値                        157.93

サポート1                       156.79(日足一目均衡表・雲の上限)

 

<豪ドル円=95円前半の転換線を念頭に置いた取引>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。孕み線で切り返して転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。

本日は転換線95.13円を念頭に置いた取引か。押し目買いスタンスで臨み、基準線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1      96.07(9/20高値)

前日終値                        95.58

サポート1                       94.45(日足一目均衡表・基準線

 

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