【本日の東京為替見通し】ドル円 強含みか、当局の介入には要警戒・指標は豪CPIに注目

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【前日の為替概況】ドル円 149.19円まで続伸、米10年債利回りは一時4.56%台まで上昇

26日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3日続伸。終値は149.07円と前営業日NY終値(148.88円)と比べて19銭程度のドル高水準だった。日米金融政策の方向性の違いから押し目買いが入った半面、政府・日銀による介入警戒感が相場の上値を抑えたため、しばらくは148円台後半でのもみ合いが続いた。

ただ、米長期金利の指標である米10年債利回りが一時4.5622%前後と200710月以来の高水準を記録すると円売り・ドル買いがじわりと強まった。取引終了間際には149.10円付近まで上昇し、アジア時間に付けた年初来高値149.19円に迫った。

なお、この日発表の9月米消費者信頼感指数や8月米新築住宅販売件数は予想を下回った一方、7月米ケース・シラー住宅価格指数や9月米リッチモンド連銀製造業指数は予想を上回るなど強弱入り混じる結果となったため、相場の反応は限られた。

ユーロドルは3日続落。終値は1.0572ドルと前営業日NY終値(1.0593ドル)と比べて0.0021ドル程度のユーロ安水準だった。米10年債利回りが4.48%台まで低下したことを受けてNY序盤はユーロ買い・ドル売りが進んだ。2130分前には一時1.0609ドルと日通し高値を付けた。

ただ、米10年債利回りが上昇に転じるとドル買いが優勢に。ユーロ圏景気の減速懸念からユーロ売りが出やすい面もあり、330分過ぎに1.0562ドルと日通し安値を更新した。欧米株価の下落を背景にリスク・オフのドル買いも入った。

なお、ホルツマン・オーストリア中銀総裁は「さらなる利上げは排除できない」「インフレの上振れリスクは依然として存在する」などと述べたが、反応は限定的だった。

ユーロ円は続落。終値は157.59円と前営業日NY終値(157.72円)と比べて13銭程度のユーロ安水準。日本時間夕刻に一時157.93円と日通し高値を付けたものの、前日の高値158.18円が目先レジスタンスとして意識されると失速した。欧州景気への懸念からユーロ売りが出たほか、ダウ平均が430ドル超下落したことが相場の重しとなり一時157.32円と日通し安値を更新した。

 

【本日の東京為替見通し】ドル円 強含みか、当局の介入には要警戒・指標は豪CPIに注目

本日の東京外国為替市場のドル円は、日米の金融政策の方向性の違いから強含み推移が予想される。しかしながら引き続き、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には警戒しておきたい。

本邦通貨当局の昨年秋の3回のドル売り・円買い介入は、ボラティリティーの抑制を名目に実施され、水準はボリンジャー・バンドの+2σ付近だった。最近のドル円の高値と+2σは以下の通り。+2σの手前でドル円は伸び悩んでおり、介入水準として警戒されているのが分かる。本日の+2σは149.39円付近に位置している。

926日:高値149.19円・・・+2σ 149.22

925日:高値148.96円・・・+2σ 149.02

922日:高値148.42円・・・+2σ 148.77

921日:高値148.46円・・・+2σ 148.59

ドル円が上昇基調にあるのは以下の要因。年末までの2回の米連邦公開市場委員会(FOMC)であと1回の利上げが示唆されていること、そしてFF金利誘導目標が5.50-5.75%まで引き上げられた後は、「より高い水準でより長く(higher for longer)」続く可能性があること。

米連邦準備理事会(FRB)のシナリオに変化をもたらす可能性がある材料としては、政府機関閉鎖のリスク、大手自動車メーカーでのストライキ、学生ローンの返済再開などが挙げられる。

先日は、米国に最高格付けを付与している唯一の格付け会社ムーディーズが、米政府機関が閉鎖されれば同国の信用格付けにネガティブに反映されるだろう、と警告。しばらくは議会での暫定予算案の採決の行方には注視する必要があるだろう。

一方で日本銀行は、現在の大規模な金融緩和策の継続が示唆されていることで、円安基調が続くことが見込まれている。本日発表される727-28日の日銀金融政策決定会合の議事要旨では、YCCの運用柔軟化の意図を見極めることになる。

7月の日銀金融政策決定会合では、金融政策である短期金利の運用(▲0.10%)と金融政策ではない長期金利の運用「イールドカーブコントロール(YCC)」の許容変動上限+0.5%は「目途」として維持された。しかし、指値オペの水準を0.50%から1.0%へ引き上げることで、柔軟化が図られた。

日銀の7月声明文では、YCCに関して「長期金利の上限を厳格に抑えることで、債券市場の機能やその他の金融市場における『ボラティリティー』に影響が生じる恐れがある」と言及された。植田日銀総裁は当時、「金融市場のボラティリティーを抑える中に、今回は為替市場のボラティリティーも含めた」と明言している。また、内田副総裁も、柔軟化措置において「為替市場を含めた金融市場のボラティリティーは重要な要素だった」と 述べていた 。

しかしながら日銀総裁と副総裁は26日、YCCの運用柔軟化は金融緩和の持続性を高めるため、と述べている。

1030分に発表される8月豪消費者物価指数(CPI)は、前年比+5.2%と予想されており、7月の同比+4.9%からの上昇が見込まれている。予想通りならば、103日の豪準備銀行(RBA)理事会での利上げ観測が高まることになる。

リスクシナリオは、予想を下回り、インフレ率の鈍化傾向が確認された場合。4会合連続で金利が据え置かれる可能性が高まり、RBAの引き締めサイクルが終了したとの観測が高まることで、豪ドル売りに拍車がかかることになる。

 

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

08:5072728日分の日銀金融政策決定会合議事要旨

14:007月景気動向指数改定値

 

<海外>

10:308月豪消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比5.2%)

15:0010月独消費者信頼感指数(Gfk査、予想:▲26.0

15:459月仏消費者信頼感指数(予想:84

20:00MBA住宅ローン申請指数

21:00 ◎ カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、インタビューに応対

21:008月メキシコ貿易収支(予想:11.50億ドルの赤字)

21:308月米耐久財受注額(予想:前月比▲0.5%/輸送用機器を除く前月比0.1%)

23:30EIA週間在庫統計

2801:008月ロシア失業率(予想:3.0%)

2802:00 ◎ 米財務省、5年債入札

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

26日10:13 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁

「米経済が強力過ぎたら、より長くより高い金利が必要」

「サービスインフレに関してはやるべきことが残っている」

FRBは必ずインフレ率を2%まで戻すことができる」

「実質金利が引き締まれば利下げが必要になる可能性」

26日23:11

「ソフトランディングの可能性は60%、FRBが大幅な利上げをしなければならない可能性は40%とみている」

 

26日11:18 鈴木財務相

「為替市場の動向を高い緊張感をもって見ている」

「急激な変動にはあらゆる手段を排除せず、適正に対応」

「海外の通貨当局とは意思疎通を図っている」

「為替、過度な変動が好ましくないということについて海外当局とも共有している」

26日16:55

「(為替について)高い緊張感をもって市場動向を見ている」

 

26日16:53 シムカス・リトアニア中銀総裁

「利下げ時期について回答を急ぐことはない」

2025年のインフレ率2%に向けて、ECBの政策は現在のところ順調」

 

26日17:28 ミュラー・エストニア中銀総裁

「現状はこれ以上の利上げを予想していない」

 

27日01:51 ホルツマン・オーストリア中銀総裁

「金利がピークに達しているかどうか不明」

「さらなる利上げは排除できない」

「インフレの上振れリスクは依然として存在する」

※時間は日本時間

 

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=3日続伸、昨年10月以来の149円台引け>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで三役好転の強い買いシグナルが点灯中。3手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。

本日は、148.26円まで上昇した転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。上値は昨年10月につけた149円後半や150円前半が意識される。

レジスタンス2      150.292022/10/20高値

レジスタンス1      149.71(2022/10/24高値)

前日終値                        149.07

サポート1           148.26(日足一目均衡表・転換線)

サポート2           146.82(日足一目均衡表・基準線)

 

<ユーロドル=1.0650ドルまで低下した転換線が抵抗水準>

陰線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けており、三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。3手連続陰線で下落中の転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。

本日は、1.0650ドルまで下落してきた転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1      1.0650(日足一目均衡表・転換線)

前日終値                        1.0572

サポート1           1.05163/15安値)

 

<ユーロ円=156円後半の雲の上限が支持となるか>

小陰線引け。雲の上で引けているものの、転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回っているため売りシグナルが優勢な展開となっている。僅かに転換線を上回って引けたものの、2手連続陰線を作った。

本日は、157.59円まで水準を上げた転換線を念頭に置いた取引に。下押すようであれば、156円後半に位置する雲の上限が支持水準として働くか確かめたい。

レジスタンス1      158.18(日足一目均衡表・基準線)

前日終値                        157.59

サポート1                       156.82(日足一目均衡表・雲の上限)

 

<豪ドル円=雲の上限から2122日安値が支持帯に>

陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。2手連続陰線だったが、わずかに転換線を上回って引けており反発の可能性が残されている。

94円台に入ったとしても、94.74円の日足一目表・雲の上限から2122日安値94.54円までが支持帯となりそうだ。

レジスタンス1      96.07(9/20高値)

前日終値                        95.36

サポート1                       94.549/2122安値

 

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