
【前日の為替概況】ドル円、続伸 米製造業PMIやISM製造業景況指数が予想を上回る
2日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。終値は149.86円と前営業日NY終値(149.37円)と比べて49銭程度のドル高水準だった。米連邦準備理事会(FRB)が高い政策金利をより長く維持するとの観測が強まる中、米長期金利が大幅に上昇すると円売り・ドル買いが先行。9月米製造業PMI改定値や9月米ISM製造業景況指数が予想を上回ったことも相場の支援材料となり、23時過ぎに一時149.87円と昨年10月以来の高値を更新した。ただ、心理的節目である150円に迫る中、政府・日銀による為替介入への警戒感は根強く、上昇のスピードは緩やかだった。株安を背景にクロス円が下落したことも相場の重し。NY時間の安値は149.69円で値幅は18銭程度と小さかった。
ユーロドルは3営業日ぶりに反落。終値は1.0477ドルと前営業日NY終値(1.0573ドル)と比べて0.0096ドル程度のユーロ安水準だった。米10年債利回りが一時4.7014%前後と2007年10月以来の高水準を記録するなど、米長期金利が上昇傾向を強めると全般ドル買いが優勢となった。取引終了間際に一時1.0477ドルと昨年12月7日以来の安値を付けた。ユーロ圏景気の減速懸念から全般ユーロ売りが出やすい面もあった。なお、主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時107.03と昨年11月以来の高値を更新した。
ユーロ円は3日ぶりに反落。終値は157.02円と前営業日NY終値(157.95円)と比べて93銭程度のユーロ安水準。ユーロドルの下落につれた売りが出たほか、ダウ平均の下落に伴うリスク回避の円買い・ユーロ売りが入ると、5時前に一時157.00円と本日安値を付けた。
ユーロ円以外のクロス円も軟調だった。ポンド円は一時181.13円、豪ドル円は95.28円、NZドル円は88.98円、カナダドル円は109.47円、南アフリカランド円は7.79円、メキシコペソ円は8.45円まで値を下げた。
【本日の東京為替見通し】ドル円は150円をめぐる攻防、RBA新総裁の初理事会にも注目
本日のドル円も、心理的な節目150円をめぐる攻防となるか。昨日発表された9月の日銀・企業短期経済観測調査(短観)は2期連続で景況感が改善され、昨日の本邦長期金利は2013年9月以来の水準を付けた。しかしながら、円買いの勢いは限られ、対欧州通貨を中心にドル買いが進んでいることもあり、ドル円も150円を意識した動きになりそうだ。
もっとも、ドル買いが進む中で先週にはNZドル円は2015年以来、カナダドル円は2008年以来など複数の通貨では、円安が大幅に進んでいることや、茂木自民党幹事長が「どこかで解散総選挙。政権のあり方問われる」と発言するなど、選挙を前にして円安を放置するのは政権にとってリスクがあり、円買い介入への警戒感は依然として高い。
また、米議会が政府閉鎖を免れたのにもかかわらず、ダウ平均が続落して引けるなど、株式市場が軟調なこともドル円の上値を重くする可能性もある。中小企業株が中心のラッセル2000は昨日1.7%超下落し、今年に入り前年度比で初めてマイナスに転じていることも警戒されそうだ。
アジア時間は、ドル円以外では豪ドルの動きが要注目となる。本日は豪準備銀行(RBA)が理事会を開き、終了後に政策金利を発表する。市場では政策金利を4.10%に据え置くとの予想が優勢。市場の多くは今月25日発表予定の7-9月期消費者物価指数(CPI)や来月15日発表予定の同期賃金指数を確かめるまでは、再利上げには動かないのではないかとの声が多い。
声明文では、「タカ派的な一時据え置き」予想となっているが、内容次第で豪ドルは値動きが活発化する可能性がある。特に今回からブロック前副総裁が総裁となる初めての理事会ということもあって、これまでのロウ総裁とは内容が異なるかたちで声明が表される可能性もあり、声明文の相違へ市場が過剰に反応するリスクもあるか。
【本日の重要指標】
※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 9月マネタリーベース(予想:前年比1.6%)
<海外>
○08:30 ◎ メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○09:30 ◎ 8月豪住宅建設許可件数(予想:前月比2.5%)
○12:30 ☆ 豪準備銀行(RBA)政策金利発表(予想:4.10%で据え置き)
○15:00 ◎ シムカス・リトアニア中銀総裁、講演
○15:10 ◎ レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○15:30 ◎ 9月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比横ばい)
○16:00 ◎ 9月トルコCPI(予想:前月比4.88%/前年比61.70%)
○21:00 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○21:45 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○23:00 ◎ 8月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数(予想:880.0万件)
○中国(国慶節)、韓国(建国記念日)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
2日08:50 日銀金融政策決定会合における主な意見(9月21-22日分)
「足もとの物価の強さ、更には、為替相場や原油価格の推移をみると、今後、物価が想定ほど下がらず上振れしていくリスクも相応にあり、謙虚にデータを見つめていく必要性が、従来以上に高まっている」
「イールドカーブ・コントロールの運用の柔軟化により、長期金利は比較的安定しており、追加的な見直しを行う必要はない」
「当面は緩和的な金融緩和の維持が望ましいが、将来の出口局面にあたっては、イールドカーブ・コントロールのみならず、国債以外の資産買入れの要否についても検討すべきである」
2日10:43 鈴木財務相
「(ドル円の年初来高値更新について)注意しながら見ている」
2日16:50
「(為替円安)強い緊張感もって市場の動向みている」
2日13:12 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「利下げの議論は早すぎる」
「最近の原油価格の10カ月ぶりの高騰は我々の取り組みを難しくさせる」
「金利に関してさらなる措置を講じる必要があるかもしれない」
「政策伝達が不完全であれば、もう少し辛抱強くなるべき」
2日21:08
「現行金利はインフレ目標達成に役立つ」
「インフレは今後数カ月低下する見通し」
2日16:20 松野官房長官
「為替相場は安定的に推移することが重要」
「為替相場、高い緊張感を持ってしっかり対応していく」
2日23:41 ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事
「さらなる利上げは適切となる可能性が高い」
「金利をさらに引き上げ、しばらくの間は制限的な水準に維持することが適切である可能性が高い」
「インフレは依然として高すぎる」
3日00:12 マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員
「私は金利政策についてはタカ派」
3日00:58 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁
「FRBは物価の安定と雇用の最大化に取り組んでいる」
3日01:23 パウエルFRB議長
「FRBの目標は堅調な労働市場の持続」
「そのためには物価の安定を実現することが必要であり、FRBはそれを達成することに焦点を当てている」
3日02:04 バーFRB副議長
「FRBは二つの責務に対するリスクを強く意識している」
「金利に関して慎重に進めるとのパウエル議長の考えに同意」
「金利をどれだけ長く高水準に維持するかが最も重要」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=節目150円付近の神経質な動き>
小陽線引け。149.87円まで昨年10月以来の高値を更新した。しかし150円の大台を目前とした足踏みは続いている。
目先のすう勢を示す5日移動平均線は本日149.61円前後へ上昇して推移。押し目が入っても同線付近にとどめ、底堅い推移が続くだろう。150円の節目を突破できれば、ここもとで伸び悩んだ際に溜まったエネルギーで上昇が勢いづくことも考えられる。ただ、同時に高値警戒感の高まりや達成感からいったん調整が入ることも想定しておきたい。150円の節目付近の神経質な動きとなりそうだ。
レジスタンス2 150.89(9/27-29下落幅の倍返し)
レジスタンス1 150.15(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 149.86
サポート1 149.20(9/29-10/2上昇幅の半値押し)
<ユーロドル=5日線や転換線が重し>
陰線引け。一目均衡表・転換線付近での戻りの鈍さが続き1.0477ドルまで年初来安値を更新した。本日1.0519ドル前後へ低下して推移する5日移動平均線付近では上値が重くなりそうで、低下傾向が続く見込みの一目均衡表・転換線1.0576ドルも抵抗となる。昨年12月7日以来の安値水準で下値を探る展開が続くとみる。
レジスタンス1 1.0519(5日移動平均線)
前日終値 1.0477
サポート1 1.0394(2022/12/1安値)
<ポンド円=下支え期待された90日線を下抜け>
上影陰線引け。下支えが期待された90日移動平均線を抜けて181.13円まで下値を探った。本日181.82円前後へ上昇して推移する90日線を追うように戻りを試すことも想定できる。しかし低下継続が予想される一目均衡表・転換線182.01円が反発を抑えそう。同線は明日にも182円割れ水準へ切り下がる見込み。
レジスタンス1 182.01(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 181.13
サポート1 180.45(8/3安値)
<NZドル円=最高値から調整も、かい離を埋める範囲の動き>
上影陰線引け。先週末9月29日に90.20円まで年初来高値を更新した後を受け、2015年以来の高値圏での警戒感もあって昨日は調整安が一時88.98円と、89円割れまで進んだ。しかし、まだ目先のすう勢を示す5日移動平均線からのかい離を埋める範囲の動き。5日線は本日89.08円へ上昇。同線を割り込む場面はあるだろうが上昇傾向が続く見込みの一目均衡表・転換線88.75円前後では下支えされると予想する。
レジスタンス1 89.94(10/2高値)
前日終値 89.11
サポート1 88.75(日足一目均衡表・転換線)
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