【前日の為替概況】ドル円、反落 米GDP や新規失業保険申請件数が弱い内容でドル売り先行
29 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反落。終値は109.48 円と前営業日NY 終値(109.91 円) と比べて43 銭程度のドル安水準だった。4-6 月期米国内総生産(GDP)速報値が前期比年率6.5%増と予 想の8.5%増を下回ったほか、前週分の米新規失業保険申請件数が40.0 万件と予想の38.0 万件より弱い 内容となったことで全般ドル売りが先行。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が前日にテーパリング 議論を慎重に進める姿勢を示したことから、この日もドルが売られやすい地合いとなり、4 時過ぎには一 時109.42 円と日通し安値を更新した。20 日の安値109.33 円や一目均衡表雲の下限が位置する109.30 円 がサポートとして意識された面もあるが、戻りは鈍かった。
ユーロドルは4 日続伸。終値は1.1887 ドルと前営業日NY 終値(1.1845 ドル)と比べて0.0042 ドル程 度のユーロ高水準だった。低調な米経済指標の結果が伝わると、全般ドル安が進行。緩和的な米金融政策 が長期化するとの見方が広がる中、一時1.1893 ドルと日通し高値を更新した。ただ、1.19 ドルの大台に は届かなった。低調な米7 年債入札などを受けて、米長期金利が上昇傾向を維持したことなどが上値を抑 えた。
ユーロ円は小反落。終値は130.14 円と前営業日NY 終値(130.19 円)と比べて5 銭程度のユーロ安水 準。ユーロドルの上昇につれた買いが入り一時130.56 円と本日高値を付けたものの、ドル円の下落につ れた売りが出ると130.09 円付近まで押し戻された。
メキシコペソ円は上値が重かった。米国株高に加えて、原油先物価格の上昇を背景に産油国通貨とされ るペソには買いが先行。23 時過ぎに本日高値となる5.54 円まで値を上げた。ただ、米格付け会社ムーデ ィーズがメキシコ政府による国営石油会社ペメックスへの巨額支援を懸念する中、「同国のヨリオ財務次 官がペメックスへの支援を継続する意向を示した」と伝わると失速。ドル円の下落につれた売りも出て、 4 時30 分過ぎには5.51 円付近まで下押しした。
【本日の東京為替見通し】ドル円2 カ月ぶりの109 円割れトライか、緊急事態宣言延長などが重し
本日の東京時間のドル円の上値は限られるか。昨日のドル円は前日のパウエル米連邦準備理事会(FRB) 議長の会見や、弱い米国の経済指標の影響で弱含んだ。今月も先月もドル円は109.00 円割れをトライす るものの、109 円は5 月26 日以来割り込んでいないことで、手堅い実需勢や、レンジを決め切って取引 をしている本邦個人投資家などは109 円台前半が買い場と見込み、東京時間に109 円前半まで下落すれば それなりの買い意欲が出てくると思われる。また、月末の5・10 日(ゴトー日)ということを考えると、 東京仲値を中心に買いが優勢になることもありそうだ。
一方で、昨日の弱い米経済指標の翌日にドル円を買い上げるような地合いでもないだろう。また、米株 式市場が上昇して引けているにもかかわらず、東京都の緊急事態宣言延長を嫌気しCME225 先物は前日の 大阪取引所比では下落して引けていることで、株売りでドル円やクロス円が重くなる可能性もある。米国 での新型コロナウイルス・デルタ株の感染拡大も重しになるか。日本時間早朝にはバイデン米大統領が、 感染が拡大するデルタ株についての記者会見を行ったが、今後もさらに感染が拡大することやワクチン接 種をしていない労働者のマスク着用義務などの必要性を述べた。会見後の質疑応答では、感染拡大阻止に ついて、マスクやワクチンの義務化についての厳しい質問が続くと、バイデン大統領はいら立ちを隠せな い状態になり、それだけ現在の米国のデルタ株蔓延が深刻になりつつあることを態度で示していた。
アジア時間では本邦から複数の経済指標が発表されるが、この数年に渡り本邦の経済指標は、市場の反 応が限られていることで、本日も同様な状況になるか。NY 時間に入ると本日は6 月米個人消費支出(PCE) が最大の注目となる。FRB はインフレ指標として消費者物価指数(CPI)よりも、調査対象が広く、代替 効果の調整や対象品目がより柔軟なPCE をより注視していることで、今回も指標結果次第で大きく動くだ ろう。特にここ最近の地合いや、FRB 議長がインフレは一時的としていることで、弱い結果となった場合 の市場の反応には敏感になりそうだ。
欧州通貨は仏・ユーロ圏のCPI、独のGDP 速報値など重要指標が欧州入り後に発表されることで、東京 時間はドル円の動きや株価の動向で上下するだろうが、トレンドを作るのは難しそうだ。また、本日は月 末ということで、ロンドン16 時(日本時間24 時)のフィキシングを含めた特殊玉でも大きく動きが左右 されるだろう。なお、先月末のロンドンフィキシングはドル買いが優勢となっている。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ◎ 6 月完全失業率(予想:3.0%)
○08:30 ◎ 6 月有効求人倍率(予想:1.10 倍)
○08:50 ◎ 6 月鉱工業生産速報(予想:前月比5.0%/前年比20.7%)
○08:50 ◇ 6 月商業販売統計速報(小売業販売額、予想:前年比0.2%)
○14:00 ◇ 6 月新設住宅着工戸数(予想:前年比7.2%)
○19:00 ◇ 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
<海外>
○10:30 ◎ 4-6 月期豪卸売物価指数(PPI)
○未定 ◎ 4-6 月期シンガポール失業率(予想:2.9%)
○14:30 ◎ 4-6 月期仏国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比0.8%)
○14:30 ◇ 6 月仏消費支出(予想:前月比1.4%)
○15:45 ◇ 7 月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比▲0.1%/前年比1.0%)
○16:00 ◇ 7 月スイスKOF 景気先行指数(予想:130.0)
○16:00 ◇ 6 月トルコ貿易収支(予想:29 億ドルの赤字)
○17:00 ◇ 7 月ノルウェー失業率(予想:2.9%)
○17:00 ☆ 4-6 月期独GDP 速報値(季節調整済、予想:前期比2.0%/前年同期比9.6%)
○17:00 ☆ 4-6 月期独GDP 速報値(季節調整前、予想:前年同期比9.6%)
○17:30 ◎ 4-6 月期香港GDP 速報値(予想:前期比▲0.8%/前年同期比7.8%)
○18:00 ◎ 6 月ユーロ圏失業率(予想:7.9%)
○18:00 ☆ 7 月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比2.0%)
○18:00 ☆ 7 月ユーロ圏HICP コア速報値(予想:前年比0.7%)
○18:00 ☆ 4-6 月期ユーロ圏GDP 速報値(予想:前期比1.5%/前年比13.2%)
○20:00 ◎ 4-6 月期メキシコGDP 速報値(予想:前期比1.7%/前年比19.8%)
○21:00 ◎ 6 月南アフリカ貿易収支(予想:520 億ランドの黒字)
○21:30 ☆ 5 月カナダGDP(予想:前月比▲0.3%/前年比14.8%)
○21:30 ◇ 6 月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比▲0.4%)
○21:30 ◇ 6 月カナダ原料価格指数
○21:30 ◎ 6 月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.7%)
◎ 6 月米個人所得(予想:前月比▲0.3%)
☆ 6 月米PCE デフレーター(予想:前年比4.0%)
☆ 6 月米PCE コアデフレーター(予想:前月比0.6%/前年比3.7%)
○21:30 ☆ 4-6 月期米雇用コスト指数(予想:前期比0.9%)
○22:00 ◎ ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○22:45 ◎ 7 月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:64.6)
○23:00 ◎ 7 月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:80.8)
8 月2 日
○10:45 ◎ 7 月Caixin 中国製造業購買担当者景気指数(PMI)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
29 日16:48 カブジュオール・トルコ中銀総裁
「第2 四半期の成長が強いことをデータが証明している」
「雇用は増加し続けると予想」
「経常収支は第2 四半期に改善し始める」
29 日16:51
「引き締めの姿勢は断固として維持されるだろう」
「インフレは6 月に上限まで上昇した」
30 日01:23 ポルトガル政府
「レストランや小売店の営業時間の短縮を撤廃する」
「日曜日以降、一部の自治体で実施されている夜間外
出禁止令を解除」
「9 月初旬から、屋外でのマスク着用の義務化を終了す
る」
30 日03:34 ヨリオ・メキシコ財務次官
「メキシコ政府は国営石油会社ペメックスへの支援を継
続する」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=転換線前後は維持できず、雲の下限を試す展開>
陰線引け。一目均衡表・転換線前後の底堅さを維持できな
かった。109.67 円前後で推移する90 日移動平均線も下抜け。
一目・雲を再び上抜く狙いは一転、雲の下抜けを試す展開と
なっている。雲の下限109.30 円を割り込み、19 日安値など
も近くに位置する109 円付近を試す展開も念頭に置いておき
たい。戻しても、109.80 円台で推移している5 日移動平均線
付近で動きが重くなりそうだ。
レジスタンス1 | 109.81(5 日移動平均線) |
前日終値 | 109.48 |
サポート1 | 109.07(7/19 安値) |
サポート2 | 108.56(5/25 安値) |

<ユーロドル=サポート期待したい基準線が来週にも低下へ>
陽線引け。一目均衡表・基準線1.1864 ドルを上抜け、一
時1.1893 ドルまで上昇した。6 月30 日以来、約1 カ月ぶり
となる1.19 ドル台をうかがう様相となっている。ただ、上
抜けて抵抗からサポートへ転じることが期待される基準線
は、週明けには低下へ向かう見込み。反落した場合に下げ渋
りそうな水準が切り下がる公算。1.1850 ドル付近で上昇中の
5 日移動平均線が代わって支えになることを望むが、一目・
転換線1.1823 ドル付近までの下落も視野に入れて臨みたい。
レジスタンス1 | 1.1948(5/25-7/21 下落幅の38.2%戻し) |
前日終値 | 1.1887 |
サポート1 | 1.1823(日足一目均衡表・転換線) |

<ユーロ円=基準線・21 日線を試すも押し返される>
小陰線引け。一時130.56 円と13 日以来、2 週間ぶり以上
の水準へ上振れた。しかし、一目均衡表・基準線目前で押し
返されている。130.30 円前後で低下中の21 日移動平均線を
下回ってNY を引けた。本日130.53 円へ小幅に低下し、切り
下がりが続く見込みの基準線と、上昇中の一目・転換線の交
差が予想される130.23 円前後へ収れんする流れか。低下中
の21 日線に追随する下押しも想定でき、本日129.58 円に位
置する転換線を試す場面はあるかもしれない。
レジスタンス1 | 130.53((日足一目均衡表・基準線) |
前日終値 | 130.14 |
サポート1 | 129.58(日足一目均衡表・転換線) |

<豪ドル円=転換線が底打ちへ、200 日線の回復を狙う>
小陰線引け。低下傾向の一目均衡表・転換線を追うように
下振れる場面も交えた不安定な推移が続いた。しかし転換線
は本日、昨日安値と同じ水準80.75 円へ低下したところで底
打ちし、週明けには上昇へ転じる見込み。同線の上昇ととも
に、81.40 円台で上昇中の200 日移動平均線の回復をうかが
う展開を予想する。
レジスタンス1 | 81.66(7/23 高値) |
前日終値 | 80.98 |
サポート1 | 80.64(7/27・28 安値) |

情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社