
週間展望・回顧(ドル、ユーロ、円)
ポンド、対ドルを中心に下値限定か
◆ドル円、流動性回復後の方向性を確認することに
◆PCE コアデフレータ、米雇用統計など重要指標が相次ぐ
◆ユーロドル、200 日移動平均線がサポートとなるか
予想レンジ
ドル円 135.50-142.50 円
ユーロドル 1.0300-1.0800 ドル
11 月 28 日週の展望
ドル円は、米国の感謝祭休暇が終わり、市場の流動性が正常に戻ったうえでの方向性を探る展 開となりそうだ。今週は感謝祭週ということもあり、市場の流動性が極端に低く、値が上下に激 しく動く展開が続いた。方向感を探りづらかったが、感謝祭明けの来週は流動性が回復し、値動 きが安定すると見込まれる。 そのために、現段階においては、ドルの方向性を明確に判断することは難しいだろう。今月発 表された消費者物価指数(CPI)が前回から鈍化したことでインフレのピークアウト説は残っては いるものの、米当局者の中ではインフレや政策金利見通しに関する意見が分かれており、新たな 材料を待っているという状況。 そういった意味でも、来週は 12 月 1 日に 10 月米 PCE コアデフレータの発表があり、前年比で 前回の+5.1%からどの程度鈍化するかに注目したい。また、同日には 11 月米 ISM 製造業指数、そ して翌 2 日には 11 月米雇用統計などの需要な指標の発表を控えている。結果次第ではドルが大き く動く可能性もあり、注意が必要だろう。 ただ、チャートを見ると、下値リスクのほうがやや高い状況だ。今週は週明けからショートカ バーが活発化したものの、目先のレジスタンスである 11 日高値の 142.48 円でしっかりと頭を抑 えられ、そこから再び下値を模索する展開となっている。仮に、15 日安値の 137.68 円を明確に ブレイクするようであれば、調整色が一層強まることには警戒が必要だ。 また、ユーロドルは、米経済指標の結果を受けたドルの強弱に振らされる動きとなりそうだ。 チャート上では、200 日移動平均線を 2021 年 6 月以来、1 年 5 カ月ぶりに上抜けたことからテク ニカル的な買いも入りやすい状況となっている。この水準がサポートされている以上、下値は堅 くなっていく可能性が高い。経済指標としては、仏・独・ユーロ圏でそれぞれの CPI 速報値が予 定されている。インフレがどの程度抑制されているかを確認したいところだ。
11 月 21 日週の回顧
ドル円は、FRB による金融引き締めが長期化するとの思惑で週明けから買いが優勢となり、一 時 142.25 円まで大幅に値を上げた。もっとも、その後は一段高とはならず、141 円を挟んだ方向 感のない動きが続いていたが、23 日に急落。前週分の米新規失業保険申請件数や 11 月米製造業・ サービス部門 PMI 速報値が予想より弱い結果となったことを受けて米長期金利が低下したほか、 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で「ほとんどの当局者は利上げペースの減速が近く適切 になると認識」との見解が示されたことも売りを促した。翌 24 日は米国が感謝祭で休場となり、 薄商いで値が振れやすかった面もあり、一時 138.06 円まで売り込まれた。 ユーロドルは、週明けから売りが先行し、一時 1.0223 ドルまで下落したが、低調な米経済指標 を受けてドル円が急落すると反発。一時 1.0448 ドルまで買い上げられた。(了)
週間展望・回顧(ポンド、加ドル)
BOC、利上げ幅縮小の見通し変わらず
◆ポンド、金融引き締めペースの差を意識、対ドルを中心に下値は限定か
◆ポンド、長期債の売却が順調に進まないと波乱要因
◆加ドル、産油国通貨としての面が意識されそう
予想レンジ
ポンド円 164.00-171.00 円
加ドル円 101.50-106.50 円
11 月 28 日週の展望
ポンドは「英米の金融引き締めペースに差がつく」との思惑から、対ドルを中心に下値は限定 されそうだ。英国では足もとのインフレ率が 11%超まで加速するなか、イングランド銀行(英中 銀、BOE)のチーフエコノミストでもあるピル金融政策委員会(MPC)委員が「一段の追加利上げ が必要」との見解を示した。先週伝わった一部 MPC 委員からのハト派意見を打ち消す形だ。一方 で、物価上昇に鈍化の兆しが見える米国では、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で「近く に利上げペース減速が適切になる」という考えの委員が多いことが分かった。BOE も引き締めの 「更なる強化」には慎重ではあるものの、そのペースを弱めるような国内状況ではない。米金利 先安観がこのまま強まることになれば、ポンドの対ドルでの底堅さがより意識されることになる。 ただし、対円では米長期金利に敏感なドル円の動きも見極める必要があるだろう。 また、スナク新政権による 2027-28 年度までに 550 億ポンドの財政再建策を盛り込んだ「中期 経済計画」は、金融市場の動きを見る限り好意的に受け止められたようだ。再建計画のほぼ半分 は増税頼みだが、事前に懸念されていたよりも税負担が小さいことが好感されて英国株は強含み。 発表直後は売り先行(金利は上昇)の英長期債も、週をまたぎ買い優勢(金利は低下)となった。 英債については英中銀が 29 日、トラス前政権下で市場混乱を落ち着かせるため緊急に買い入れた 193 億ポンド分の一部売却を開始する。順調に売却が進むようなら問題はないが、逆に需給バラ ンスが崩れてしまうようだと為替相場にとっても波乱要因なりそうだ。 加ドルは、原油相場が乱高下するなか、産油国通貨という面が意識されそうだ。サウジアラビ アは否定しているが、「石油輸出国機構(OPEC)プラスが来月会合で増産を検討」との報道につい ての続報に注視している。また、G7 や EU がロシア産原油に導入予定の価格上限に関し、「これま でより緩めの方針が検討」とも報じられた。設定水準への思惑で相場は更に神経質になりそうだ。 加えて、中国の景気減速についても警戒する必要がある。なお、加経済指標では 7-9 月期や月次 国内総生産(GDP)や 11 月雇用統計が注目される。
11 月 21 日週の回顧
ポンドは買いが先行。前週に公表された英国の中期財政計画を好感した流れが続き、11 月製造 業/サービス部門 PMI 速報値が予想を上回ったことにも後押しされた。FOMC 議事要旨を受けて全 般ドル売りが強まると、対ドルでは 8 月半ば以来の 1.21 ドル台まで上昇した。対円でも 169 円付 近まで強含んだが、週後半には反落したドル円につれて上値を切り下げた。 加ドルは米金利先安観の強まりが対ドルでは支えとはなった。乱高下しながら水準を下げた原 油先物が重しとなり伸び悩む場面があったものの、週後半には 1.33 加ドル前半まで加ドル高に振 れた。対円では 105 円後半で上値を抑えられ、ドル円の反落につれて 103 円半ばまで売られた。 カナダ中銀総裁が更なる利上げが必要との見解を示したものの反応は鈍かった。(了)
週間展望・回顧(豪ドル、南ア・ランド)
RBA、12 月会合への不透明感続く
◆豪ドル、感謝祭明けの推移に注目
◆RBNZ、利上げ加速方針が鮮明に
◆ZAR、対ドルでの下落トレンドは一段落か
予想レンジ
豪ドル円 91.00-96.00 円
南ア・ランド円 7.95-8.35 円
11 月 28 日週の展望
豪ドルは神経質な展開となりそうだ。豪準備銀行(RBA)のロウ総裁は 22 日の講演で「今後一 定期間、さらに利上げを行うことを予想」と述べた一方で、「政策はあらかじめ設定された経路上 にあるわけではない」「0.50%の利上げに戻ることも一時的に金利を据え置くこともあり得る」と し、12 月会合に向けた明確なヒントは示さなかった。RBA は以前、「2024 年まで利上げは必要な い」としていたことを覆して利上げを行い、市場から批判されている。今後も市場に明瞭な方針 を示すことを避ける可能性が高い。 もっとも、主要国の中でいち早く利上げペースを鈍化させたことは事実であり、豪ドルを積極 的に買い進めづらい要因となっている。今週は米利上げペースが減速するとの思惑から対ドルで は底堅く推移したものの、対ドルでの買い基調が持続するかに関しては感謝祭明け後の推移を見 極める必要があるだろう。 なお、来週は 28 日に 10 月小売売上高、30 日に 10 月住宅建設許可件数、12 月 1 日に 7-9 月期 四半期民間設備投資の発表が予定されている。 隣国 NZでは 30日に 10月住宅建設許可件数や 11月 ANZ企業信頼感が発表予定。NZ準備銀行(RBNZ、 NZ 中央銀行)は 23 日の金融政策決定会合で、市場の予想通り 75bp の金利引き上げ(3.50%から 4.25%へ)を決定した。また、RBNZ は 100bp の利上げも検討していたことを明らかにしたほか、 2023 年 9 月に 5.50%としていた金利のピーク水準についても、「より早期でより高い水準となる 可能性」を示唆。豪州との利上げペースの違いが鮮明となるなか、豪ドル/NZ ドルの推移にも注 意しておきたい。 南アフリカ・ランド(ZAR)は底堅く推移しそうだ。テクニカル面で見ると対ドルでは 4 月から の下落トレンドがいったん終了した可能性が高まっている。ZAR 買い余地がさらに拡大する中で、 ドル安・ZAR 高の動きがどこまで続くか探る必要がある。 なお、24 日に南アフリカ準備銀行(SARB、中央銀行)は 75bp の利上げ(6.25%から 7.00%へ) を決定。インフレの長期化について言及した一方、世界的な成長減速と国内の深刻な電力不足の 影響から成長率予想を下方修正しており、南ア経済の先行き不透明感は一層強まっている。来週 は 29 日に 7-9 月期四半期失業率、30 日に 10 月貿易収支が発表される。
11 月 21 日週の回顧
豪ドルは対ドルでしっかり。さえない米指標などを手掛かりに為替市場全般でドル売りが進む なか、豪ドルも対ドルでは底堅く推移した。もっとも、ドル円の下落分に相殺される格好となっ たため、対円では方向感を欠いた動きだった。 ZAR も対ドルは強含んだ一方、対円ではもみ合い。豪ドルと同じくドル相場の動向に左右され る展開に終始した。(了)
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