フィラデルフィア連銀製造業景況指数低下、米ドル価格に懸念は見られず

11月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は、予想の-6.2、先月の-8.7に対して-19.4と下落し、20205月以来の最低水準となった。大幅な下落の主な原因は雇用部門で、予想の2910月の28.5に対しなんと7.1にまで急降下を見せている。  平均操業週数指数も10月の10.4から1.4まで下落した。  今回のフィラデルフィア連銀のレポートは、今週初めに発表されたNY連銀製造業景気指数とは対照的だ。  NY連銀製造業景況指数のほうは予想-5、先月-9.1に対して4.5に改善していた。  興味深いことにこちらの数値改善の主要因も、雇用の改善と平均操業週数の増加だった。  2つの指数に共通しているのは、いずれも今後6か月にわたって事業の減速を見込んでいる点だ。フィラデルフィア連銀の市場は多くの製造業を網羅していることから、地域連銀製造業指数の中で最も影響力が高くなる傾向がある。しかし今回の低い景況指数は、利息の引き下げを望むハト派の役には立たないだろう。トレーダーは今週初めのNY連銀製造業景況指数のより力強いデータとFOMCのスポークスマンの情報に焦点を当てており、今回のデータ自体は捨て置かれた形だ。順調な小売売上高と、セントルイス連銀のブラード総裁の強気な発言から、ドルの強気筋はFOMCが利上げを続けるという期待を強めている。米国ドル指数は日中の高値である107.24をつけた。  ここ数週間続いた強い売り展開の後だけに、ドル指数のサポートライン近く(331日の安値から928日の高値への50%のリトレースメントレベル)で値が固まっているのは驚くことではない。  強気筋は現在の水準からの反発を期待し、弱気筋はレジスタンスレベルでの売りを狙うだろう。

出典: TradingviewStone X

対照的にユーロは米ドル指数の57%を占めるため、ユーロ/米ドル価格は、通常は米ドル指数とは逆の動きを見せる。  このところドルが売られていたことから、この通貨ペアは強烈な反発を見せていたことがわかる。  ユーロ/米ドルは210日の高値から9 28日の安値までの50%のリトレースメントレジスタンスレベルを維持している。  ドル指数がさらに上がれば、ユーロ/米ドルは下がるはずだ。  最初のサポートラインは1027日の高値である 1.0094ドル。  そこを割れば、1110日の安値である0.9936ドル、その後は1025日に上方へのブレイクアウトが見られた、下向きのチャネルの上端を形成するトレンドラインの0.9775ドルまで下落する可能性がある。  しかしユーロ/米ドルの値上がりが続く場合、50%リトレースメントを超える次のレジスタンスレベルは水平レジスタンスの1.0627ドル、次いで先述の期間の61.8%のフィボナッチリトレースメントである1.0747ドルとなる。

出典:Tradingview, Stone X

米フィラデルフィア連銀製造業景況指数は20205月以来の最低水準まで落ち込んだ。  この結果は、FRBが利上げのペースを減速したがっている可能性があることを示唆する。したがって、米ドル指数は引き戻されると予想する見方もあるだろう。  しかし、トレーダーはそれよりも今週始めに発表された良好な小売売上高と、セントルイス連銀のブラード総裁によるタカ派のコメントに注目しているようで、ドルインデックスは上昇し、EUR/USDは下落している。  弱気の米ドルは次の水準の売りを求め、一方で強気のEUR/USDは次の水準の買いを期待しているのかもしれない。  米ドルの方向感をつかむためにも本日・明日のFRBメンバーの発言を注視したい。

 

フォレックス・ドットコムでは、ノックアウトオプション、FX、株価指数CFDを取引いただけます。
口座開設は以下のステップで行えます。

  1. 口座開設ページでご自身に最適なFOREX.com口座を選択
  2. 必要書類のアップロードとともに口座開設のお申込み
  3. 取引プラットフォームにログインしてお取引開始
  4.