- 2月10日 金曜日 (日本時間2月11日未明)、米国トランプ大統領は安倍首相と、就任後初の公式会談を実施します。
- トランプ大統領は、これまで進められてきたTPP (環太平洋戦略的経済連携協定) から離脱する大統領令に正式に署名。日本はTPPにおける主要参加国のひとつだったため、今後の動向について影響を受けています。
- また中国と日本の通貨政策に対し、自国貿易の利益のために通貨(中国元・日本円)の価格を安値誘導しているとして批判を強めています。
- さらに米ドルにつき、特にアジアの貿易相手国の通貨に対して「強すぎる」と高値になっていることへの懸念を明言し、安値への誘導を意図しているようにもとられています。
- 今回のトランプ大統領と安倍首相との会談は、主に貿易や投資関連の問題に集中したものになり、特に日本の米国に対する貿易黒字、日本からの米国の各種インフラプロジェクトへの投資、そしてドルと円の価値のバランスについての議論が出る見込みです。
- ドル円は2016年の第4四半期に急上昇。特に11月初旬にトランプ氏が大統領選で勝利したことで、ドルは劇的な上昇を見せました。
- ただ2017年の開幕から、トランプ氏の財政面や貿易面での政策について不確実性が増大していること、またFRBの示す金融政策の見通しのあいまいさが継続していることを受け、ドル円は一転して下落に戻る展開となっています。
- 結果として、2017年初頭に1ドル118円エリアにあったドル円は今週111円台まで下落しています。現在の112円レベルは、2016年の9月下旬から12月中旬の強い上昇に対してちょうどフィボナッチ・リトレースメントの38%レベルにあります。
- これまでのトランプ大統領のコメントにもとづく場合、今回のトランプ・安倍会談の目玉はこの「不公平」とされる円安とドル高について大統領がどのような議論を進めてくるかという点になるでしょう。安倍首相と日本にとり、これが即座に政策の重要な変更に直結する可能性は高くはありませんが、大統領からの通貨政策への圧力が今後の両国の貿易交渉の方向性を形作っていくことにはなりそうです。
- 今週、こうした圧力的発言がトランプ大統領によりさらに表明される場合、円高・ドル安基調の促進となり、ドル円は短期的に111.00や108.00のサポートラインを節目として、年初からの下落傾向がさらに進んでいく可能性があります。
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