
2020 年 11 月 3 日火曜日は、米国史上記録に残る大統領選挙日となるでしょう。歯に衣着せぬ現職の米国大統領、前副大統領、空前絶後の相次ぐ地政学的イベントや社会的イベントが注目となる 2020 年大統領選挙日は、世界中の金融マーケットに重大な影響を及ぼします。各種アセットの中でも、最も影響を受けることになるのは米ドル (USD) かもしれません。
では、2020 年大統領選挙日後、米ドルの価格はどうなるのでしょうか?この疑問に対する答えは、新型コロナウイルス感染拡大を受け現在難航中の経済回復、中央銀行の政策、そしてもちろん 11 月 3 日の最終集計に左右されます。
選挙後の米ドル
2020 年は、通貨の価値を左右する唯一の要因が不確実性と、米ドルにとって歴史的な年となりました。新型コロナウイルス (COVID-19) の感染拡大が始まった時期、世界中が米ドルを最高の「安全パイ」的アセットとみなしました。3 月中旬、USD インデックス (DXY) は 104.00 を突然超え、2002 年以来最高の水準に達しました。
新型コロナウイルスの感染拡大後、大規模な投げ売りが生じたことで流動性が失われ、連邦準備制度理事会 (Fed) が早急に対応を開始しました。政策が二転三転する中、ジェローム・パウエル議長率いる中央銀は無制限の量的緩和 (QE) プログラムを立ち上げました。
無制限 QE の下、ベンチマークのフェデラル・ファンド金利目標は無期限で 0.00~0.25% まで引き下げられ、FED は米国国債や住宅ローン担保証券を「無制限」の量で購入すると宣言しました。夏中を通して実施された史上稀にみる流動性のテコ入れが、続く USD のスランプの基盤を形成する流れとなりました。
無制限 QE の実施を受け、2020 年大統領選後の米ドルはどのような位置を占めることになるのでしょうか?通貨マーケットの専門家は、強いものから弱いものまで、結果として発生し得るさまざまなシナリオを予測しています。しかし現在は、選挙、社会、新型コロナウイルスをめぐる不確実性が非常に高いため、選挙後に米ドルがどうなるかを正確に予測する試みが行われているものの、勘に頼る部分が大きくなっています。
大統領選後の USD:上がるか下がるか?
選挙後の USD の価値を予測するにあたり、銀行業界とマーケットアナリストの間では、見方に大きな違いが生じています。最終的に、選挙後の米ドルをめぐる議論は、以下の 2 つのカテゴリーのどちらかに当てはまります。
米ドル高値
主要銀の多くが、2020 年年末に向けて USD は、少なくとも世界の他の通貨と比較して、上昇に向かうとみています。この予測は以下の 3 点に基づいています。
- 米国の経済が、世界規模の新型コロナウイルスによる影響からの回復をけん引するという期待がある
- 選挙日後は政治的リスクが弱まる
- 連邦政府は積極的な QE 政策を最終的に弱める
これらの要因が期待通り発生した場合、今秋行われる選挙後の米ドルの価値は、主要なライバルと比較して上昇する可能性があります。
米ドル安値
通貨マーケット専門家の間では、2020 年選挙の結果にかかわらず USD はマーケットシェアを失うだろう、というシナリオが定番となっています。BCA リサーチがまとめたデータによると、米国では収入格差が拡大し、社会的地位を変えることが難しくなっていることから、大衆寄りのポピュリズムや治安の悪化が広がっています。この 2 つの要因を基に、BCA の地政学ストラテジスト、マット・ガーケン氏は「トランプ大統領と共和党は政府全体のコントロールを完全に失う可能性が高い、という事実にマーケットが気付き始めている。」としています。さらにガーケン氏は、「マーケットは今のところは刺激策に反応している... しかし、政策は今後企業に厳しい方向へと舵を切るもよう」と予測しており、この方向は 11 月にどちらの政党が勝利を収めた場合でも実現するとみています。
本質的に、USD が上がるのか下がるのかという議論は、政治的不確実性と新型コロナウイルスの不確実性を中心に繰り広げられています。各個人がどちらの政党を支持するかということとは別に、連邦政府の政策、社会不安、政権交代が、2020 年大統領選後の米ドルの価値を決定する主要な要因になるとみられています。
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新型コロナウイルス関連の疑問
2020 年を通して新型コロナウイルスの感染拡大は、想定外のことであったかもしれませんが、為替マーケットを動かす典型的な要因となっています。USD/CHF や USD/JPY など安全パイとされてきたペアにおける周期的な変動から、USD の一時的な大規模の売りまで、新型コロナウイルスの感染拡大は過去に類を見ないレベルの不確実性をマーケットにもたらしました。
恐らく、新型コロナウイルスが最も大きな影響を及ぼすのは、11 月の米国大統領選挙の結果だと言えるでしょう。感染拡大の影響は多岐にわたっており、経済を劇的に停滞させ、社会不安を煽っています。
この現象を取り上げて、BCA リサーチは独自に新型コロナウイルス社会不安度ランキングを作成しました。同ランキングは、感染拡大初期の経済状況、医療のキャパシティ、ジニ係数および悲惨指数、政治不安の可能性といった要素に基づいています。BCA の「新型コロナウイルス社会不安度ランキング」で米国は、イタリア、スペイン、ギリシャに続く 12 位となっています。スウェーデン、ドイツ、韓国がそれぞれ、上から上位 3 位を占めている一方、中国は調査対象から外されています。
2020 年の大統領決定および選挙日後の米ドルの状況は、新型コロナウイルスに大きく影響を受けることになります。最終的には、感染拡大によって引き起こされた経済・社会不安を原因とする不確実性が高まったことを受け、投資家が米ドルを売る方向に動く可能性があります。しかし、CARES 法などの米国政府による刺激策の投入が功を奏した場合、力強い回復を受けて USD が 2020 年第 4 四半期の終盤に向けて上がる可能性があります。
終わりに
2020 年の大晦日まで、政治・経済・社会の分野で重大なイベントが引き続き発生していくでしょう。具体的に米国は、中国との激しい貿易戦争、新型コロナウイルスによる空前絶後の経済危機、広がる社会不安、大統領選を経験しています。他のイベントは発生していないとすると、これらの要素が、キャピタルマーケットにおける史上最高水準の不確実性に関与しているということになります。
このような現状にもかかわらず専門家の多くが、選挙結果が確定した後の米ドルについて明るい見通しを掲げています。例えば、BCA のストラテジストであるマット・ガーケン氏は、予測の中で「世界規模の危機が米国から発生した場合においてすら、投資家は米ドルを頼みの綱として確保しようとする。」と指摘しています。つまり、大きな不安が米ドルを取り巻いているものの、世界中の投資家が未だに米ドルを頼れる安全パイとみなしているのです。
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