
米ドル/円見通し
米ドル/円は200日間移動平均(137.12円)を上抜けして2022年12月の高値(138.18円)を超えたもの、相対力指数(RSI)は買われ過ぎの領域を前に反転し、強気相場の勢いが衰えていることを示唆している。
米ドル/円の上昇が勢いを失い、RSIは買われすぎの領域を前に反転
ここ最近の米ドル/円の値上がりは米国債利回りの上昇と軌を一にしていたが、今週初めからは高値と安値の上昇を続けるのに苦戦しており、月の高値(138.75円)から下落している。
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今後の見通しとしては、連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が米ドル/円の値動きを左右する可能性がある。FOMCは「経済は厳しい信用状況からさらなる逆風に直面する可能性が高い」と警告しており、さらに「厳しい信用状況は経済活動、雇用、インフレの重石になる可能性が高い」として、利上げサイクルを打ち止めるか、あるいは打ち止めに向かいつつあるように見える。
その結果として、FOMCは6月に経済予測サマリー(SEP)の更新を予定していることから、金融政策のフォワードガイダンスのさらなる調整を示唆するかもしれない。しかし一方で米国の経済データによって、パウエル議長と仲間たちはさらに政策の引き締めを迫られる可能性もある。新しい個人消費支出(PCE)価格指数は、持続的なインフレを示すと予想されているためだ。
FRBが重視するインフレ指標であるコアPCEは、3月の前年比4.6%から4月は前年比5.0%に上昇すると予想されている。FOMCは「金融政策のさらなる引き締めが必要な場合はその準備がある」としていることから、物価上昇の継続を示す証拠は、6月14日の次回金利決定でさらに25bpの利上げに踏み切るプレッシャーとなるかもしれない。
それまでは、日本銀行がイールドカーブ・コントロール(YCC)と量的・質的緩和(QQE)を堅持していることから、米ドルは日本円に対して上昇を続ける可能性がある。米ドル/円は2022年12月の高値(138.18ドル)を超え、昨年からの下落を引き続き逆にたどろうとするかもしれない。
以上を踏まえたうえで、FRBが利上げの可能性を維持していることから、米国の動向によって米ドル/円の価格が支えられると思われる。ただし相対力指数(RSI)の最近の動向からはより大きな揺り戻しの可能性も見てとれる。このオシレーターが買われすぎの領域に入る前に反転しているためだ。
Japanese Yen Price Chart – USD/JPY Daily
チャート作成:ストラテジスト、David Song
・米ドル/円は、200日間移動平均(137.12円)を上抜けして2022年12月高値(138.18円)を超えたものの、138.70円 (78.6%のフィボナッチエクステンション)から 140.00円 (23.6%のフィボナッチリトレースメント)の領域を超える勢いはなく、この6日間の値上がりは失速しているように見える。
・米ドル/円は、ここ最近の高値と安値の更新を続けることができておらず、長期的な移動平均線より上の価格を維持するのに苦戦する可能性がある。相対力指数(RSI)は70を前に反転していることから、これも強気相場の勢いが衰えたことを示している可能性がある。
・200日間移動平均(137.12円)を下回った場合、米ドル/円は136.00円(23.6%のフィボナッチエクステンション)へと押し戻されるかもしれない。その下での注目ポイントは132.60 円(38.2%のフィボナッチリトレースメント)~133.90 (23.6%のフィボナッチリトレースメント)となり、ここには月間安値(133.50円)も含まれる。
・一方、長期的な移動平均線より上の価格を維持できた場合は、138.70円(78.6%のフィボナッチエクステンション)~140.00円(23.6%のフィボナッチリトレースメント)の領域へと上昇する可能性がある。その上の注目エリアは 141.50円(38.2%のフィボナッチエクステンション)近辺となる。追加資料:
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