ドル/円、ユーロ/ドル見通し:注目の2つのトレード
ドル/円はFRBと日銀の政策金利決定を前に軟化。ユーロ/ドルはエネルギー供給懸念の再燃を背景に、ECBの見通しに注目が集まるなか、底堅く推移している。
著者: フィオナ・シンコッタ(FOREX.com アナリスト)
翻訳: 有里 林檎
2026年3月19日 午前11:43
ドル/円、FRBと日銀の政策金利決定を控え上値が重い
18日のロンドン外国為替市場でドル/円は、3日続落とはなるが小幅安にとどまっている。ドルは全般で軟化しており、原油価格が1バレル=100ドルを下回ったことでリスクセンチメントは落ち着きを取り戻している。
先週末には、中東情勢の緊迫化を受けた安全資産需要とエネルギー価格の上昇を背景に、ドルは約10カ月ぶりの高値まで急伸する場面があった。しかし、原油価格が反落するなかで、リスク選好がやや改善し、米株式先物が上昇を示唆していることが、ドルの重しとなっている。
市場の注目は今、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策金利決定に移っている。政策金利は3.50-3.75%で据え置かれる見通しが大勢だが、焦点は最新の経済成長率やインフレ見通し、ドット・プロットに向けられており、今後の金融政策の方向性を探る手掛かりとなりそうだ。
市場ではすでに利下げ観測が後退しており、現在は最初の25ベーシスポイント(bp)の利下げが早くても9月以降になるとの見方が織り込まれている。インフレ見通しが上方修正され、FRBがよりタカ派的なトーンを示した場合には、利下げ時期の想定がさらに後ろ倒しされ、ドルを改めて下支えする要因となりそうだ。
一方、ドルの通貨ペアに目を向けると、原油価格の落ち着きや、来週に控える日銀の金融政策決定を前にしたポジション調整を背景に、円は小幅ながら支えられている。日銀は政策金利の据え置きが見込まれているものの、エネルギー価格上昇の影響を見極めるなかで、ややタカ派的な姿勢を示す可能性がある。
日本は、特に中東からの輸入が多く、エネルギー輸入への依存度が高いため、原油価格の変動による影響を受けやすい構造にある。このため日銀は、エネルギーコスト上昇によって景気が下振れするリスクと、インフレ圧力を抑制する必要性との間で、難しい舵取りを迫られている。
日銀会合後の記者会見での植田総裁の発言は、次回利上げの時期を見極めるうえで重要な手掛かりとなるだろう。より明確な方向転換は、日銀が四半期ごとの経済・物価見通しを公表する4月に示される可能性がある。市場では現在、利上げの確率をおよそ70%と織り込んでいる。仮にハト派的なシグナルが示されれば、過去に為替介入が行われた水準付近にある円にとって、下押し圧力になりかねない。
ドル/円見通し ― テクニカル分析
ドル/円(USD/JPY)は152.20の安値からの回復基調を強め、159.75まで上昇した後、足元ではやや上値が重く、現在は下降チャネルの下限を試す動きとなっている。
チャネルを下抜けた場合、2月10日の高値および昨年12月の高値にあたる157.80が視野に入る。この水準を売り方が明確に割り込めば、短期的な上昇トレンドは否定され、50日単純移動平均線(50 SMA)が位置する156.50が意識される。さらに下では、154.50が次の焦点となる。
一方で、チャネル下限が維持されるようであれば、買い方は159.75および160.00の突破を狙い、高値更新による上昇トレンドの継続を目指す展開となるだろう。その場合、162.00が次の上値目標として浮上する。
ドル/円 日足チャート
出所:TradingView
ユーロ/ドルしっかり、エネルギー供給不安再燃も
ユーロ/ドル(EUR/USD)は、米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)を含む主要中銀の政策決定が相次ぐ重要な週を前に、1.1550付近で落ち着いた動きとなっている。
ECBは、政策金利を2.0%で据え置く見通しで、これにより6会合連続の現状維持となる見込みだ。ユーロ圏のインフレ率は目標である2%近辺で推移しており、景気見通しを巡る不透明感もあることから、現時点で政策調整を急ぐ緊急性はほとんどないとみられている。
ただし、足元でのエネルギー価格の急上昇は、スタグフレーション再燃リスクを改めて意識させる要因となっており、ECBの政策運営を一段と難しくしている。政策立案者は、現行の金融政策は適切な対応との認識を繰り返し示すと同時に、経済指標データ次第で柔軟に対応する姿勢と、必要であれば行動する用意があることを強調するとみられる。
同時に、エネルギーコストの上昇が経済成長の重しとなる可能性を踏まえ、当局は金融引き締めを急ぎすぎることには慎重な姿勢を維持するとみられる。それでも、原油価格の上昇が今後数カ月でインフレを押し上げるリスクを反映し、これまでの会合と比べて、コミュニケーションのトーンがややタカ派寄りに傾く可能性はある。
市場では現在、年内に約40bpの引き締めが織り込まれているが、FRBが利下げに向かうと見られている状況を踏まえると、やや過剰な織り込みと言えるかもしれない。ECBとFRBの金融政策見通しが逆方向に織り込まれるケースは、極めて珍しい。
それでも、原油価格が高止まりする局面では、たとえ利上げ観測が織り込まれたとしても、ユーロは上値の重い展開が続く可能性がある。
短期的なユーロ/ドルの方向性は、FRBが示す見通しや見解に大きく左右されるだろう。特に、ドット・プロットやパウエル議長の記者会見が、米国とユーロ圏の金利差に対する市場の見方を形成する重要な材料となる。
ユーロ/ドル見通し ― テクニカル分析
ユーロ/ドルは、2026年高値の1.2080で上値を抑えられて反落し、50日・200日単純移動平均線(SMA)および上昇チャネルを下抜けた後、1.14付近でサポートを見出した。その後は反発しているものの、基調は依然として弱気寄りとなっている。
売り方が1.14を明確に割り込むことができれば、安値をさらに切り下げる展開となり、1.12、さらに昨年5月の安値1.1085が次の下値目標として意識されよう。
一方、1.14からの反発が勢いを増すようであれば、買い方はまず1.1580付近(1月安値)、続いて上昇チャネルの下限にあたる1.1630のレジスタンスを試す展開が想定される。これらを上抜けた場合、200日単純移動平均線と下降トレンドラインが重なる1.1680が次の焦点となり、相場の地合いは一段と安定する可能性がある。
ユーロ/ドル 日足チャート
出所:TradingView
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(3月18日付記事「USD/JPY, EUR/USD Forecast: Two trades to watch」、FOREX.comシニアマーケット・アナリストのFiona Cincotta著)