【S&P500見通し】株価上昇の謎に迫る:AI、利下げ、それとも景気拡大期待?
主要な米国株価指数は先週、新たに史上最高値を更新し、関税措置や経済指標などファンダメンタルズ要因のリスクを無視し続けている。それらのリスクに追い詰められた場合、市場は何を正当化の根拠とするのか? そして、迫っている脅威とは?
今週は、米政府閉鎖解除への楽観論が新たなAI関連リスクによって相殺される中、方向性が見えないスタートとなった。
2025年11月11日 午前10:31
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• 米政府閉鎖の終了間近か、米ドル上昇へ
• 米テック株に新たなAI脅威 ー 中国のKimiモデル
• 10日はアジアのテック株に注目
• 相殺し合う要因、豪ドル/円の動きが焦点に
週末明けの市場は複雑な状況だ。米政府機関の閉鎖終息への楽観ムードがドルを小幅高に促した一方、先週後半に中国の新興AI研究所ムーンショット(Moonshot)が発表した新推論モデル「Kimi K2 Thinking」が市場に新たな不透明感をもたらしている。今年初めにディープシーク(DeepSeek)から同様の発表が出されたが、注目を集めるまでに数日かかり、その後米国のハイテク株が急落するきっかけとなった。このような経緯もあるため、リスク選好が当面持続している状況下で、週明け10日のアジアハイテク株の動向は注視に値する。政府閉鎖に関する新たな進展やAI関連銘柄を再評価する兆候が見られれば、市場ムードは急変する可能性がある。
豪ドル/円(AUD/JPY)は景気循環リスクを測りやすい通貨と資金調達通貨を組み合わせた通貨ペアで、広範なセンチメントを見極める際に明確な指標であり続けている。
米国政府の閉鎖が史上最長となった一因である共和党と民主党のこう着状態は、終焉を迎えつつあるようで、10 日のアジア市場早朝の取引では米ドルが小幅に上昇した。共和党のジョン・スーン上院院内総務は9日、2026年1月末まで主要機関に、同年9月までその他の機関に資金を支出するなど、修正した予算案を予備採決する予定で、合意が「まとまりつつある」と述べた。
このニュースは、政府閉鎖による経済への悪影響に関する懸念を和らげる一助となった。上院民主党議員の一団は、連邦政府職員に対する保護策が盛り込まれるならば、この合意を支持する意向だと報じられている。これにより、60 票という過半数の賛成票を確保するのに十分な票数が得られる可能性があるが、下院民主党議員は依然として反対姿勢を示しており、オバマケア(医療保険制度)の補助金を 1 年間延長することを引き続き要求している。
上院の採決が可決されたとしても、政府機関の閉鎖が早期に終息する保証はない。ホワイトハウスは妥協案をほとんど提示しておらず、こう着状態が長引くほど、消費者心理や経済全体の成長の勢いに対するリスクが高まる。航空便の混乱が拡大し、予備資金も底をつきつつある中、感謝祭休暇前に解決を図りたいとする気運が高まっている。
中国のスタートアップ企業ムーンショットは最新AIモデル「Kimi K2 Thinking」を発表し、「推論・エージェント性能」においてChatGPTを上回ると主張している。これは、ユーザーが求める答えに対する詳細な説明を必要とせずユーザーのリクエストを理解することを意味する。同モデルはわずか460万ドルの費用で、数百のツールを自動的に選択してタスクを完了できるという。アリババの支援を受け完全オープンソース化されている同モデルは、資本集約型モデルが支配する米国市場に新たに真正面から挑む姿勢を示している。
タイミングが注目される。エヌビディアのジェンセン・フアン最高経営責任者(CEO)は今週、米国がAI分野で中国に後れを取るリスクがあると警告した。今回の発表は、1月に注目を集めたディープシークを彷彿とさせる。一躍脚光を浴びたが、投資家が数十億ドル規模に及ぶディープシークのAI投資の価値を見直した後、米国ハイテク株は急落した。
Kimiが普及すれば、ディープシークと同様の反応を引き起こす可能性がある。中国モデルがわずかなコストで実用性を証明する中、米国企業は支出の正当性を説明せざるを得ない状況に追い込まれている。したがって、再評価の機会が再び訪れるのも時間の問題かもしれない。

出所:TradingView
外国為替市場において、豪ドル/円は恐らく、広範なセンチメントを最も明確に反映する通貨ペアである。豪ドルという景気循環リスクを示す指標と、資金調達通貨である日本円が組み合わさっているためだ。リスク選好姿勢が強まると、この通貨ペアは上昇する傾向にある。しかしセンチメントが悪化すると、ロード・ランナーを追いかけて崖から転落するワイリー・コヨーテを彷彿とさせる動きを見せることが多い。上昇時は階段で、下落時はエレベーター——本日のような日には注目すべきペアである。
先週後半、豪ドル/円は98.82で2度反発し、これが最初の重要な下落水準となった。次に注目すべきは97.33に位置する50日移動平均線と、97.00直下の強気トレンドのサポートラインだ。上値では、100.30が過去1カ月でサポートとレジスタンスの両方の役割を果たしており、注目すべき水準である。これを突破すれば、10月30日のスイングハイである101.21、続いて2024年11月に付けた高値102.40が視野に入る。
モメンタム面では、14日RSI(相対力指数)とMACD(移動平均収束拡散手法)のシグナルがロングポジションへの警戒を示唆している。両指標は高値圏内ながら下降傾向にあり、上昇の勢いが減退していることを示している。現時点では弱気を示唆しているとまでは言えないが、価格が下落し始めれば状況は急変する可能性がある。
グローバル経済において、根本的な市場のテーマや相場の流れを構築する可能性のある主要なイベントや指標とは? 毎週更新される経済指標カレンダーで世界の主要イベントを確認できます。
(11月10日付記事「AUD/JPY in focus as shutdown hopes clash with AI repricing risk」、City Indexマーケット・アナリストのDavid Scutt著)
主要な米国株価指数は先週、新たに史上最高値を更新し、関税措置や経済指標などファンダメンタルズ要因のリスクを無視し続けている。それらのリスクに追い詰められた場合、市場は何を正当化の根拠とするのか? そして、迫っている脅威とは?
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