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ドル円の週間見通し:嵐の前の静けさ? 数十年ぶりの高値圏でこう着

米国のインフレ指標が予想以上に鈍化したにもかかわらず、円は引き続き軟調に推移している。一方、ドル/円は重要なレジスタンスの直下で値動きが小さくなっており、今週は、次の大きな値動きの方向性を決定づける可能性のあるイベントと重要な価格水準に注目したい。

ドル円の週間見通し:嵐の前の静けさ? 数十年ぶりの高値圏でこう着

目次

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•   円相場は強気材料となるはずだったニュースに無反応

•   ハイテク企業の決算が経済指標よりも重要になる可能性

•   従来のドル/円の変動要因は影響力を失いつつある

•   モメンタムやテクニカル面は依然として上昇を後押し

大局的な流れは変わっていない

ドル/円(USD/JPY)は、数十年ぶりの高値圏をわずかに下回る水準で今週の取引を開始した。同通貨ペアは上値突破に苦戦しているものの、価格変動幅は引き続き縮小しており、次なる大きな動きとして、数十年ぶりの新高値へのブレイクアウトが起こる可能性が高まっている。

先週は、円安が持続するという大局的な見通しにほとんど変化はなかった。通常であれば、米国のインフレ鈍化はドル安要因となるはずだが、湾岸地域の緊張が高まったことでエネルギー価格が再び上昇し、その影響が相殺された。

原油価格の上昇は今年に入り、円にとって繰り返し逆風となっている。世界最大のエネルギー生産国であり、エネルギー純輸出国である米国は、依然として輸入燃料への依存度が高い日本よりも、エネルギーコストの上昇を吸収する余地がはるかに大きい。これは、交易条件やエネルギー安全保障の観点から日本の脆弱性を露呈するだけでなく、エネルギーコストの上昇が米国のインフレ圧力を高め、米連邦準備制度理事会(FRB)がより長期にわたり金融引き締め政策を維持せざるを得なくなるリスクも残している。

市場のFRB金利予想

出所:TradingView

これが、通常であれば円高材料となるはずの日本発のニュースに対し、先週金曜に市場の反応が鈍かった理由を説明しているのかもしれない。ロイター通信は、政府が金融政策の決定における日銀の独立性を再確認すると報じ、このニュースは、表面的には円高材料となるはずだった。また、別の報道では、政策当局者が、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に対し、国内資産への資金配分を拡大するよう促す方法を引き続き模索していると伝えられた。

こうした報道があったにもかかわらず、いずれも市場に大きな反応は見られなかった。わずか1週間前には同様の報道が円相場の急騰を引き起こしていたことを考えると、繰り返し報じられるGPIF関連のニュースに対する市場の関心の低さは特に顕著だった。市場はすでに次の話題に移っているのだ。

経済イベントは少ないが、静かな1週間とはいえない

出所:FOREX.com

今週は、ドル/円を動かす可能性が特に高そうな目立つ材料は見当たらない。FRBは来週開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、会合前のブラックアウト期間(会合参加メンバーが金融政策に関する対外発言を制限される期間)に入っている。日本では全国消費者物価指数(CPI)が発表されるが、市場に大きな反応をもたらすことはめったにない。市場は、東京都区部のCPIや、最近では日銀が重視する「基礎的なインフレ率」の指標にはるかに大きな重きを置く傾向にあるが、これらは来週まで発表されない。

また、日本では月曜に「海の日」の祝日があり、流動性は通常より低くなる見込みだ。

そのため、主要なイベントリスクとしては、中東情勢の展開と、今週も相次ぐハイテク企業の決算発表が挙げられる。先週終盤にかけて人工知能(AI)関連株の売り圧力が強まったことを受け、アルファベット、テスラ、インテル、およびメモリチップメーカーのSKハイニックスの決算が注目されるだろう。この弱含みが続けば、キャリートレードの巻き戻しを引き起こし、ドル/円に下値リスクをもたらす可能性がある。

ただし、それがドル/円の重要な変動要因となるかどうかは、また別の問題だ。

市場は方向感を失う

ドル/円を動かす市場要因の影響度

出所:TradingView

上記の相関チャートからは、過去1カ月あるいは1四半期において、単一の要因がこの通貨ペアを一貫して動かしてきたという証拠はほとんど見られない。日米間の2年物および10年物の利回りスプレッドとの相関関係はいずれも弱く、リスクセンチメントを広く測る指標との相関も限定的だ。

過去1週間において、ドル/円との最も強い相関関係を示したのは、今後1年間のFRBの利上げ予想だった。これは注視に値するが、米国債利回りからは同様のシグナルが見られないことから、これが主要な変動要因となったと結論付けるには時期尚早である。

ドル/円、レジスタンス下でこう着状態

ドル/円:4 時間足チャート

出所: Tradingview

テクニカル面から見ると、ドル/円は今月初めにつけた数十年ぶりの高値圏の下方で、もみ合いが続いている。4時間足チャートでは、7月1日の高値を起点とした下降トレンドラインと、7月3日の安値から引かれた上昇トレンドラインに挟まれ、取引レンジが狭まりつつある。両トレンドラインを複数回、試す動きが確認されていることから、決定的な動きが間近に迫っている可能性が示唆される。

月曜早朝の取引で、価格は一時的に下降トレンドのレジスタンスを上回ったものの、その動きはまだ定着していない。それでも、全体的なテクニカルな状況は引き続き上昇を支持している。相対力指数(RSI、14)は中立水準である50を再び上回り61まで上昇しており、MACD(移動平均収束拡散法)は強気のクロスオーバーを完了し、シグナルラインとの乖離が続いている。

トレンドラインのレジスタンスを確実に上抜ければ、7月1日の高値である162.84が再び注目されることになるだろう。調整局面の規模を考慮すると、上抜けに成功すれば、数円規模の値動きも生じ得るため、強気筋にとっては164、さらには165も視野に入る可能性がある。

一方、下値については、上昇トレンドラインが引き続き、最初のサポート水準となる。これを下回った場合、161.50および過去数十年ぶりの高値である160.73が注視すべき重要な水準となる。

経済指標カレンダーをチェック

グローバル経済において、根本的な市場のテーマや相場の流れを構築する可能性のある主要なイベントや指標とは? 毎週更新される経済指標カレンダーで世界の主要イベントを確認できます。 (7月20日付記事「USD/JPY Weekly Outlook: Coiling beneath multi-decade highs」、FOREX.comのマーケット・アナリストDavid Scutt著)

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