【本日の東京為替見通し】ファースト・リパブリック銀行関連の報道に要警戒か、今週はFOMC

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【前日の為替概況】ドル円 136.56円まで大幅上昇、ユーロ円が14年半ぶりの高値を記録

28日のニューヨーク外国為替市場でドル円は大幅に続伸。終値は136.30円と前営業日NY終値(133.97円)と比べて233銭程度のドル高水準だった。日銀は今日まで開いた金融政策決定会合で、現行の大規模な金融緩和策の維持を決定。植田和男総裁が定例記者会見で「安定的・持続的な物価上昇の実現に向けて、もう少し辛抱して粘り強く、金融緩和を続けたい」との考えを示すと、円全面安の展開となった。

NYの取引時間帯に入ると、3月米個人消費支出(PCE)デフレーターや13月期米雇用コスト指数が上振れたことで、米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めが長期化するとの観測が改めて強まり円売り・ドル買いが加速。2330分前に一時136.56円と310日以来の高値を更新した。その後の下押しも135.96円付近にとどまった。

ユーロドルは小幅ながら続落。終値は1.1019ドルと前営業日NY終値(1.1028ドル)と比べて0.0009ドル程度のユーロ安水準だった。13月期ユーロ圏域内総生産(GDP)速報値や4月独消費者物価指数(CPI)速報値が予想を下回ったことでユーロ売り・ドル買いが先行。米インフレ指標の上振れが伝わると一時1.0963ドルと日通し安値を更新した。

ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢となり下げ幅を縮めた。欧州の根強いインフレ懸念から、欧州中央銀行(ECB)による利上げ継続を見込んだユーロ買い・ドル売りが入ったほか、月末のロンドン16時(日本時間24時)のフィキシングに絡んだユーロ買い・ドル売りのフローが入ると1.1045ドルと日通し高値を付けた。もっとも、引けにかけては1.1012ドル付近まで押し戻された。

ユーロ円は大幅に3日続伸。終値は150.07円と前営業日NY終値(147.71円)と比べて236銭程度のユーロ高水準。大規模な金融緩和策を継続する日銀と、利上げ継続中のECBとの金融政策の方向性の違いが鮮明となり、円売り・ユーロ買いが活発化した。節目の150円を突破し、24時前には一時150.43円と200810月以来およそ14年半ぶりの高値を更新した。その後の下押しも149.89円付近にとどまった。

メキシコペソは堅調。WTI原油先物相場の上昇を背景に産油国通貨とされるメキシコペソに買いが入った。ドルペソは一時17.9657ペソ、ペソ円は7.58円までペソ高に振れた。この日発表された13月期メキシコGDP速報値が前期比1.1%/前年比3.9%と予想の前期比0.8%/前年比3.3%を上回ったことも相場の支援材料。

 

【本日の東京為替見通し】ファースト・リパブリック銀行関連の報道に要警戒か、今週はFOMC

本日の東京外国為替市場のドル円は、2-3日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて動きづらい展開か。東京市場はゴールデン・ウィーク、海外市場はメーデーということも、動意に乏しさにつながってしまうかもしれない。しかしながら米国では、シリコンバレーバンクとシグネチャー・バンクに続く3行目の経営破綻が警戒されている「米地銀のファースト・リパブリック・バンク」に関する報道には要警戒となる。

先週末のドル円は、植田日銀総裁にとっての初の日銀金融政策決定会合で、現状の大規模な金融緩和策の維持が決定されたことで、136.56円まで上昇。200日移動平均線(※以下200MA137.00円に迫る円全面安の展開となった。

昨年1220日の日銀金融政策決定会合では、イールドカーブコントロール(YCC)の変動幅の拡大が決定された。これを受けてドル円は、その当時137.91円に位置していた200MAを抵抗線にして、高値137.48円から130.58円まで急落していた。その後、今年38日には、パウエルFRB議長の0.50%利上げ示唆を受けて137.91円まで上昇して、その時の200MA137.44円を上抜けたものの、シリコンバレーバンクやシグネチャー・バンクの経営破綻を受けて失速していた。

ドル円が攻防の分岐点である200MAを上抜けて140円台に上昇するには、日銀の大規模金融緩和の長期化と、米連邦準備理事会(FRB)による高金利長期化、すなわち、日米10年債利回り格差の拡大観測が必要だと思われる。3日に公表されるFOMC声明には要注目だ。

先週末時点でのCMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、3FOMCでの0.25%の追加利上げ確率は8割程度となっている。6月から9月は据え置き、そして11月は0.25%の利下げ確率が高まり、12月には4.50-75%へ引き下げられる確率が高くなっており、3FOMCでのドット・プロットの5.00-25%とは0.50%の乖離となっている。

またユーロ円は先週、20089月のリーマンショック前の水準である150円台に乗せている。政策金利3.50%を目指している欧州中央銀行(ECB)とマイナス金利(▲0.10%)の緩和策を維持する日本銀行の金融政策の乖離が背景だ。

ここから注意したいのはユーロ圏の景気動向か。1-3月期域内総生産(GDP)は前期比+0.1%と発表され、2四半期連続のマイナス成長となるリセッション(景気後退)は回避した。しかし、ユーロ圏の名目潜在成長率(潜在成長率+期待インフレ率)は3%であり、政策金利が3.5%まで引き上げられた場合、「オーバーキル」により景気減速への警戒感が高まることになる。

 

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

14:004月消費動向調査(消費者態度指数 一般世帯、予想:35.0

 

<海外>

22:454月米製造業PMI改定値(予想:50.4

23:004月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:46.6

23:003月米建設支出(予想:前月比▲0.1%)

○中国、香港、シンガポール、韓国、トルコ、南アフリカ、スウェーデン、ノルウェー、ポーランド、スイス、フランス、ドイツ、メキシコ、ブラジル(以上、メーデー)、英国(アーリーメイバンクホリデー)、ロシア(春と労働の祝日)、休場

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

28日13:02 日本銀行声明

「金融政策運営について1年から1年半程度の時間かけ多角的にレビュー」

「必要あればちゅうちょなく追加的な金融緩和措置講じる」

「日本経済めぐる不確実性は極めて高い」

 

28日15:36 植田日銀総裁

「今回の会合で金融政策の先行き指針を一部修正して、整理・明確化した」

「拙速な引き締めで2%物価目標が達成できないリスクの方が大きい」

「新型コロナ感染症に基づいた政策方針、政府の分類変更や経済などへの影響リスク低下したので整理した」

「四半世紀の政策レビュー、多角的に分析して今後の政策運営に有益な知見得るため」

「足元のインフレ率はかなり高いが、今年度後半には2%下回る」

「物価、下がっていった後の反転上昇には様々な前提が必要で不確実性が高いとの声が政策委員には多い」

「物価目標達成、ある程度の可能性見えてきているとの声が複数の委員からあった」

「政策レビュー、どういう種類の政策運営につながるか現時点で決まってない」

「政策レビュー、内部の分析に加え外部の有識者招いた研究会や学者への個別ヒアリング・金融経済懇談会などの活用を検討」

「政策レビュー、目先の政策変更に結び付けてやるものではない」

「政策レビューを実施していても、政策変更の必要があれば実行していく」

「政策レビュー、途中経過を発表しても政策変更に結びつくわけではない」

「欧米の金融不安を受けた市場環境は一応安定しているが、経済の不確実性の高まりとして織り込んで今日の決定になった」

「米中堅銀行への不安残る、今後それがどう表れるか注意深く見守らないといけない」

「金融緩和の副作用も認めざるを得ない、注意深く分析進めつつできる限り情報発信していきたい」

「副作用対策として、今時点で何かを考えているわけではない」

「企業収益など経済変数の動き見ていく中で、物価2%持続的に達成されると判断の可能性もある」

 

「非伝統的な政策のレビューとして、過去25年間を対象とするのは適切」

「過去の時間軸政策や量的緩和検証することで、将来同じ状況になったときに知見が役に立つ」

「YCCの副作用がまったくなくなったわけではない」

「金利ガイダンスの削除は、緩和を粘り強く続けるという文言の中で読み込むと整理したつもり」

「物価上昇は、賃金の上昇や企業収益の増大を伴う必要がある」

「われわれの少し先のインフレ見通しはまだ自信の度合いが低い」

「基調的なインフレ動向が安定的に2%実現までは、長短金利のイールドカーブ・コントロールを続ける」

「政策『レビュー』という用語は、近い将来の政策変更と結びつく点検・検証という言葉からは少し距離置いた」

「展望リポートの2025年度コアCPIの+1.6%は少し低い」

「短期の政策決定に必要な分析は毎回の政策決定会合で行っていく」

「政策レビューの間に金融緩和の正常化始める可能性もゼロではない」

「長引く緩和の副作用をどう減少させていくかという点も政策レビューに含めていきたい」

「一時的な為替の変動にはコメント控えたい」

 

29日00:08 バー米連邦準備理事会(FRB)副議長(銀行監督担当)

「銀行の流動性と資本要件の改善を検討」

「シリコンバレー銀行の破綻は経営ミスと不適切な監督が原因」

「より幅広い銀行対象に基準の強化を求める」

※時間は日本時間


〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=転換線を大きく上回る、上値では200日線を意識>

大陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで三役好転の強い買いシグナルが点灯している。2手連続陽線で転換線を大きく上回って引けており、続伸の可能性が示唆されている。上値では200日移動平均線137.00円が意識されそうだ。

本日は転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2      137.91(3/8高値)

レジスタンス1      137.383/9高値

前日終値                        136.30

サポート1           134.79(日足一目均衡表・転換線

サポート2           133.49(日足一目均衡表・基準線

 

<ユーロドル=本日引け水準次第で「上げ三法」

小陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けており、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。2手連続陰線で反落し、一時は転換線を割り込んだものの引けは同線を上回った。そのため反発の可能性が残されている。なお本日1.0968ドル以上で引ければ「上げ三法」の買いシグナルとなる。

本日は、1.09ドル前半の基準線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1      1.10954/26高値)

前日終値                        1.1019

サポート1           1.0920(日足一目均衡表・基準線)

 

<ポンド円=上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンス>

大陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていること、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。3手連続陽線で転換線を大きく上回って引けているため続伸の可能性が示唆されている。

3円以上の大幅上昇の後でもあり、ある程度の調整は予想されるものの、本日も上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1      172.132022/10/31高値)

前日終値                        171.11

サポート1                       168.39(日足一目均衡表・転換線)

 

NZドル円=84円前半の200日線を巡る攻防に注目>

大陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けたことで、三役好転の強い買いシグナルが点灯。2手連続陽線で転換線を上回って引けているため続伸の可能性が示唆される。本日は84.26円付近の200日移動平均線を巡る攻防が注目。基本的には転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1      85.28(3/3高値

前日終値                        84.26

サポート1                       82.95(日足一目均衡表・転換線

chart 1

chart 2
  情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社

 

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