【本日の東京為替見通し】ドル円、米4月CPI+4.9%や明日の債務上限協議懸念で軟調推移か

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【前日の為替概況】ドル円 134.11円まで下落、米4CPIが前年比+4.9%へ低下

10日のニューヨーク外国為替市場でドル円は4営業日ぶりに反落。終値は134.34円と前営業日NY終値(135.23円)と比べて89銭程度のドル安水準だった。注目の4月米消費者物価指数(CPI)の発表を前に思惑的なドル買いが先行し一時135.41円付近まで値を上げたものの、アジア時間に付けた日通し高値135.47円がレジスタンスとして意識されると失速した。

4月米CPIが前年比で4.9%上昇と予想の5.0%上昇を若干下回り、2年ぶりの低水準を記録したことが伝わると、米長期金利の低下とともに円買い・ドル売りが活発化。一時は210ドル超上昇したダウ平均が失速し、320ドル超下落したことも相場の重しとなり、134.11円と日通し安値を更新した。

ユーロドルは3日ぶりに反発。終値は1.0982ドルと前営業日NY終値(1.0962ドル)と比べて0.0020ドル程度のユーロ高水準だった。米インフレ指標発表前に全般ドル買いが進んだ流れに沿って一時1.0942ドルと日通し安値を付けたものの、米CPIの結果が伝わると米金利の低下とともにドル売りが優勢となった。「欧州中央銀行(ECB)の一部当局者はインフレを十分に抑制するため、9月の利上げが必要な可能性を受け入れ始めつつある」との観測報道を受けて、ECBの利上げ継続観測が高まるとユーロ買いも進んだ。2330分前には一時1.1007ドルと日通し高値を更新した。

ただ、1.1ドル台では利食い売りや戻り売りなどが出たため、滞空時間は短かった。ダウ平均が下落したタイミングでリスク・オフのドル買いが入ると、一時1.0962ドル付近まで下押しする場面があった。

ユーロ円は続落。終値は147.56円と前営業日NY終値(148.23円)と比べて67銭程度のユーロ安水準。欧州株相場の下落やダウ平均の失速を背景に投資家がリスク回避姿勢を強めると円買い・ユーロ売りが優勢となった。230分過ぎには一時147.04円と日通し安値を更新した。

クロス円も軟調だった。ポンド円は一時169.11円、豪ドル円は90.51円、NZドル円は85.07円、カナダドル円は100.02円、スイスフラン円は150.61円、南アフリカランド円は7.09円まで値を下げた。

 

【本日の東京為替見通し】ドル円、米4CPI+4.9%や明日の債務上限協議懸念で軟調推移か

本日の東京外国為替市場のドル円は、米国4月の消費者物価指数(CPI)が前年比+4.9%だったことや明日予定されている米国債務上限引き上げを巡る協議への警戒感から軟調推移が予想される。

850分に公表される日銀金融政策決定会合における主な意見(42728日分)では、フォワードガイダンスの撤廃や金融政策運営の検証に関して精査することになる。

植田日銀総裁にとっての初めての金融政策決定会合は、金融政策の現状維持が決定され、政策金利についてのフォワードガイダンスが削除され、1998 年の新日銀法施行以降の金融政策運営を「1年から1年半程度の時間をかけて、多角的にレビュー」することが決定された。植田日銀総裁は、会見で、レビュー期間中の金融政策の変更の可能性に言及しており、主な意見では、変更の条件などのヒントを見極めることになる。

米国4月のCPIは、前年比+4.9%と発表され、3月の前年比+5.0%から伸び率が低下した。CPIは、昨年6月の前年比+9.1%をピークにして伸び率が鈍化傾向にある。米連邦準備理事会(FRB)のインフレ指標は、PCE総合価格指数なので、526日の発表を待つことになる。しかし、FF金利誘導目標の下限5.00%が、CPIの前年比+4.9%を上回っているため、追加利上げの可能性が低下したことになる。すなわち、FRBは、これまでの10回に及ぶ利上げ路線から、FF金利誘導目標5.00-25%の高金利維持路線によりインフレを抑制する政策に変わった可能性が高まったことで、ドルの上値を抑える要因となる。

シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、6月と7FOMCでは政策金利据え置きの確率が高いものの、9月と11月では0.25%の利下げ確率が高まり、12FOMCでは、FF金利誘導目標が4.25-50%へ引き下げられる確率が高まっている。

米国の債務上限引き上げ期限とされる61日の「Xデイ」に向けて、9日のバイデン米大統領と議会指導者達との協議が不調に終わったことで、明日12日にも再び会談が予定されている。そして、バイデン米大統領は、公的債務に関する合衆国憲法修正第14条の発動を検討していることを明らかにした。2011年のオバマ第44代米大統領とホワイトハウス、そして現在のホワイトハウスの政権当局者は、合衆国憲法修正第14条は、法廷闘争を乗り切る可能性の低い最後の策として却下しており、バイデン米大統領のブラフに過ぎないのかもしれない。

 

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

08:50 ◇ 日銀金融政策決定会合における主な意見(42728日分)

08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース、2週分)

08:503月国際収支速報

◇ 経常収支(予想:季節調整前29473億円の赤字/季節調整済13110億円の黒字)

◎ 貿易収支(予想:4500億円の赤字)

14:004月景気ウオッチャー調査(予想:現状判断指数54.1/先行き判断指数55.1

○主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議(新潟市、13日まで)

 

<海外>

08:014月英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格(予想:▲40

10:304月中国消費者物価指数(CPI、予想:前年比0.4%)

10:304月中国生産者物価指数(PPI、予想:前年比▲3.2%)

16:003月トルコ経常収支(予想:52.0億ドルの赤字)

19:30 ◎ デコス・スペイン中銀総裁、講演

20:00 ☆ 英中銀(BOE)、政策金利発表(予想:4.50%に引き上げ)

20:00 ☆ 英中銀MPC議事要旨

20:30 ◎ ベイリーBOE総裁、記者会見

21:00 ◎ シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演

21:304月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.3%/前年比2.4%)

◎ 食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比3.3%)

21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:24.5万件/182.0万人)

21:45 ◎ カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、討議に参加

23:15 ◎ ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、討議に参加

1202:00 ◎ 米財務省、30年債入札

1202:30 ◎ デギンドスECB副総裁、講演

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

10日06:17 米共和党のマッカーシー下院議長

「債務上限交渉で新たな動きは見られない」

「バイデン大統領や議会指導者らは12日に再び会談する」

 

10日07:47 バイデン米大統領

「予算について議会で話す準備ができている」

「米国は歳出と赤字を削減できる」

「協議は生産的だった」

「マッカーシー(下院議長・共和党)案は国民に痛手を与える」

「デフォルトに陥ることは無い」

 

10日13:16 植田日銀総裁

「物価安定の実現になおしばらく時間を要する」

「出口局面の政策運営を具体的に議論できる状況にない」

「ETFの買い入れは特段大きな問題が生じるとは思わない」

 

10日15:28 ナーゲル独連銀総裁

「利上げは最終段階に入りつつあるだろう」

「利上げはまだ終わっていない」

「コアインフレについてまだやるべきことがある」

「ECBの金融政策には非常に満足」

 

10日23:03 ポーランド中銀声明

「今後の決定はデータ次第」

「ズロチ高はインフレ抑制につながる」

「為替市場に介入の可能性ある」

 

11日00:41 センテノ・ポルトガル中銀総裁

「金利調整はなお進行中」

「金利は歴史的に高くはないが、急速に上昇している」

「ECBの政策金利はピーク後もしばらく高止まりするだろう」

「2024年中には金利が下がり始めるはずだ」

 

11日03:04 ビルロワドガロー仏中銀総裁

「インフレ率は依然として高過ぎるがピークは越えた」

「インフレ率が2%に近づくのは早くても2024年末となるだろう」

※時間は日本時間


〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで三役好転の強い買いシグナルが点灯中。しかし、3手連続陽線の後の抱き線で反落して転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。

本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2      136.63(5/3高値)

レジスタンス1      135.64(日足一目均衡表・転換線)

前日終値                        134.34

サポート1           133.50(5/4安値)

サポート2           133.00日足一目均衡表・雲の上限

 

<ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けており、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。しかし、孕み線で反発したものの転換線を下回って引けていることで反落の可能性が示唆されている。

本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1      1.1016(日足一目均衡表・転換線)

前日終値                        1.0982

サポート1           1.0802(日足一目均衡表・雲の上限)

 

<ポンド円=上昇中の転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。しかし、抱き線で反落して転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。

本日は、上昇中の転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1      170.20(日足一目均衡表・転換線)

前日終値                        169.65

サポート1                       167.62(日足一目均衡表・基準線)

 

NZドル円=上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンス>

小陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。2手連続陰線でも転換線を上回って引けているため反発の可能性が示唆されている。

本日は、上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1      87.20(2022/12/20高値

前日終値                        85.51

サポート1                       84.67(日足一目均衡表・転換線

chart 1

chart 2
  情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社

 

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