ユーロ価格見通し:NFP発表を控えユーロ/米ドルは値上がりに転じる

Article By ストラテジスト

ユーロの話題:

  • 5月にユーロは急速に売られたが、6月は全く異なる様相で始まりつつあり、今月の取引初日は強気派が攻勢に出ている。
  • 明日の米国非農業部門雇用者数の発表を控え、今日は広くドル安展開が見られた。明日の雇用統計で、米ドルの強気派は市場に戻ってくるだろうか。

 

5月、ユーロは大幅下落を見せた。ユーロ/米ドルペアは、3月中旬から4月にかけて強いトレンドを形成し、最終的には1.1000ドル付近の主要なレジスタンスゾーンを再び試すことになった。

このレジスタンスゾーンで上昇が停滞し、ほぼ丸1ヶ月にわたって相場が維持されていたものの、5月11日にユーロ/米ドルが1.0943ドルのフィボナッチレベルを割り込むと売り手が攻勢に出た。

このトレンドの複雑さは主に、売り相場への入り方が急速だったことと、途中の揺り戻しがほとんどなかったという事実にある。このためユーロ/米ドルは下降ウェッジパターンを形成することになった。これはレジスタンスラインで売り手が強く反応し、逆にサポートライン前後ではやや消極的であることを示すパターンだ。

ところで昨日は取引開始直後から売りが優勢となり、2ヶ月ぶりの安値となる1.0635ドルをつけることに成功した。しかし弱気筋はこの動きを維持することができず、セッション終盤の反転により、昨日の日足のローソク足は長い下ヒゲを残すこととなった。5月最終日の遅くに現れた強気な動きは、今のところ6月初日も続いており、ユーロ/米ドルは1.0747ドル~1.0760ドルのレジスタンスゾーンを目指して一直線に値上がりしている。このゾーンの近くには、火曜日のWebセミナーで紹介した他の注目すべき価格水準も控えている

 

ユーロ/米ドル4時間足価格チャート

チャート作成:James Stanley Tradingviewユーロ/米ドル

 

ユーロ/米ドルの動きは揺り戻しか、反転か

現段階では、5月の大半にわたって売り相場が続いた後、1日半の強気な動きが出ているという状況だ。そのためトレンドが変わったというのは時期尚早かもしれない。しかし明日は米国で非農業部門雇用者数が発表されるため、この点に関してより多くの手掛かりが得られる機会になりそうだ。

日足チャートでは、ユーロ/米ドルの現在のテクニカルな背景をもう少し詳しく見ることができる。レジスタンスラインは1.0787ドルと1.0845ドルに位置している。その上では、1.0900ドル近辺が過去のスイングローからレジスタンスラインへと急速に変化した地点で、引き続き注目される。しかしさらに注目すべきなのは1.0943ドル近辺で、ここは過去に下抜けするまでは何度かサポートラインの変曲地点になったフィボナッチレベルだ。さらに現時点では、このレベルはレジスタンスラインとして試されたことはない。

もし買い手がこの水準まで価格を引き上げ、1.1000ドルよりも下でレジスタンスラインが形成されれば、弱気筋にとっては説得力のあるシナリオとなるだろう。 

ユーロ/米ドル 日足価格チャート

チャート作成: James StanleyTradingviewユーロ/米ドル

 

ユーロ/米ドルの大局的な状況

一歩引いて週足チャートを見てみると、ユーロ/米ドルの2023年の相場は現在のところ同じレンジ内で推移している。主要サポートラインは1.0500ドル付近で、2023年の相場ではここでこれまで2回の別個の価格変曲があった。レジスタンスラインは1.1000ドル付近の主要ゾーンに留まっており、これまでの2023年の高値は1.1096ドルとなっている。

そのため、最終的にこれらのエリアのいずれかでブレイクアウトが起きれば、より大局的なトレンドシナリオが動く可能性がある。しかしこの平均回帰のどちらか一方が実際に破られるまでは、トレンドやブレイクアウトのシナリオに対しては慎重な姿勢を保つべきだ。

ユーロ/米ドル 週足価格チャート

チャート作成:James Stanley Tradingviewユーロ/米ドル




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