
【前日の為替概況】ドル円、6日続伸 フィラデルフィア連銀製造業景気指数など強く高値更新
18日のニューヨーク外国為替市場でドル円は6日続伸。終値は138.71円と前営業日NY終値(137.68円)と比べて1円03銭程度のドル高水準だった。5月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数や前週分の米新規失業保険申請件数が予想より強い内容となったことをきっかけに、全般ドル買いが先行。米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するローガン米ダラス連銀総裁が「現在のデータは利上げ停止を正当化しない」と発言したこともドル買いを促し、4時30分前に一時138.75円と昨年11月30日以来の高値を更新した。ブラード米セントルイス連銀総裁が「インフレに対する保険政策として利上げを続けることを支持する」と述べたことも相場の支援材料となった。
米債務上限問題を巡る与野党協議が進展するとの期待から米国株が底堅く推移したことも投資家心理の改善につながり、円売り・ドル買いを誘った。米共和党のマッカーシー下院議長は「(債務上限交渉)合意に至る道筋が見えている」と述べ、来週にも下院で採決できるとの見方を示したほか、シューマー米上院院内総務(民主党)も「下院通過後速やかに上院でも採決する」との考えを示した。
ユーロドルは3日続落。終値は1.0770ドルと前営業日NY終値(1.0840ドル)と比べて0.0070ドル程度のユーロ安水準だった。米経済指標の上振れや米連邦準備理事会(FRB)高官のタカ派的な発言を受けて、FRBが6月も利上げを継続するとの観測が改めて浮上。米金利の上昇とともに全般ドル買いが優勢となり、一時1.0763ドルと3月27日以来の安値を付けた。
なお、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、6月13-14日のFOMCでは0.25%の利上げ確率が約38%まで上昇し、据え置きの確率が約62%まで低下した。
ユーロ円は5日続伸。終値は149.39円と前営業日NY終値(149.25円)と比べて14銭程度のユーロ高水準。ユーロドルの下落につれた売りが出た半面、ドル円の上昇につれた買いが入りじりじりと値を上げた。米国株や日経平均先物の上昇を背景にリスク・オンの円売りも出て、5時過ぎに一時149.45円と本日高値を更新した。
なお、ナイト・セッションの日経平均先物は大証終値比350円高の3万0940円まで買われ、中心限月として2021年2月に付けた高値3万0720円を上回った。
【本日の東京為替見通し】ドル円は買い材料多い中で本邦CPIに注目、G7はランドに波乱要因か
本日のドル円も引き続き底堅い動きが期待されるが。しかし、連日上げ幅が急速に拡大していることや、週末を前にしたポジション調整の動きには警戒したい。
昨日のCME225先物は30905円で引け、大阪取引所の前日18日引け値よりも315円上昇して引けている。本日も日経平均が同水準よりも上回った場合は、リスク志向の高まりでドル円は堅調な動きを見せそうだ。
米国の債務上限問題については、昨日も多くの米議員が発言しているが、最重要人物であるマッカーシー下院議長(共和党)が「1週間前にいた場所より、今日いる場所は、はるかに良い場所だと信じている」「下院は来週にも債務上限合意について採決する可能性がある」と発言するなど、問題解決が近づいていることもドルの支えとなる。
また、年後半の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ予想が低下していることも、ドル円の支えになる。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、9月の利下げ予想が一昨日の約46%から28%弱まで低下している。
多くの要因でドルが買われやすい状況ではあるが、本日は本邦の4月全国消費者物価指数(CPI)が発表されることで、CPIが市場予想(生鮮食品を除く総合予想は前年比+3.4%、生鮮食料品・エネルギー除く予想は前年比+4.2%)を上回れば、円買いに傾く場面もみられるか。市場は反応していないが、15日に行われた政府の経済財政諮問会議では、日銀の金融緩和の再考を促している。電気料金が大幅に上昇することも決定した中でインフレ率が高まれば、日銀の異次元緩和の傾向が変わる可能性もあり、CPIの結果には要注目となる。
本日から始まる広島での先進7カ国首脳会議(G7サミット)では、主要通貨が動意づくのは難しいか。しかしながら、本日からウクライナ情勢について話し合いがもたれ、21日はゼレンスキー・ウクライナ大統領もオンラインで参加することもあり、ロシア情勢についての進展には要警戒となる。17日に発表された1-3月期のロシアGDP速報値は-1.9%となり、市場予想の-2.1%や前期の-2.7%よりも減少幅が縮小している。対ロ制裁の抜け穴が大きいことで、制裁の効果が出ていないのが実情だ。
この中で、ロシアや同国企業に関与した第三国に対する制裁導入が決定した場合は、南ア・ランドなどに大きな影響を与えるだろう。先週、駐南ア米国大使が「南アがロシアへ武器供与をしている」と非難し、ランドは対ドルでは最安値を更新した。週末には米国大使が謝罪したことで、いったんはこの問題は収まっているが、根本的な問題は解決されていない。ほぼすべての通貨で円安が進行している中で、ランド円のみ横ばいで動いていることを見ても、南アがG7各国から制裁を受け、経済がさらに落ち込むことについて市場も警戒しているともいえる。もし、第三国への制裁が決定した場合は、ランド相場の動きにも注目しておきたい。
【本日の重要指標】
※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ☆ 4月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合、予想:前年比3.4%)
○08:30 ☆ 4月全国CPI(生鮮食料品・エネルギー除く、予想:前年比4.2%)
○13:30 ◇ 3月第三次産業活動指数(予想:前月比0.3%)
<海外>
○15:00 ◇ 4月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比▲0.5%)
○18:45 ◎ ハスケル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○21:30 ◎ 3月カナダ小売売上高(予想:前月比▲1.4%/自動車を除く前月比▲0.8%)
○21:45 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○22:00 ◎ ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、討議に参加
○22:55 ◎ シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○24:00 ☆ パウエル米FRB議長とバーナンキ元FRB議長、パネルディスカッションに参加
○20日04:00 ◎ ラガルドECB総裁、デコス・スペイン中銀総裁、パネルディスカッションに参加
○トルコ(青年とスポーツの日)、休場
○先進7カ国首脳会議(G7サミット、広島市、21日まで)
○21日 バイデン米大統領、債務上限を巡り記者会見
○21日 ギリシャ総選挙
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
18日11:10 ロバートソン・ニュージーランド(NZ)副首相兼財務相
「2023/24年のGDPは1.0%と予想 (前回-0.3%)」
「2023/24 年の失業率は5.0%予想(前回5.5%)」
「NZ財務省はリセッション(景気後退)に陥るとはもはや予想していない」
「NZ政府は前回予想より1年遅れ、2025-26年に財政黒字に戻ると予想」
「最近の経常赤字の拡大は反転する見込み」
18日16:25 ミュラー・エストニア中銀総裁
「欧州中央銀行(ECB)が2024年の早い時期に利下げをするとの予想は尚早」
18日16:33 デギンドスECB副総裁
「利上げ局面は終わりに近づいているものの、もう少し利上げの余地は残されている」
「サービス価格の上昇が最大の懸念材料」
「ユーロ圏の今年の成長率は1%前後へ減速する見通しだが、リセッション(景気後退)に陥っていないことは評価できる」
18日20:10 木原官房副長官
「(日米首脳会談で)日米首脳は厳しい対ロ制裁と強力なウクライナ支援の継続で一致」
「経済版2プラス2で経済安保の協力を具体化させることで一致」
18日21:53 ローガン米ダラス連銀総裁
「現在のデータは、利上げ停止を正当化しない」
18日22:45 岸田首相
「(日米首脳会談で)中国巡る諸課題について協力することで一致」
18日23:20 米共和党のマッカーシー下院議長
「来週、下院で債務上限合意を討議する可能性」
19日00:20 マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁
「利下げについて考えるのは時期尚早」
「4月CPIは予想を上回った。食料価格のインフレは依然として高すぎる」
「6月の金利決定は経済データに基づいて決定される」
19日1:20 ブラード米セントルイス連銀総裁
「インフレに対する保険政策として利上げを続けることを支持」
「次回会合では柔軟な考え方をもつ」
19日2:36 米下院金融サービス委員会のパトリック・マクヘンリー委員長(共和党)
「米債務上限に関する交渉は何も進んでいない」
19日2:37 シューマー米上院院内総務(民主党)
「米債務上限を巡る交渉は前進している」
19日4:09 メキシコ中銀声明
「今回の決定は全会一致」
「労働市場は強い状態」
「ヘッドラインのインフレは低下し続けているが、まだ高い水準」
「経済はディスインフレプロセスに入ったと考えられる」
「政策金利を現在の水準で長期間維持する必要がある」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=200日線を割り込まず上昇強め高値更新>
下影陽線引け。137.29円まで高値圏での調整が先行する場面もあった。しかし137.10円台で推移する200日移動平均線を割り込むことなく再び上昇基調を強め、2日高値137.77円や3月8日高値137.91円を上抜けて、138.75円まで年初来高値を更新している。昨年11月30日以来の高値圏とあって、本日も調整が先行する可能性を視野に入れて臨みたい。だが、目先の節目だった2日高値137.77円を割り込まなければ強い上昇波形は継続。押し目がやや深めになっても200日線を下回る展開はしばらく回避できるとみる。
レジスタンス1 139.21(ピボット・レジスタンス1)
前日終値 138.71
サポート1 137.91(3/8高値)
サポート2 137.13(200日移動平均線)
<ユーロドル=雲の下限や90日線が重く下値探る展開>
陰線引け。1.0820ドル台で緩やかに低下する90日移動平均線の動向が示唆するような弱い動きが続いた。3月27日以来の安値1.0763ドルをつけている。一目均衡表・雲の下限も下回った。本日の水準1.0796ドルや1.0821ドル前後で推移する90日線付近では戻りが鈍そう。3月24日安値1.0713ドルなどを目先の目標に下値を探る動きが続くだろう。
レジスタンス1 1.0821(90日移動平均線)
前日終値 1.0770
サポート1 1.0713(3/24安値)
<ユーロ円=上昇中の基準線を追う流れ経て上伸>
下影小陽線引け。上昇中の一目・基準線を追うような上向きの流れが続き、結局は同線を上抜けて3日以来の高値149.45円まで上昇した。基準線は、現状レンジの動きからすれば本日148.87円へ切り上がったところでしばらく横ばいとなる公算。調整の反落で割り込む場面も想定できるが、148.44円前後で推移する21日移動平均線前後では下げ渋り、148円割れは当面回避できると予想。底堅い推移が想定できる。
レジスタンス1 149.88(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 149.39
サポート1 148.77(5/18安値)
<豪ドル円=200日線付近の攻防、下押しあっても軽微か>
下影小陽線引け。91.99円前後で低下中の200日移動平均線付近での攻防となってきた。同線を抵抗に押し戻されても、91.40円台で推移する5日移動平均線前後にとどまれば、好調な流れを維持して200日線をこなす展開となろう。下押しが進んでも、上昇の流れに安定感が出てきた一目均衡表・転換線90.85円が支えとなる。
レジスタンス1 92.44(5/2高値)
前日終値 91.85
サポート1 91.47(5日移動平均線)
情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社
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