
【前日の為替概況】ドル円140.12円まで反落、ユーロドルも1.0706ドルまで軟調推移
29日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは5日続落。終値は1.0706ドルと前営業日NY終値(1.0723ドル)と比べて0.0017ドル程度のユーロ安水準だった。独長期金利の大幅低下を背景に欧州序盤から売りが優勢となり、23時30分前には一時1.0706ドルと本日安値を付けた。ユーロポンドやユーロスイスフランなどユーロクロスの下落につれた影響も付けた。先週末安値の1.0702ドルを前に下げ止まったものの、戻りは極めて限定的だった。
ドル円は4営業日ぶりに反落。終値は140.45円と前営業日NY終値(140.60円)と比べて15銭程度のドル安水準だった。NY市場がメモリアルデーで休場となるなか、持ち高調整の売りが散見されて一時140.12円まで値を下げた。ただ、一巡後はショートカバーが入り140.40円台まで下値を切り上げるなど、140円台前半から半ばで方向感がなかった。
ユーロ円も4営業日ぶりに反落。終値は150.37円と前営業日NY終値(150.76円)と比べて39銭程度のユーロ安水準だった。独金利低下に伴うユーロドルの下落につれて150.10円まで下げたが、ドル円が下げ渋るにつれて150.40円台まで切り返した。
【本日の東京為替見通し】ドル円、債務上限の採決難航や米国債格下げ懸念で伸び悩む展開か
本日の東京外国為替市場のドル円は、明日の米議会で予定されている米国債務上限関連法案の採決が難航するとの警戒感や米国債格下げへの警戒感から伸び悩む展開が予想される。
米国債務上限関連法案に関して、本日東部時間30日午後3時(日本時間31日午前4時)から米連邦議会の下院規則委員会で協議が行われ、明日31日に米下院での採決が予定されている。
マッカーシー米下院議長は、明日の下院での債務上限の採決に向けて、共和党下院議員の95%超が合意を歓迎しており、「共和党の大部分が賛成する良好かつ堅固な法案だ。共和党と民主党がこの法案を大統領に送付できるだろう」と述べている。しかし、共和党保守強硬派の議員連合「フリーダム・コーカス(自由議連)」は、31日に行われる採決で法案の否決を目指す考えを示している。
今年1月、共和党のマッカーシー下院院内総務は、1859年以来となる15回目の下院議長選挙で過半数(216票対212票)を獲得して議長に選出された。15回の投票は、4日間にわたって行われたが、イエレン米財務長官が、米国がデフォルト(債務不履行)に陥る「Xデイ」を6月5日まで先延ばししたことで、フリーダム・コーカスには5日間程度の造反できる時間が残されている。
すなわち、債務上限引き上げの暫定合意案のリスクシナリオは、6月4日(日曜日)辺りまで下院で承認されない場合となる。
2011年夏の債務上限を巡るオバマ米政権と下院共和党とのチキンゲームの時は、8月2日(火曜日)の期限に対して、7月31日(日曜日)に民主・共和両党が債務上限引き上げで合意し、「債務上限引き上げ法」を8月1日に下院で可決、8月2日に上院で可決し、オバマ米大統領は直ちに法案に署名して成立した。
しかし、8月5日に米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が、アメリカの長期発行体格付けを「AA+」、見通しを「ネガティブ」に格下げしたことで、米国債格下げショックが市場を襲った。
先週、格付け会社フィッチ・レーティングスは、米国の長期外貨建て発行体デフォルト格付け「AAA」を「レーティング・ウオッチ・ネガティブ」に置いたと発表した。そして、期限が迫っているにもかかわらず、債務上限の引き上げや適用停止に向けた交渉が、政治の党派性の高まりで妨げられていることを反映していると説明した。
格付け会社ムーディーズは、債務上限協議を行っている議員の公的な発言が格付け見通しの評価変更につながる可能性があるという見方を示した。すなわち、協議中に交渉担当者がデフォルトを想定していると公的に示唆すれば、格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更する可能性を示唆した。
格付け会社DBRSモーニングスターは、米国の「AAA」格付けを引き下げ方向で見直すと明らかにした。そして、「格下げ方向の見直しは、議会が適時適切に債務上限を引き上げないし停止を実施できないリスクを反映する。議会が行動しなければ、米連邦政府は全ての債務支払いができなくなる」と指摘した。さらに、今回解決しても、二極化した政治環境において対立が繰り返される見通しは、格付けの引き下げにつながる可能性があると警告した。
【本日の重要指標】
※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ◎ 4月完全失業率(予想:2.7%)
○08:30 ◎ 4月有効求人倍率(予想:1.32倍)
<海外>
○10:30 ◎ 4月豪住宅建設許可件数(予想:前月比2.0%)
○15:00 ◎ 1-3月期スウェーデン国内総生産(GDP、予想:前期比0.2%)
○16:00 ◎ 1-3月期スイスGDP(予想:前期比0.1%/前年比0.6%)
○16:00 ◇ 5月スイスKOF景気先行指数(予想:95.3)
○16:00 ◇ 4月トルコ貿易収支(予想:88.0億ドルの赤字)
○18:00 ◎ 5月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:98.9)
○18:00 ◎ 5月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲17.4)
○18:00 ◎ シムカス・リトアニア中銀総裁、講演
○21:30 ◇ 1-3月期カナダ経常収支(予想:93.5億カナダドルの赤字)
○22:00 ◇ 3月米住宅価格指数(予想:前月比0.2%)
◇ 1-3月期米住宅価格指数
○22:00 ◎ 3月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比▲1.6%)
○22:00 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○22:30 ◎ センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○23:00 ◎ 5月米消費者信頼感指数(予想:99.0)
○31日00:45 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○31日02:00 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
29日07:36 バイデン米大統領
「合意がデフォルトという最悪の可能性を除外した」
「超党派の予算合意に至った」
「両院で法案成立に至ることを強く要請する」
29日10:28 松野官房長官
「(北朝鮮のミサイル発射予告で)防衛相から破壊措置命令」
「(北朝鮮による弾道ミサイルの発射強行は)重大な挑発行為」
30日00:46 デコス・スペイン中銀総裁
「引き締めサイクルは終わりに近づいているが、まだ道半ば」
30日02:11 ルラ・ブラジル大統領
「ドル以外の通貨を取引することを夢見ている」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=5/26安値を支持に押し目買いスタンス>
陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。転換線を上回って引けており反発の可能性が示唆されている。目先の目標値は、142.51円(151.95円から127.23円までの61.8%戻し)となる。
本日は、26日安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 142.25(2022/11/21高値)
レジスタンス1 141.61(2022/11/23高値)
前日終値 140.45
サポート1 139.50(5/26安値)
サポート2 139.11(日足一目均衡表・転換線)
<ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。5手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.0775(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0708
サポート1 1.0631(3/20安値)
<ユーロ円=上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンス>
陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。高値圏での孕み線で反落したものの転換線を上回って引けており反発の可能性が示唆されている。
本日は、上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 151.07(5/29高値)
前日終値 150.37
サポート1 149.90(日足一目均衡表・転換線)
<豪ドル円=基準線を支持に押し目買いスタンス>
小陰線(寄引同事線)引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。高値圏での小陰線で反落したものの転換線を上回って引けているため反発の可能性が示唆されている。
本日は、転換線91.56円を念頭に置き、基準線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 92.44(5/2高値)
前日終値 91.84
サポート1 90.16(日足一目均衡表・基準線)
情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社
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