
【前日の為替概況】ドル円 149.71円まで続伸、米10年債利回りは一時4.64%台まで上昇
27日のニューヨーク外国為替市場でドル円は4日続伸。終値は149.63円と前営業日NY終値(149.07円)と比べて56銭程度のドル高水準だった。米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めの長期化が意識される一方、日銀は大規模な金融緩和策を維持しており、日米金融政策の方向性の違いに着目した円売り・ドル買いが出た。米10年債利回りが一時4.6404%前後と2007年10月以来の高水準を記録するなど、米長期金利が上昇傾向を強めると、全般ドル買いが活発化。3時過ぎに一時149.71円と昨年10月24日の高値に面合わせした。
なお、市場では「心理的節目である150円に迫る中、政府・日銀による為替介入への警戒感はあるものの、日米金利差拡大で円安・ドル高がどこまで進むのか見通せない状況だ」との声が聞かれた。
ユーロドルは4日続落。終値は1.0503ドルと前営業日NY終値(1.0572ドル)と比べて0.0069ドル程度のユーロ安水準だった。FRBが高い政策金利をより長く維持するとの観測が強まる中、米長期金利が大幅に上昇するとドル買いが優勢となった。節目の1.0500ドルを下抜けると、一時1.0488ドルと1月6日以来の安値を更新した。ユーロ圏景気の減速懸念から全般ユーロ売りが出やすい面もあった。
なお、主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時106.84と昨年11月30日以来の高値を付けた。
ユーロ円は3日続落。終値は157.16円と前営業日NY終値(157.59円)と比べて43銭程度のユーロ安水準。欧州景気への懸念からユーロ売りが強まると一時156.96円と日通し安値を更新した。ダウ平均が一時310ドル超下落した場面ではリスク回避の円買いも入った。
【本日の東京為替見通し】ドル円、介入警戒水準150円の攻防か 米国の懸念材料にも注視
本日の東京外国為替市場のドル円は、日米の金融政策の方向性の違いから続伸が予想される。しかしながら介入警戒水準である150円に迫っていることで、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には警戒しておきたい。
昨日のニューヨーク市場のドル円は、米10年債利回りや原油価格の上昇を背景に、149.71円まで続伸。昨年秋のドル売り・円買い介入の目安とされてきたボリンジャー・バンドの+2σを超えてきた。先日、イエレン米財務長官が日本の為替介入について「過度な変動をならす必要性を総じて理解している」と述べており、本邦当局による実弾の円買い介入の可能性を意識しつつ、相場に臨むことになる。
昨年の円買い介入について振り返ってみる。
・2022年9月22日の第1弾の円買い介入(東京時間17時30分頃:2兆8382億円)では、ドル円は高値145.90円から安値140.36円まで、5.54円(3.8%)下落した。
・同年10月21日の第2弾の円買い介入(東京時間23時30分頃:5兆6202億円)では、ドル円は高値151.95円から安値146.23円まで、5.72円(3.8%)下落した。
・同月24日の第3弾の円買い介入(東京時間8時30分頃:7296億円)では、ドル円は高値149.71円から安値145.56円まで、4.15円(2.8%)下落した。
なお、米国についても懸念材料は幾つか見あたる。パウエルFRB議長は、米景気に不確実性をもたらす大きな要因として「原油高、大規模ストライキ、政府機関の閉鎖」を挙げていた。カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁も昨日、政府機関の閉鎖、または自動車ストライキが長期化した場合には景気減速の可能性があるとし、「米連邦準備理事会(FRB)は物価上昇を緩和する手段を使う必要がなくなる」との見方を示した。
昨日のニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物11月限は、クッシングの在庫の減少を受けて、1バレル当たり93ドルを突破し、100ドルが視野に入りつつある。原油高は、インフレ高進要因となることで、FRBの追加利上げ要因となる。
全米自動車労組(UAW)は、米大手自動車メーカーとの労使交渉に大きな進展がなければ、明日29日にストライキを拡大すると表明した。
米国政府機関の閉鎖に関しては、9月30日の会期末に向けて2024年度(2023年10月-2024年9月)の予算案成立が難航していることで、予断を許さない状況が続くだろう。
リスクシナリオは、2013年10月のように政府機関が閉鎖された場合だろう。米労働省が9月の雇用統計、消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)などを発表できなくなる事態に陥る。すなわち、10月31日から11月1日にかけて開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策決定の判断材料となる雇用・物価データが得られないため、利上げは見送られる可能性が高まることになるか。
さらに先日、米国債の格付けを最上位としている米格付け会社ムーディーズが、米連邦政府の政府機関が閉鎖に追い込まれれば、米国債の「信用面でマイナスだ」と警告しており、米国債の格下げリスクが危惧される。
【本日の重要指標】
※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
<海外>
○09:00 ◇ 9月ANZ企業信頼感
○10:30 ◎ 8月豪小売売上高(予想:前月比0.3%)
○18:00 ◎ 9月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:92.5)
○18:00 ◎ 9月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲17.8)
○18:30 ◇ 8月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.5%/前年比3.7%)
○21:00 ◎ 9月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.3%/前年比4.6%)
○21:00 ◇ 8月メキシコ失業率(季節調整前、予想:3.20%)
○21:30 ☆ 4-6月期米国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比年率2.1%)
○21:30 ◎ 4-6月期米個人消費(確定値、予想:前期比1.7%)
○21:30 ◎ 4-6月期米コアPCE(確定値、予想:前期比3.7%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.5万件/167.5万人)
○22:00 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、講演
○23:00 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○23:00 ◎ 8月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比▲0.8%/前年比▲12.0%)
○23:45 ◎ グリーン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○29日01:30 ◎ デコス・スペイン中銀総裁、講演
○29日02:00 ◎ クック米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○29日02:00 ◎ 米財務省、7年債入札
○29日04:00 ◎ メキシコ中銀、政策金利発表(予想:11.25%で据え置き)
○29日05:00 ☆ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、講演
○韓国(秋夕)、休場
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
27日08:56 7月27-28日分の金融政策決定会合議事要旨
「わが国の景気について、緩やかに回復しているとの認識で一致」
「個人消費について、物価上昇の影響を受けつつも、緩やかなペースで着実に増加しているとの認識で一致」
「雇用・所得環境について、緩やかに改善している」
「何人かの委員は、企業経営者からは人材確保のため賃上げが必要との声が多く聞かれ始めており、所得環境にも前向きな動きがみられている」
「物価面について、既往の輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響から、足もとは3%台前半となっているとの評価で一致」
「足もとの物価上昇率は、4月の展望レポートにおける想定よりも上振れているとの認識を共有」
「本邦経済について緩やかな回復を続ける、その先については、所得から支出への前向きの循環メカニズムが経済全体で徐々に強まっていく中で、潜在成長率を上回る成長を続ける」
「雇用者所得の増加に支えられて、個人消費は増加を続けるとの見方を共有」
「雇用者所得について、一人当たり名目賃金の上昇率も高まっていくことから、増加を続けるとの見方で一致」
「物価情勢の先行きの中心的な見通しについて、再びプラス幅を緩やかに拡大していくとの見方を共有」
「中心的な物価の見通しは、2023年度は大幅に上振れているが、2024年度と 2025年度は概ね不変であるとの認識を共有」
「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)について、金融市場調節上の様々な工夫により、金融市場調節方針に沿って、長期金利はゼロ%程度で推移しているとの認識で一致」
「複数の委員は、イールドカーブの形状の歪みは解消された状態にあるほか、社債市場の機能も回復していると指摘」
「何人かの委員は、今回の運用の柔軟化は出口への一歩ではなく、日本銀行が粘り強く金融緩和を進めていく姿勢に変わりはないことを明確に説明していく必要があると指摘」
27日16:08 エルダーソン欧州中央銀行(ECB)専務理事
「金利がピークに達したとは限らない」
「依然としてインフレには上方向のリスク」
27日16:11 中国人民銀行(PBOC)アドバイザー
「中国には経済成長を支える比較的十分な政策余地がある」
「中国は今年も5%以上の経済成長を達成可能」
「中国経済は“日本化”を回避できる」
27日19:39 ホルツマン・オーストリア中銀総裁
「預金準備率を5-10%まで引き上げるべき」
27日19:57 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁
「米国経済の回復力には驚かされる」
「金利がさらに上昇する可能性があるが、正確には分からない」
「政府閉鎖は望まない」
「政府閉鎖と自動車メーカーのストライキが経済を減速させる可能性」
27日21:10
「中立金利が上昇する可能性」
「もっと利上げを行う必要があるかどうかは、データを見て判断したい」
「原油価格の上昇だけで、さらなる利上げが正当化されることはない」
「FRBは来年も金利を据え置くと予想」
28日01:56
「FRBの利上げが完了したのか、まだ利上げが必要なのかは分からない」
「数回の利上げが必要になる可能性もある」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=昨年10月以来の150円台が視野に>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで三役好転の強い買いシグナルが点灯中。4手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。同線は148.52円まで上昇してきた。
本日も転換線を支持に押し目買いスタンスで臨みたい。昨年10月以来の150円台が完全に視野に入っており、大台を巡る攻防も注目される。
レジスタンス2 151.95(2022/10/21高値)
レジスタンス1 150.25(ピボットレジスタンス2)
前日終値 149.63
サポート1 148.52(日足一目均衡表・転換線)
サポート2 147.08(日足一目均衡表・基準線)
<ユーロドル=1.06ドル前半まで低下した転換線が抵抗水準>
陰線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けており、三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。4手連続陰線で下落中の転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は1.06ドル前半で低下中の転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.0613(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0503
サポート1 1.0429(2022/12/2安値)
<ポンド円=181円半ばまで水準を上げた雲の下限を意識>
陽線引け。雲の中で引けているものの、転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回っているため売りシグナルが優勢な展開。雲の中で孕み線で切り返したが、転換線を下回って引けており、反落の可能性が示唆されている。
本日は181.55円まで水準を上げた日足一目・雲の下限が意識されそうだ。182.10円台に下落した転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨みたい。
レジスタンス1 182.16(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 181.59
サポート1 180.45(8/3安値)
<NZドル円=基準線を支持に押し目買いスタンス>
小陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。2手連続陰線でも転換線を上回って引けており反発の可能性が残されている。
本日は転換線88.02円を念頭に置いた取引。87円半ばの基準線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 89.70(7/5高値)
前日終値 88.58
サポート1 87.56(日足一目均衡表・基準線)
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