【本日の東京為替見通し】ドル円、中間期末での特殊玉に注視 引き続き円買い介入には要警戒

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【前日の為替概況】ドル弱含み、対円149.15円・対ユーロ1.0579ドル 米10年債利回りが低下

28日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは5日ぶりに反発。終値は1.0566ドルと前営業日NY終値(1.0503ドル)と比べて0.0063ドル程度のユーロ高水準だった。米商務省が発表した46月期米国内総生産(GDP)確定値の統計では個人消費の伸びが前期比年率0.8%増と予想の1.7%増を大きく下回り、改定値のほぼ半分に下方修正された。また、全米リアルター協会(NAR)が発表した8月米住宅販売保留指数は前月比7.1%低下と予想の0.8%低下を下回り、昨年9月以来約1年ぶりの大幅な低下となった。一時は4.6861%前後と200710月以来の高水準を記録した米10年債利回りが4.56%台まで低下すると全般ドル売りが優勢となり一時1.0579ドルと日通し高値を付けた。市場では「月末・四半期末を控えて、足もとで膨らんだドル買いポジションを解消する動きが広がった」との声も聞かれた。

ドル円は5営業日ぶりに反落。終値は149.31円と前営業日NY終値(149.63円)と比べて32銭程度のドル安水準だった。米個人消費や米住宅指標の下振れを受けて、米金利が低下に転じると全般ドル売りが優勢となった。23時過ぎには一時149.15円と日通し安値を更新した。

ただ、売りはあくまでポジション調整の域を出ず長続きしなかった。前日の安値148.86円が目先サポートとして意識された面もあり、そのあとは149円台前半でのもみ合いに終始した。

ユーロ円は4日ぶりに反発。終値は157.76円と前営業日NY終値(157.16円)と比べて60銭程度のユーロ高水準。ユーロドルの上昇につれた円売り・ユーロ買いが出ると一時157.87円と本日高値を付けた。米長期金利が低下し、WTI原油先物価格が反落すると、金利上昇と原油高への過度な警戒が緩和し米国株相場が上昇。投資家の過度なリスク回避姿勢が後退したことも円売り・ユーロ買いを誘った。

 

【本日の東京為替見通し】ドル円、中間期末での特殊玉に注視 引き続き円買い介入には要警戒

本日の東京外国為替市場のドル円は、月末・中間期末の特殊玉を注視しながらの取引か。急速に円安が進行した場合は、引き続き本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には警戒していく展開となる。

一部の市場筋の見立てでは、本邦通貨当局は、本日の日本企業の中間期末決算を控えて、本邦輸出企業の為替益を拡大させて賃上げに繋げる目論見から本日までドル売り・円買い介入を控えるのではないか、との憶測が流れているようだ。

6月調査の日銀短観での輸出企業(大企業・製造業)の2023年度の想定為替レートは、ドル円が131.55円、ユーロ円が139.02円だった。現状の為替相場水準での為替ヘッジでは相当の為替益が生じることになるため、賃上げに繋がることが期待されている。

さらに、本邦通貨当局はドル売り・円買い介入の名目として「ボラティリティーの抑制」を標榜しているが、現状のドル円の1カ月物の予想変動率(インプライド・ボラティリティー)は9%付近に留まっており、昨年秋の円買い介入時の12%以上には届いていないことも、円買い介入に踏み切れない要因なのかもしれない。

また、パウエルFRB議長の当面の米国経済への懸念である原油高、大規模ストライキ、そして政府機関の閉鎖に関するヘッドラインには、引き続き警戒しておきたい。

全米自動車労組(UAW)は、米大手自動車メーカーとの労使交渉に大きな進展がなければ、本日ストライキを拡大すると表明。UAWによるストライキの拡大は、米国の景況感の悪化、失業率の上昇に繋がることで、米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ見送り、そしてドル売り要因となる。

米国政府機関の閉鎖に関しては、明日930日の会期末に向けて2024年度(202310月~20249月)の予算案成立が難航しているため、予断を許さない状況が続いている。

リスクシナリオは、201310月のように政府機関が閉鎖された場合。米労働省が9月の雇用統計、消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)などを発表できなくなる事態に陥る。すなわち、1031日から111日にかけて開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)では、利上げの判断材料となる雇用・物価の経済指標がないことで、利上げは見送られる可能性が高まることになる。

さらに、米国債の格付けを最上位としている米格付け会社ムーディーズが、米連邦政府の政府機関が閉鎖に追い込まれれば、米国債の「信用面でマイナスだ」と警告しており、米国債の格下げリスクが高まることになる。

 

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

08:309月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合予想:前年比2.6%)

08:308月完全失業率(予想:2.6%)

08:308月有効求人倍率(予想:1.29倍)

08:508月商業販売統計速報(小売業販売額、予想:前年比6.6%)

08:508月鉱工業生産速報(予想:前月比▲0.8%/前年比▲4.6%)

14:009月消費動向調査(消費者態度指数 一般世帯、予想:36.2

14:008月新設住宅着工戸数(予想:前年比▲8.9%)

19:00 ◇ 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)

 

<海外>

08:00 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演

15:008月独輸入物価指数(予想:前月比0.5%/前年比▲16.4%)

15:008月独小売売上高(予想:前月比0.5%/前年比▲0.7%)

15:0046月期英国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.2%/前年比0.4%)

15:0046月期英経常収支(予想:150億ポンドの赤字)

15:459月仏CPI速報値(予想:前月比▲0.3%/前年比5.1%)

15:458月仏消費支出(予想:前月比▲0.5%)

15:458月仏卸売物価指数(PPI

16:009月スイスKOF景気先行指数(予想:90.5

16:008月トルコ貿易収支(予想:89億ドルの赤字)

16:40 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演

16:559月独雇用統計(予想:失業率5.7%/失業者数変化1.50万人)

17:308月英消費者信用残高(予想:13億ポンド)

17:308月英マネーサプライM4

17:45 ◎ バスレ・スロベニア中銀総裁、ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演

18:00 ◎ カザークス・ラトビア中銀総裁、講演

18:00 ◎ ビスコ伊中銀総裁、講演

18:009月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比4.5%)

18:009月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比4.8%)

21:008月南アフリカ貿易収支(予想:70億ランドの黒字)

21:307月カナダGDP(予想:前月比0.1%/前年比1.1%)

21:308月米卸売在庫(予想:前月比▲0.2%)

21:308月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.5%)

8月米個人所得(予想:前月比0.4%)

8月米PCEデフレーター(予想:前年比3.5%)

8月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.2%/前年比3.9%)

22:459月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:47.6

23:009月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:67.7

3001:45 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演

○中国(中秋節)、韓国(秋夕)、休場

 

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

28日10:36 鈴木財務相

「(為替について)緊張感をもって動きを見ている」

「過度な変動は好ましくない」

「過度な変動があればあらゆる手段を排除せず適切に対応」

 

28日21:09 ナーゲル独連銀総裁

「データがさらなるステップと必要性を示している場合は、更なる利上げが必要になるかもしれない」

「どこが利上げのピークかはまだ分からない」

「基本的シナリオは、経済のソフトランディングが利上げサイクルの終了」

 

28日22:07 グールズビー米シカゴ連銀総裁

「最近のデータでは、雇用の減少なしにインフレが鈍化しており、過去のパターンに反している」

「今後数四半期のインフレ継続のカギを握るのは住宅」

「インフレ目標を2%から引き上げる提案を極めてリスキーなものにしている」

「物価面で進展がないと判断すれば、金融引き締めが必要となる」

「次回FOMCで何をするかは決まっていない」

 

29日04:09 メキシコ中銀声明

「今回の決定は全会一致」

「政策金利を現在の水準で長期間維持する必要がある」

2023年第4四半期のインフレ率は4.7%になると予想」

2024年第4四半期のインフレ率は3.4%になると予想」

2025年第3四半期のインフレ率は3.1%になると予想」

「メキシコ経済の回復力がインフレを遅らせる可能性がある」

8月以降、中長期債利回りが上昇」

※時間は日本時間

 

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=上昇トレンドは継続、転換線を支持に押し目買い>

陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで三役好転の強い買いシグナルが点灯中。4手連続陽線の後、孕み線で反落した。しかしながら、転換線を上回って引けており上昇トレンドは維持されていると見る。

本日も148円半ばで横ばいの転換線を支持に押し目買いスタンスで臨みたい。同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2      151.952022/10/21高値

レジスタンス1      150.06(ピボット・ターニングポイント

前日終値                        149.31

サポート1           148.52(日足一目均衡表・転換線)

サポート2           147.08(日足一目均衡表・基準線)

 

<ユーロドル=1.06ドル前半の転換線を抵抗に戻り売り>

陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けており、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。4手連続陰線の後、1.05ドル割れでは下げ止まり、孕み線で反発した。もっとも転換線を下回って引けており、反落の可能性が残されている。

転換線は1.06ドル前半に位置し、本日も同線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1      1.0613(日足一目均衡表・転換線)

前日終値                        1.0566

サポート1           1.04889/27安値)

 

<ユーロ円=転換線超えで引け、9/28の安値が支持に>

陽線引け。転換線は基準線を下回っているものの、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで買いシグナルが優勢な展開。156円後半の雲の上限付近が支持となり、抱き線で切り返した。転換線を上回って引けており、158円前半の基準線が意識される。

本日157円後半の雲の上限から28日安値を支持帯として押し目買いスタンスで臨み、28日安値を割り込んだら手仕舞い。

レジスタンス1      158.18(日足一目均衡表・基準線)

前日終値                        157.76

サポート1                       156.719/28安値)

 

<豪ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

大陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。抱き線で切り返し転換線を上回って引けており、更に上値余地が残されている。

本日は、95.30円付近で横ばいの転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1      96.83(7/45高値)

前日終値                        95.95

サポート1                       95.30(日足一目均衡表・転換線

 

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