
ドル円 - 感謝祭週で全般動きづらい
BOC - 利上げ幅縮小の見通し変わらず
RBA - 2 月会合に向けたヒント示さず
週間展望・回顧(ドル、ユーロ、円)
感謝祭週で全般動きづらい
◆ドル円、方向感をつかみにくい展開
◆週後半は感謝祭で米国市場が休場
◆ユーロドル、引き続き米金利とウクライナ情勢に振らされる展開
予想レンジ
ドル円 138.50-142.50 円
ユーロドル 1.0200-1.0500 ドル
11 月21 日週の展望
ドル円は、米国のインフレがピークアウトしたとの思惑から引き続き上値の重い展開が想定さ
れるが、下値の堅さを確認した可能性もあり、方向感はつかみづらくなりそうだ。
10 日に発表された10 月米消費者物価指数(CPI)に続き、15 日に発表された10 月米卸売物価
指数(PPI)も前月から鈍化するなど、市場では米国のインフレがいよいよピークアウトを迎えた
との思惑が一段と高まっている。米連邦公開市場委員会(FOMC)による利上げ予想としては、次
回12 月会合で0.50%利上げし、来年については0.25%の利上げを1-2 回実施して利上げサイク
ルは終了するとの見方が依然として強いようだ。12 月会合の前日には最新のCPI が発表されるた
め、ピークアウトと判断するのは時期尚早ではあるものの、市場の思惑を覆すような内容が出に
くいこともあり、ドルを積極的に買っていくような動きにはなりづらいとみている。
ただ、15 日の米PPI 発表後に進んだドル売りも長続きせず、ドルの下値では押し目買い意欲が
確認できたことも事実であり、ここから一段とドル安が進むには材料不足感が否めない面もある。
今週は、ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事やブラード米セントルイス連銀総裁からタカ派的
な発言が出た一方で、ブレイナードFRB 副議長からはハト派的な見解が示されるなど、米当局者
の中でも現在のインフレや金利見通しについて意見が分かれていることがうかがわれる。そうい
ったなかで、ドル円は上下ともに一方向に傾きづらく、米金利動向をにらみながらの神経質な展
開となりそうだ。
来週は週後半が感謝祭で米国市場が休場となる為、動意づくのは週前半だけとなりそうだ。経
済指標としては、23 日の11 月米購買担当者景気指数(PMI)速報値に注目したい。
また、ユーロドルは、米長期金利の動向やウクライナ情勢に振らされる展開を予想している。
ポーランドとウクライナの国境に近い村にロシア製のミサイルが落下し、2 名の犠牲者が出たこ
とが市場を一時混乱させた件については、結局、ウクライナ側の防空ミサイルであった可能性が
濃厚となった。いったんこの件については落ち着いた形となっているが、今後の戦況の行方には
引き続き警戒が必要だろう。
11 月14 日週の回顧
ドル円は、週明け早朝にウォラーFRB 理事からタカ派的な発言が伝わったことで買いが先行し、
一時140.80 円まで値を上げた。翌15 日には米PPI が予想を下回ったことを受けて米長期金利の
低下とともに137.68 円まで急速に値を下げたが、米金利が低下幅を縮めたため、すぐに反発。17
日にはブラード米セントルイス連銀総裁がタカ派発言となると米長期金利の上昇を支えとして
140.74 円まで買い上げられた。ユーロドルは、弱い米PPI 発表直後には一時1.0479 ドルと7 月5
日以来の高値まで上昇したが、ドルが全般すぐに反発したため1.0280 ドルまで反落。その後は
1.03 ドル台前半から1.04 ドル台前半を行ったり来たりするなど、方向感が出なかった。(了)
週間展望・回顧(ポンド、加ドル)
BOC、利上げ幅縮小の見通し変わらず
◆ポンド、英国長期債の動向に注目
◆ポンド、金融政策へのコンセンサス定まるまでは不安定か
◆加ドル、BOC 利上げ幅縮小の見通しは変わらず
予想レンジ
ポンド円 163.00-170.00 円
加ドル円 103.00-108.00 円
11 月21 日週の展望
ポンドは英国長期債の動向に注目。トラス前政権が9 月に金融市場を混乱に陥れた時ほどでは
ないが、ポンドドルと英長期債価格の相関関係は高いままだ(利回りとは逆相関)。16 日には、
翌日公表の中期財政計画への期待感もあり英10 年国債の価格は上昇し(利回りは約2 カ月ぶりの
水準まで低下)、ポンドドルが終値としては約3 カ月ぶりの高値圏を記録。ただ、ハント英財務相
による財政再建計画の発表後は英債券が売り戻されるとポンドも上値を切り下げている。ただし、
対円ではドル円の影響も受けやすくなっており、対ドルのように素直ではないことに注意が必要
だろう。なお、財政計画では年換算で550 億ポンド規模の収支改善策が盛り込まれた。
また、英金融政策への不透明感の強まりはポンドを買いづらくさせる要因となっている。10 月
英消費者物価指数(CPI)は前年比伸び率が11.1%と予想比上振れし、約41 年ぶりの高さを記録
した。英国立統計局(ONS)によると、政府による家計の光熱費負担がなければCPI は13.8%前
後まで達していたという。ベイリー英中銀(BOE)総裁は金融政策を発表した3 日に「利上げ到達
点の低下」を示唆したが、現状のままでは小幅な利上げだけでインフレ率を目標の2%まで押し
下げることは難しいという見方が広がりつつあるのも確か。ただ、一方でコアインフレ率に軟化
の兆しが見えているとの指摘もある。次回の金融政策委員会(MPC)まで約4 週間。コンセンサス
が定まるまではポンドは不安定な動きが続くかもしれない。
加ドルは上値の重い展開か。16 日発表の10 月加CPI は予想通り前年比6.9%上昇。前回9 月か
らは横ばいとなった。カナダ中銀(BOC)が景気判断で重要視するCPI コモンは6.2%と、上方修
正された前回値と変わらなかったものの、全体的には6 月をトップとした鈍化基調は続いている
と市場は受け止めているもよう。強い10 月加雇用統計を受けて一部で浮上した「再度の0.5%利
上げ予想」は後退し、次回会合での利上げ幅は0.25%に縮小されるとの見方が優勢になっている。
加長期債利回りも低下基調であり、日銀の超金融緩和は継続されるものの、金利差拡大を狙った
加ドル買い円売りの勢いは暫く強まり難いか。なお経済指標では9 月加小売売上高が発表予定。
11 月14 日週の回顧
ポンドは買いが先行。スナク英首相が財政規律の順守を表明するなか、週後半に発表される中
期財政計画への期待感から英長期債価格が上昇(金利は低下)し支えとなった。対円ではドル円
が下げ渋った影響も受け、対ドルでは米インフレ鈍化傾向の強まりも押し上げ要因に。財政計画
発表後は材料出尽くし感から上値を切り下げるも底堅さは継続された。
加ドルは対円では前週の大幅安の反動で下げ渋った。下値を切り上げたドル円につれた面もあ
った。対ドルでは米長期金利に振らされる展開に。想定より鈍化した米10 月卸売物価指数(PPI)
を受けて米金利が低下すると加ドル高に振れた。週後半にブラード米セントルイス連銀総裁のタ
カ派発言を受けて米金利が水準を上げると加ドルも売り戻された。(了)
週間展望・回顧(豪ドル、南ア・ランド)
RBA、12 月会合に向けたヒント示さず
◆豪ドル、ドル売り一巡後は再び上値が重くなる可能性も
◆RBNZ、利上げペースを加速か
◆ZAR、対ドルで下落トレンドに変化生まれるかに注意
予想レンジ
豪ドル円 91.00-96.00 円
南ア・ランド円 7.90-8.30 円
11 月21 日週の展望
豪ドルは伸び悩む展開か。豪準備銀行(RBA)は15 日に公表した11 月開催分の理事会議事要旨
で「金利はあらかじめ設定された経路上にあるわけではない」ことを改めて強調。「より大きな利
上げに戻ることを排除しない」「一定期間金利を据え置く用意がある」などの見解を示し、次回
12 月理事会への明確なヒントは残さなかった。
市場では12 月にRBA は25 ベーシスポイント(bp)の利上げを実施するとの予想が優勢となっ
ているが、やはり気になるのは対米金利差の行方。米連邦公開市場委員会(FOMC)は12 月に少な
くとも50bp の利上げを実施すると想定されているだけに、対ドルでは金利面で不利な状況にある。
米消費者物価指数(CPI)などのインフレ指標が予想を下回る結果となったことを受け、市場で
はこれまで積み上げてきたドル買いポジションを圧縮したことから、結果的に対ドルでは豪ドル
の買い戻しが進んだ格好となったが、持ち高調整の動きが一巡すれば再び豪ドルの上値が重くな
る可能性もありそうだ。なお、来週は豪州から主だった経済指標の発表は予定されておらず、基
本的には外部要因に左右される展開となるだろう。
隣国NZ では22 日に10 月貿易収支、23 日にNZ 準備銀行(RBNZ、NZ 中央銀行)の政策金利発表
が予定されている。市場ではRBNZ が利上げペースを加速させ、75bp の利上げに踏み切ると予想
されており、RBA との利上げペースの違いが意識されることになるだろう。再任が決まった(2023
年3 月から5 年間)オア総裁の次の一手にも注目しておきたい。
南アフリカ・ランド(ZAR)は神経質な展開か。4 月からのZAR 下落トレンドは正念場を迎えて
いる。足もとのドル安・ZAR 高調整によってトレンドラインに接近。同線を明確に抜けることが
できれば、テクニカル的にZAR 買いの余地が拡大するだけに注目しておきたい。もっとも、足も
との動きはあくまでドル安の影響に過ぎず、ZAR 独自の買い材料が乏しいことも軽視すべきでは
ないだろう。
なお、来週は23 日に10 月CPI が発表されるほか、24 日には南アフリカ準備銀行(SARB、中央
銀行)が金融政策を公表する。市場では現行の6.25%から7.00%へと75bp の利上げが実施され
る予想となっている。米国との金利差拡大は対ドルでポジティブに働く可能性が高い一方、すで
にマイナス成長となっている同国景気をさらに冷やすことになりかねない点には注意が必要だ。
11 月14 日週の回顧
豪ドルは底堅い動き。米利上げペースが鈍化するとの思惑が市場で根強く残るなか、対ドルを
中心にやや買いが入った。対円でも底堅く推移したが、先月中旬から形成されたレンジ内にとど
まっており、積極的に買いを進める展開とはならなかった。
ZAR は対ドル・対円でともにもみ合い。手掛かり材料難の週だったほか、来週に中銀金融政策
決定会合を控えていることもあり、週を通じて手控えムードが広がった。(了)
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