週間展望・回顧(ドル、ユーロ、円、ポンド、加ドル、豪ドル、南ア・ランド)

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    週間展望・回顧(ドル、ユーロ、円)

    植田日銀総裁会見と米 CPI に注目

    ◆ドル円、植田日銀総裁の就任会見や米 3 CPI に注目

    3 FOMC 議事要旨などにも注意

    ◆ユーロドル、経済データや ECB 高官発言に注目

    予想レンジ

    ドル円 129.50-134.00

    ユーロドル 1.0700-1.1100 ドル

    4 10 日週の展望

    ドル円は、9 日に就任する植田日銀総裁の就任会見や、米 3 月消費者物価指数(CPI)、4 月のミシガン大学消費者信頼感指数でのインフレ期待などを見極める展開が予想される。

    植田日銀総裁の会見では、27-28 日の日銀金融政策決定会合に向けて、マイナス政策金利(▲0.10%)やイールドカーブ・コントロール(YCC、長短金利操作)への言及に注目が集まっている。

    日本銀行は 3 31 日、4-6 月期の長期国債買い入れ予定を発表。中長期・超長期ゾーンで1回当たりの買入れ予定額のレンジを 1-3 月期に比べて上下に拡大し、買い入れ回数は据え置いた。5-10年債は 4750 億円~8750 億円となり、1-3 月期の 5750 億円~7750 億円から拡大されている。春闘での大幅な賃上げの可能性が高まりつつあることを受けて、YCC の上限引き上げ、あるいは撤廃の可能性が警戒されつつある。また、米国では 12 日に発表される米 3 月コア CPI に注意したい。

    前年比+5.2%と予想されており、2 月の+6.0%からは伸び率の鈍化が見込まれている。予想を下回るネガティブサプライズだった場合、5 月の 0.25%追加利上げと年末のターミナルレート(利上げの最終到達点)5.00-25%の見通しが修正を迫られる可能性が高まる。FRB 高官の発言に要注意だろう。3 月の FOMC では、金融の不安定化を受けて利上げ休止も検討されたほか、フォワードガイダンスが「幾分かの追加引き締め(some additional policy firming)が適切となる可能性がある」というハト派的な文言に変更された。議事要旨では、議論の内容に注目したい。

    ドル円は、日米 10 年債利回り格差の縮小観測から上値が重い展開となっているものの、下値はOPEC プラスによる原油減産を受けた原油価格の上昇基調などが影響して限定的だと予想される。

    また、本邦輸入企業による円売りや、新年度入りした本邦機関投資家からの外債投資に絡んだ円売りの動きにも注意が必要だろう。ユーロドルは、欧州金融不安が後退しているほか、原油価格や食料価格の上昇によるインフレ高止まりなどから、5 月の欧州中央銀行(ECB)理事会での追加利上げ観測が高まっており、底堅い動きが継続しそうだ。ただ、4 名の ECB 高官が利上げサイクルの終了を表明しており、今後も経済データや ECB 高官の発言に引き続き注目しておきたい。

    4 3 日週の回顧

    ドル円は、3 月米 ISM 製造業景気指数が 46.32 月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数は 993.1万件、3 月 ADP 全米雇用報告は+14.5 万人と低調な数字が連日続いたことで、米国経済への警戒感が高まり、133.76 円から 130.64 円まで下落した。米 10 年債利回りも一時 3.54%台から 3.24%台まで低下した。ユーロドルは、欧州の金融システム不安への警戒感が後退し、米 10 年債利回りの低下を受けて、一時 1.0788 ドルから 1.0973 ドルまで上昇した。ユーロ円は、リスク回避の地合いを受けて、145.43 円から 142 円台半ばまで下落した。(了)

     

    週間展望・回顧(豪ドル、南ア・ランド)

    豪ドル、金利据置きが重しに

    ◆豪ドル、政策金利据え置き決定で上値は限定的

    ◆金融システムに対する不安も重しに

    ZAR、原油減産の影響を注視

    予想レンジ

    豪ドル円 85.00-90.00

    南ア・ランド円 7.00-7.40

    4 10 日週の展望

    豪ドルは、上値が限られそう。今週行われた豪準備銀行(RBA)理事会では、金融引き締めから据え置きへと転じた。RBA は「利上げの効果がまだ十分に現れていないことで、これまでの金利上昇の影響と経済見通しを評価するための追加的な時間を提供するため据え置いた」とした。また、「金利上昇、生活費への圧力、住宅価格下落の組み合わせが、家計支出の大幅な鈍化を招いていることを示す証拠があった」との見解も示された。この声明文の内容は、2 月に行われた豪上院の議会証言でロウ RBA 総裁が複数の上院議員に指摘され、批判の矢面に立たされた内容そのものである。RBA 総裁よりも政治家の方が経済状況の進展を早めに認識していたという皮肉な声も出ている。また、政治的な圧力に屈したと捉えている向きもある。2 月には辞任圧力も高まった総裁だが、7 月までの任期を全うすることを目指しているだけでなく、「その後 3 年の任期延長を望んでいる」との声もあり、任期延長に向けての動きとなったのかもしれない。

    来週は、複数の経済指標が発表されるが、注目されるのが 13 日の豪雇用統計。RBA は、労働市場は労働力不足が緩和されているが、多くの企業は引き続き雇用の難しさを経験し、「労働市場はタイト」と捉えている。経済成長が鈍化するにつれ、失業率は上昇するとの予想も立てているが、遅行指標でもあり反映されるのはまだ先になる可能性もある。その他では、11 日に 4 月のウエストパック消費者信頼感指数、3 月 NAB 企業信頼感および企業景況感、12 日にブロック RBA 副総裁の講演が予定されている。

    なお、国外要因では JP モルガンチェースのダイモン最高経営責任者(CEO)が「米国の銀行危機はまだ終了していない(Not Over Yet)」と発言するなど、金融システムに対する不安も完全に払拭されておらず、リスク回避の動きが広がった場合には豪ドルの重しになりそうだ。

    南アフリカ・ランド(ZAR)の上値は限定的か。南アフリカ準備銀行(SARB)による大幅利上げでの ZAR 買い相場はほぼ終わった感がある。市場では、石油輸出国機構(OPEC)プラスの減産による新興国への経済的影響が懸念されており、再び ZAR には売り圧力が増しそうだ。今月の南ア国内エネルギー基準価格はディーゼル価格が大幅に値下げされ、ガソリン価格はほぼ横ばいとなった。しかしながら、5 月は原油減産により再び国内基準価格の上昇が予想されている。特に、これから冬季を迎える南アにとってはインフレ高進が大きな痛手。ZAR の重しになりそうだ。

    4 3 日週の回顧

    豪ドルは対円、対 NZ ドルでは弱含み、対ドルではほぼ横ばいだった。RBA が予想通りに政策金利を据え置いたことが豪ドルの上値を抑えた。また、米経済指標が相次いで弱い結果となったことで、リスク回避の動きから豪ドル円は下落。RBNZ の予想以上の利上げを受けて豪ドル/NZ ドルは年初来安値を更新した。ZAR は週初こそ先週の大幅利上げで堅調に始まったが、リスク回避の動きになると、週後半は軟調に推移した。利上げ後の上げ幅を 1 週間ですべて吐き出した。(了)

     

    週間展望・回顧(ポンド、加ドル)

    加ドル、中銀の金融政策に注目

    ◆ポンド、ドルの動きや市場のセンチメントの変化に左右か

    ◆英景気減速懸念の後退は下支えの材料も一段の上昇要因とはなりにくい

    ◆加ドル、BOC の金融政策決定会合に注目

    予想レンジ

    ポンド円 160.50-166.50

    加ドル円 96.00-100.00

    4 10 日週の展望

    来週、英国内では主な経済指標の発表や注目のイベントは予定されておらず、ポンドはドルの動きや市場のセンチメントの変化に影響される相場が続きそうだ。足もとでポンドは対ドル・対円で底堅い動きも、ポンド独自に特段の買い材料があったわけではなく、欧米金融不安への懸念が和らいだことや、弱い米経済指標を受けて全般ドルが軟調な動きとなったことが支えとなった。

    市場では、英経済減速に対する警戒感が後退しているが、イングランド銀行(英中銀、BOE)を始め、多くの市場関係者は今年のマイナス成長予想を維持している。英景気減速への過度な懸念の後退はポンドの下支え材料にはなっても、一段の上昇要因とはなりにくい。3 月に金融システム不安が高まったこともあり、BOE の金融政策見通しに不透明感が増しているが、5 月会合では0.25%の追加利上げを実施する可能性が高い。英経済指標や BOE 金融政策委員会(MPC)メンバーらの発言に左右されながら、追加利上げの可能性を見極める相場展開が予想される。

    加ドルは、5 月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ停止の思惑も根強く、ドルの上値が重いなか、欧米銀行セクターに絡んだリスクオフの動きが和らいだことや、石油輸出国機構(OPEC)と非 OPEC 主要産油国で構成する OPEC プラスの協調減産決定による原油相場の堅調な動きが下支えとなる。2 日の予想外の協調減産に伴った原油価格の上昇は一段落したが、短期的には夏のドライブシーズンに向けて需要の増加が見込まれ、原油相場の底堅い動きが見込まれる。

    また、来週は 12 日のカナダ中銀(BOC)金融政策会合に注目。政策金利は 3 月会合同様に 4.50%に据え置くことが見込まれる。BOC 3 月会合で「データ次第では利上げ再開の可能性」を示唆したが、その後に発表された 2 月消費者物価指数(CPI)は前年比+5.2%と 13 カ月ぶりの低水準を記録した。3 月製造業購買担当者景況感指数(PMI)も 48.6 と約 3 年ぶりの低水準となり、経済の不透明さが生産と新規受注を圧迫していることを裏付ける内容となった。3 月会合後に欧米金融不安が強まったことや、政策金利の上昇が住宅ローンの利払い負担増加を通じて家計を圧迫し、内需を抑制するリスクが高まったことをかんがみると、来週の会合では利上げ局面の終焉を示唆するなど、声明の内容がハト派寄りに傾く可能性もある。加ドルへの売り圧力となりそうだ。

    4 3 日週の回顧

    欧米金融不安への警戒感が和らぐなか弱い米経済指標を背景に全般ドルが重い動き。ポンドは底堅かった。ポンドドルは昨年 6 月以来の 1.25 ドル台復帰を果たし、ポンド円は一時 166 円前半まで強含んだ。3 月英建設業購買担当者景気指数(PMI)は予想比下振れの 50.7 となったが反応は限定的。加ドルは OPEC プラスの協調減産決定を受けた原油高が支えとなった。ドル/加ドルは1.3400 加ドル近辺まで加ドル高が進み、加ドル円は一時 99 円前半まで強含んだ。カナダの 3 月新規雇用者数変化が 3.47 万人増、同失業率は 5.0%と予想より強い結果となった。(了)

     

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