
米ドル/円の概況
米ドル/円は、より高い水準で高値と安値を更新しつつ今月の高値 (134.71円) を更新している。為替レートは50日間移動平均(133.55円) の正の傾斜をたどっているように見えることから、3月の高値 (137.91円) からの下落を引き続き逆にさかのぼる可能性がある。
米ドル/円は3月の高値を目指す、50日間移動平均は正の傾斜を形成
米ドル/円の最近の値上がりは、米国債の利回り上昇を反映したリスク選好の改善を示している。連邦準備制度理事会(FRB)による追加利上げの観測が高まる中、為替レートは移動平均線に沿って上がり続ける可能性がある。
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出典:アトランタ連銀
アトランタ連銀のGDPNowモデルによれば、米国の「2023年第1四半期の実質GDP成長率(季節調整済み年率)の推定値は、4月10日の2.2%から14日には2.5%に上昇」ということで、景気後退が迫っているという証拠がほとんど見られないことから、インフレ率が目標値2%を大きく上回る中、連邦公開市場委員会(FOMC)は利上げの実施に向かう可能性がある。
一方、FOMCと日銀の路線の相違は米ドル/円価格を浮上させるかもしれない。植田和男総裁は「金融緩和を続けることで2%のインフレ目標を達成する」方針で、日銀も「国債購入は、2%の物価安定目標の達成を目指して金融政策を行う必要性から管理されている」として、ギアチェンジを急いではいないようだ。
出典:CME
その結果、CMEのFedWatchツールでは25bpの追加利上げの確率は80%を超えていることから、引き続きFOMCをめぐる思惑によって米ドル/円は乱高下が続きそうだ。「3月の会合時点でのスタッフの予測は、今年後半からの緩やかな景気後退を織り込んでおり、その後2年間かけて回復する」というフォワードガイダンスを、次回、5月3日の政策金利決定時にジェローム・パウエル議長らが調整するかどうかも注目される。
それまではFOMCが引き締め政策を進める可能性が消えないことから、米ドルは日本円に対して上昇を続けるかもしれない。また、日銀がイールドカーブコントロール(YCC)を伴う量的・質的緩和(QQE)を堅持することから、米国の利回リ上昇によっても米ドル/円の価格は支えられる可能性がある。
これを踏まえ、25bpの追加利上げが見込まれる中、米ドル/円は50日SMA(133.55円)の正の傾斜をたどる可能性がある。為替レートは引き続きより高い水準での高値と安値をつけながら、3月の高値(137.91)からの下落をさかのぼる動きを見せるかもしれない。
円価格チャート-米ドル/円、日足
チャート作成:David Song、ストラテジスト
- 米ドル/円は一連の高値と安値をより高い水準で更新しつつ今月の高値(134.71円)を記録ており、為替レートは移動平均線より上に戻っていることから、50日間移動平均の正の傾斜をたどっていく(133.55円)可能性もある。
- 136.00円(23.6%のフィボナッチエクステンション)を上抜けした場合、米ドル/円は200日間移動平均(137.13円)に向かって値上がりする可能性がある。移動平均を上抜けした場合には3月の高値(137.91円)を試す可能性が視野に入ってくる。
- ただし、136.00円(23.6%のフィボナッチエクステンション)を超える勢いを維持できなければ、米ドル/円は132.60円(38.2%のフィボナッチリトレースメント)~133.90円(23.6%のフィボナッチリトレースメント)のエリアに戻り、今月の安値(130.63円)を割り込めば130.20円(61.8%のフィボナッチエクステンション)にまで値下がりする可能性が出てくる。
補足資料:
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英ポンド/ドルは2022年6月の高値を前に伸び悩み
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